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匠の技の光る『工場ブランド』~OEMとのシナジー効果も~

 日経電子版の記事【革カバン、自社ブランドで展開 香川のアーバン工芸】や【「捨てない服」が掘り起こす潜在市場】を読むと、OEMメーカーが自社ブランドを立ち上げることの意義、『工場ブランド』の持つポテンシャルがひしひしと伝わってきます。



 そもそも、ファブレス企業などにとって、特定のOEMメーカーを選ぶという事は、そのOEMメーカーの技術力への信頼が前提です。ただ、企画・開発の主導権がファブレス企業にある以上、OEMメーカーが自身の持つ技術力を100%フルに使い切れるとは限りません。基本的には、必要な技術だけが提供される訳で、匠の技が、なかなか見える化されずに秘蔵されてしまっているような事態もままあるのかも知れません。

 そのような事態を一挙に打破するのが自社ブランドの立ち上げ、『工場ブランド』です。決定的なのは、OEM事業のようなBtoBではなく、BtoCであるため、ユーザーとの直接の繋がりが出来て、ユーザーのニーズと自社のテクノロジーを『がっぷり四つ』でマッチングさせることが出来ることです。その効果には絶大なものがあるのではないでしょうか――

▶『工場ブランド』の様々な効果

(1)『技術リソースの活性化』・・・自社の持つあらゆるテクノロジーを
                最大限活用できる。

(2)『プロダクトのコモディティ化回避』・・・ユーザーのニーズを掘り
                起こすような付加価値を追求して、商品
                の価格帯を高めることが出来る。

(3)『技術力のアピール』・・・自社ブランドに投入されたテクノロジーが
              見える化して、自社の技術力のアピールと
              なる。

(4)『OEMとのシナジー効果』・・・技術リソースが見える化される事で、
                新たなOEM案件の獲得に繋がる。

(5)『PDCAサイクルの加速によるテクノロジーの進化』・・・新たな
              ユーザーのニーズを掘り起こすプロダクトの
              開発過程が、技術を進化させる。

(6)『社員のモチベーションの向上』・・・直接ユーザーのニーズにリーチ
              する切磋琢磨と付加価値の高い成果が、
              社員のモチベーションを著しく向上させる。



 このように、『工場ブランド』に取り組むことは、ユーザーのニーズと自社の技術リソースに直接の接点を持つことがアクセラレータとなって、技術リソース、人的リソース、プロダクトの進化を促し、最終的に企業そのもののブランド価値を高めていく事に繋がっています。まさに、匠の技の光る『工場ブランド』と言うべきではないでしょうか。


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