【掌編】かみかくし【散文詩】
閏年、四年に一度だけの二月二十九日。その日にだけ訪れることのできる小さな島で待っています。
爪月の端、時のあわいから届いた小さな手紙には、流れる水のような文字でそう書かれていました。岬まで迎えを寄越しますと書かれた文章を、わたしは何度も何度も指で辿って、その日その時を心待ちにしていたのです。
ずいぶん前からあなたとその日に会おうとを決めていて、わたしはそれだけを覚えていました。けれど、織姫と牽牛の四倍も待っていたせいか、あなたの顔も声もすっかり忘れてしまいました。それでもい