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日経電子版から今起きていることを知る~第4次産業革命の時代の潮流~

 日経電子版の記事【企業組織の境界が消える日 個が台頭 柔軟な連携生む】は、今、第4次産業革命の時代に起きていることを、大局的な見地から見据えた、実に骨太な論説だと思いました。いい機会なので、日頃日経電子版から得た知見やこの記事をもとに、自分なりに整理してみようと思い立ちました。



(1)イノベーションとは

 はじめに、イノベーションとは何か、最も簡潔に表現するなら、『アイデア対アイデアの繋がり』であると考えられます。そして、アイデアは個人によって作られ、個人によって運ばれますから、イノベーションは『個人対個人の繋がり』によって生まれる、と言えます。組織に属するようなアイデアであっても、突き詰めれば個人から発したものであり、組織自体が何かアイデアを考え付く訳ではありません。また、組織が勝手に動いてアイデアを運んでくれる訳でもありません。あくまで、組織の中の個人が、あるアイデアを他のアイデアと結び付ける作業を行う必要があります。

▶イノベーション=アイデア✖アイデア
    =個人✖個人
     ≠組織✖組織

 
 イノベーションというものをこのように捉えるなら、イノベーションを活性化するためには、個人と組織の関係はどのようなものであるべきでしょうか?すなわち、イノベーションのエコシステムが活性化する条件です――

▶エコシステムの活性化条件

① (組織の中での)個人の比重アップ

 個人がアイデアを生み、アイデアを生かせる環境が重要になってくる、と考えられます。

② 組織の小型化

 変化に対応しアイデアを事業化していくには、小回りの利く少人数の組織であることが重要となってくる、と考えられます。

③ 組織の(境界が)希薄化

 アイデアとアイデアが結び付くには、組織の枠を越える必要がある、と考えられます。


(2)第4次産業革命の時代の潮流

 このようなイノベーションは、第4次産業革命を推進する原動力であり、第4次産業革命の時代の潮流は、技術革新に支えられて、このイノベーションを活性化する方向に流れていく、と考えられます――

(3Dによる試作品、などによって)
 アイデアを見える化するコストが低減

  ⇒個人が容易にアイデアを見える化できる。
  ⇒イノベーションのアイデアが質的・量的に増大する。
  ⇒イノベーションエコシステムが活性化する。

 ② 大規模な初期投資が不要に

  ⇒少人数・低コストでプロジェクトをスタートできる
  (リーンスタートアップ)。  
  ⇒柔軟性をもって変化の速い時代に対応できる。

  ⇒イノベーションエコシステムが活性化する。

 ③(テレワーク・複業・パラレルキャリア等
  によって)
働き方の自由度がアップ

  ⇒時間・場所・地域・組織(複数の組織に帰属、など)を選ばない
   働き方ができる。
  ⇒組織の枠を越えて個人が、アイデアが結び付く。
  
イノベーションエコシステムが活性化する。

 個人対組織で見た時に、個人の相対的な比重が増し、組織のあり方が、イノベーションの達成に適合した小型化・希薄化したものへと変化していく、と考えられます。そして、組織横断的な人的ネットワークによって、個人と個人がマッチングされるようになるのではないでしょうか。



(追記:上記のような潮流に付け加えるとしたら、あらゆるデータがデジタル化され、顔認証などの認証技術の精度が向上することで、企業などの組織、仕組み、システムの間を隔てる障壁が著しく低くなることが考えられます。そのことによって、システムを統合して最適化するイノベーションが促進されるのかも知れません。
 この件に関しては、以下の拙稿で考察しています。)



 




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