雪柳 あうこ

詩や小説、ことばをのんびりとつとつ紡いでいます。【詩】詩集『追伸、この先の地平より』(…

雪柳 あうこ

詩や小説、ことばをのんびりとつとつ紡いでいます。【詩】詩集『追伸、この先の地平より』(第72回H氏賞候補)、詩誌La Vague主宰、詩誌凪参加。【小説】ノベルメディア『文活』、「ものがたり珈琲」寄稿など。ご連絡は、TwitterDMまたはプロフィール記事にあるアドレスまで。

マガジン

  • 写真など

    身近な花々の写真と、それに添えたことばなどをまとめています。

  • 詩など

    自作の詩,詩のようなことばをまとめています。

  • 掌編など

    自作のちいさなちいさなおはなしを、まとめています。

  • 詩集『追伸、この先の地平より』から

    詩集『追伸、この先の地平より』(土曜美術社出版販売/第72回H氏賞候補)から、いくつかの作品をご紹介します。

  • 【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~

    一浪の末、納得いかない進学をした宇田(ウタ)アカリ。 四月三日、アカリの二十歳の誕生日。大学生活に希望を見いだせず、新入生オリエンテーションを暗澹たる気分で過ごしていたアカリは、コタロウにサークル勧誘の声をかけられる。連れて行かれたキャンパスの片隅の芝生広場で、声だけを重ね合わせ生み出す音楽(アカペラ)で誕生日を祝われるアカリ。コタロウが誘ってくれたのは、昨年結成されたばかりの弱小アカペラサークル「歌灯(ウタアカリ)」だった。自分と同じ名前のサークルとコタロウに惹かれたアカリ。アカリとコタロウを中心とした7名の個性豊かなサークルメンバーは、歌声に彩られた季節の中、恋や想いを育んでいく……。 #恋愛小説 #音楽小説 #青春小説 #アカペラ

最近の記事

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【本が出ました】『追伸、この先の地平より』

既に、前の記事やtwitterなどでもお知らせさせていただいておりましたが。 改めまして、告知です。 2021年11月、第一詩集『追伸、この先の地平より』を、土曜美術社出版販売様より出版させていただきました。 詩集の帯文は、詩人の松下育男さんに書いていただきました。 表紙の写真は、写真家の齋藤陽道さんが撮影されたものを使わせていただきました。 大型書店さんやネット書店さん、amazon、それに土曜美術社出版販売様のウェブサイトでも購入可能です。 おっかなびっくり世に出

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      ことしのさくらたち

      • 【詩】半月  (#シロクマ文芸部参加作品)

        朧月 よく見れば 半分 光は輪郭を溶かし 実は半分であることを さりげなく誤魔化しながら 夜毎ふくらむ 花を誘う  もう半分はどこへやったの? 欠けたの? 亡くしたの? それとも これから造るの? 朧月 よく見れば 半分 夜毎ふくらむ花のひとひら よく見れば 月 ・・・・・・ 見上げた月が,ちょうど半月の朧月でした。 思わずシャッターを切りました。 月に誘われコブシも咲き出し、すっかり春の夜の気配です。 シロクマ文芸部のお題「朧月」をお借りしました。いつも素敵なお

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        【本が出ました】『追伸、この先の地平より』

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        • 詩集『追伸、この先の地平より』から
          6本
        • 【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~
          8本
        • 短編小説まとめ
          6本

        記事

          【掌編】かみかくし【散文詩】

          閏年、四年に一度だけの二月二十九日。その日にだけ訪れることのできる小さな島で待っています。 爪月の端、時のあわいから届いた小さな手紙には、流れる水のような文字でそう書かれていました。岬まで迎えを寄越しますと書かれた文章を、わたしは何度も何度も指で辿って、その日その時を心待ちにしていたのです。 ずいぶん前からあなたとその日に会おうとを決めていて、わたしはそれだけを覚えていました。けれど、織姫と牽牛の四倍も待っていたせいか、あなたの顔も声もすっかり忘れてしまいました。それでもい

          【掌編】かみかくし【散文詩】

          【詩】ユキヤナギ

          雪化粧をした枝に積もる 冷たい白粉を 集めたら 蕾に 籠めておきましょう あたたかい朝 白い光のような雪が 咲くでしょうから ・・・・・・ 春先に咲くユキヤナギの花が、もう咲きかけていたのに触発されました。 今年もぼちぼち、不定期更新で始動いたします。よろしくお願いします。 小牧幸助さんの #シロクマ文芸部 からお題をお借りしました。いつもありがとうございます。

          【詩】ユキヤナギ

          【掌編】詩と暮らす【散文詩】

          詩と暮らすことにしたのは、数年前の春からです。 その春、わたしは陽気に当てられぐったりとしていました。そんな時、窓からふと、ひとひらの詩が飛び込んできたのでした。ひらひら、ひら、り。窓の内側に吹き込んできた詩を、手のひらに収めました。薄桃色の詩は、見た目の美しさとは裏腹に、少し乾いていました。わたしは硝子の容器に水を張り、詩を浮かべてみたのでした。すると、詩は楽しそうにくるくると硝子の中で回りました。こういうものと、暮らしてみようか。わたしがそう決意するまでに時間はかかりま

          【掌編】詩と暮らす【散文詩】

          【お知らせ】詩誌を作りました 

          こんにちは。雪柳あうこです。今日はお知らせです。 詩を書くようになって数年。さまざまなご縁を得て、今年の春、女性詩人たちと詩誌を立ち上げました。 そしてついにこの10月、Vol.1を出版しました! 詩のゲストには、萩原朔太郎賞受賞者の川口晴美さんに来ていただいています。その他にも、かつてあった女性詩人たちによる詩誌「現代詩ラ・メール」の編集者であった棚沢永子さんにエッセイを寄せていただいています。 詩誌は、11月に行われる文学フリマ東京37でも、メンバーの長尾早苗さん

          【お知らせ】詩誌を作りました 

          【詩】月めくり、月めぐり

          月めくり、夢をかけ替える朝 通う道は明るい 来月、次の月こそと 願って、ページを はらり 月めくり、今を過去にする夜 辿り着いた部屋は暗い 今月、ようやく終われたと うそぶいて、ため息 くたり 月めぐり、満ち欠けやがて名月 黄金色の夜明けは近い 満月、見送って手を振ると 滴って 月光 とろり ・・・・・ 先日は明るい月夜でしたね。 小牧幸助さんの #シロクマ文芸部 の企画「月めくり」から書きました。月も変わって、秋。いつも素敵なお題をありがとうございます。

          【詩】月めくり、月めぐり

          【詩】うつろう

          首元まで詰まっていた 夏が つるん と抜けて 行ってしまったので わたしのからだは 空っぽになって やたら 風を通すようになった 行きつ戻りつしていても 行ってしまったら 戻ってこない 夏は 脱いでしまったのだ わたしという 皮を うつろう季節はいつも すぐ 肌の下にある ******************* 今年の残暑は厳しかったなぁと思いながら書きました。ようやくの秋ですね。 素敵なお写真をお借りしました。

          【詩】うつろう

          4年。ふりかえる、たしかめる

          ■ふりかえる 雪柳あうこ、という筆名を初めて使ったのが2018年。その名を名乗って2019年の夏の終わりにnoteやX(旧twitter)などに現れてから、丸4年となりました。  この記事は、雪柳あうこの4年目(2022年夏~2023年夏)の記録であり、ふりかえり、たしかめるための記録です。主には自分のためのものですが、詩や小説を書かれる方の参考になることがありましたら幸いです。 ■詩(2022年夏~2023年夏)◆最後の投稿と受賞  2022年秋、第37回国民文化祭「美ら

          4年。ふりかえる、たしかめる

          朝日新聞(夕刊)に寄稿しました

          こんにちは。毎日暑いですね。 機会を頂きまして、本日8/2(水)の朝日新聞夕刊「あるきだす言葉たち」というコーナーに、「凪」という詩を寄稿させていただきました。 夏の気配の一篇です。 夕刊なのでなかなかお手に取っていただける機会は少ないかと思いますが、デジタルでも読めます(半分くらいまでは無料で読めます)。朝日新聞有料会員の方も含め、お手に取っていただける機会がありましたら、ぜひご覧ください。

          朝日新聞(夕刊)に寄稿しました

          【詩】よ る 

          食べる 夜 を  大きな口を開けて  まるっ と 呑み込む  広がる 夜 が  からだの中に  ずるっ と 落ちてくる 食べた 夜 は  消化不良で渦を巻く  ぶるっ と胃の腑を震わせる 膨らむ 夜 は  身体よりも大きいから  ぶわっ と 呑み込まれ よるべなき 夜 に なる 果てのない 夜 が  わたしを覆い尽くす  ずっと 隠しておきたかったものまで ああよかった 夜 は   やさしい  ぼうっと いつまでも暗いまま 依る ・・・・・・・・ 小牧幸助さんの

          【詩】よ る 

          【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑧

          8.アカリ:三月初旬のレインボー    始まることも、終わることも、運命だなんて言葉で片づけたくない。  18:30。大学の正門に到着。  あたしは佇んだまま、後ろにそびえるキャンパスを見るとはなしにぼぅっと見つめる。  明日は確か、高校生が受験に来る日だ。一年前の自分を思い出しながら、会場の下見に来ている受験生らしい姿を数人見かけて、胸の中だけでエールを送った。  一年目の講義はそんなに専門的な話ばっかりじゃないから、正直未だ学部とか、将来の進路とかは見えてこない。けれ

          【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑧

          【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑦

          7.コタロウ:一月半ばのイエロー  この先に行ってはいけないと、立ち入り禁止の黄色いテープが警告する。  生きることが辛いと思ったことはあんまりなかったけど、アカリに言わせるとオレの人生は艱難辛苦らしい。  生後半年で母が失踪。父は養育不能なアル中で、一歳になるかならないかの頃に施設に預けられた。父親は年二回、誕生日とクリスマスにだけ、安物のプレゼントをもって面会に現れた。アルコールにやられているのがわかる灰色の肌と、血走った赤い眼をぎょろつかせながら、オレと目が合う

          【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑦

          【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑥

          6.ヨウタ:十二月半ばのクリスマスレッド  それは、夢のような、それでいてどこか淋しい時間でした。  ――学祭に出るの、無理だと思う。  アキヒロさんからそれを告げられたのは、秋が深まる十月終わり頃だったと思います。  後期が始まってしばらく、あまり雰囲気は良くなくても、集まることと練習自体は続けていました。そのうちに、十一月の学祭に出るかどうか、毎回議論になりました。コタロウさんが来るかどうかわからないのでステージの所用時間や担当パートも固められず、また、模擬店などをや

          【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑥