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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】美しい「ハス」の花に秘められた力とは!?

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今、千葉があつい!! どうしてだかわかりますか??
実は、今年は、千葉県誕生150周年にあたることから、様々な記念事業が千葉の各地で企画、開催されているのです。
そして、そんな千葉の名所のひとつに、千葉公園にある『大賀ハス』があります。

初夏のこの時期、既にハスの開花はまっさかりをむかえているようです。
千葉市観光ガイドの情報によると、<令和5年6月27日(火)現在>の大賀ハスの開花は、❝506❞ ということです。すごーーい!!

ハスの花は朝早くに開花し、お昼ごろにはその花を閉じてしまいます。
また、一度開花した花は3日ほどではかなくも散ってしまいます。
しかし、実は、その花以外の部分、根・種・葉の部分も含めてすべてが、秘めた力をもっている、ハスはからだにとって大いなる味方なのです。

今回は、そんなハスについて、東洋医学からみる「ハス」の世界をご紹介していきます。

どうぞ最後まで、お楽しみください。

1.「ハス」の由来

「ハス(蓮)」は、インドを原産とするスイレン科の多年生の水生植物で、日本には、奈良時代に仏教とともに観賞用の花として伝えられました。
食用の品種が伝えられたのは鎌倉時代になってからですが、レンコン以外の部分を食べる習慣はほとんどありません。

「ハス」の名前は、その実の断面にハチの巣のような穴がたくさんあいていたので「ハチの巣」が「ハチス」と変化し、その後「ハス」と呼ばれるようになったと言われています。
連なってたくさんの実をつける特徴から、「つらなる」を意味する「連」と「艹(くさかんむり)」をあわせて「蓮」という漢字があてられたとも言われています。

「ハス」は、水底に地下茎を伸ばしながら増えていきます。さらに成長すると水面から長い茎が伸び、大きな葉っぱが広がります。
そして7月に入る頃には、鮮やかな花を咲かせます。

泥の中で成長する地下茎部分が馴染みのあるレンコンです。
鎌倉時代以降は食用として池や沼などで栽培されてきましたが、一部には野生化したものもあります。
公園など見かける大輪の蓮の花は観賞用の品種です。

ところで、『泥中の蓮(でいちゅうのはす)』という言葉を聞いたことはありませんか?
これは、汚れた環境の中でもそれに影響されずに、清らかさを保っていることのたとえで、維摩経というお経で語られたものです。
また、仏様の姿を描いた絵では、仏様が蓮華の台の上に座っておられたり、立っておられる姿が描かれています。
このように蓮の花と仏教には古くからのつながりがあるのです。

ちなみに、「ハス」の花言葉のひとつが『清らかな心』です。
これは、泥水の中からでもきれいな花を気高く咲かせることに由来しているそうですが、先ほどお話した『泥中の蓮(でいちゅうのはす)』にも通じていますね。

ここからは、「ハス」の各部分と東洋医学の関係を見ていきます。

2.東洋医学からみる「ハス」の効能

2-1.ハスの花

ハスの花は、中国の最も古い書物『詩経』にも謡われており、古来よりその美しさが賞賛されています。その後インドから仏教が伝来すると、清浄を象徴する花としていっそう評価が高まったそうです。
ハスの花を食用とすることは稀ですが、生薬としては以下の性質・効能があります。
【性質と味】 苦・甘、平(苦・甘、温)
【関連する臓腑経絡】 肝・胃経(心・肝)
【効能】
①涼血止血(りょうけつしけつ):熱で出血しやすい状態を改善、止血に働きます。
②祛風除湿(きょふうじょしつ):風湿の邪の滞りによって生じる痛みを取り除きます。
③理気(りき):気の流れを良くします。

打撲による内出血や慢性的な胃の出血の改善に効果があります。
女性の不正出血や月経不順にも効果があります。

花の黄色い芯の部分だけを使った生薬は「蓮須」といって、頻尿や吐血、女性の不正出血や更年期の出血に対して用いられることがあります。

2-2.ハスの葉

茎を除いた葉の部分のみを中国名で荷葉と言います。荷というのは「ハス」のことです。
中国料理では食材を包んで蒸し物にしたり、スープに入れて蓮の香りを楽しみます。
生薬としては、焼いて粉末にしたものを用いる場合と、葉の中心部分だけを乾燥させて用いる場合があります。
生薬としては以下の性質・効能があります。
【性質と味】 苦・渋、平(苦・辛、涼、無毒)
【関連する臓腑経絡】 心・肝・脾経(心・肝・肺)
【効能】
①清熱解暑(せいねつげしょ):からだにこもった熱を冷まし、暑さによる症状を解消します。
②活血(かっけつ):血のめぐりをよくします。
③健脾益胃(けんぴえきい):脾の働きを整え、胃の働きを補います。

夏バテや高血圧、高脂血症に効果があります。
からだの熱を冷ます効果があることから夏の養生食に使われることもありますが、『中薬大事典』に「気血虚の者は慎服」と記載があるように、気血が不足して体力が衰えている場合には、慎重に用いるようにしたほうがよいでしょう。

茎は「荷梗」といい、気を巡らせて胸苦しさを解消する効果があります。
母乳の出をよくするとも言われています。

2-3.ハスの実

ハスの花が散った後の蓮池でみることができます。
茶色い枯れ枝のような部分の穴のひとつひとつに入っているのが、ハスの実です。

ハスの実は中国名を蓮子と言います。


中国では生薬や食材として広く利用されていて、ペースト状にした餡を包んだ月餅は日本でも有名です。また、砂糖掛けにした甘納豆も中華街などでよく見かけます。
芯の部分は苦みが強いため、食用としては取り除きますが、中薬としては芯を残して外皮だけを取り除いたものが用いられます。

生薬としては以下のような性質・効能があります。
【性質と味】 甘・渋、平(甘、平)
【関連する臓腑経絡】 脾・腎・心経(心・肝・脾・腎)
【効能】
①健脾止瀉(けんぴししゃ):弱った消化機能を助け、慢性の下痢を解消します。
②養心安神(ようしんあんしん):心を助けて精神を安定させます。
③益腎固精(えきじんこせい):腎を助けて精を保ちます。

脾虚による慢性の軟便や心神不安による不眠、動悸、虚弱体質の改善などに効果があります。
収れんする働きが強いので、便秘の人の使用は慎重にする必要があります。

ハスの実の芯の部分だけを生薬として用いる場合もあります。
中国名で「蓮子心」といい、心の熱を収め温熱の病による意識低下を改善する効果があります。
また、ハスの実が入っている部分(花托)も生薬で「蓮房」と言い、下血、血尿、女性の不正出血などに効果があります。

2-4.レンコン

食用の「ハス」の地下茎で、中国名は「蓮藕」と言います。
レンコンには、粘膜を保護したり、タンパク質や脂肪の消化を促して飲みすぎや食べ過ぎによる胃のもたれを軽減する、ネバネバした成分が含まれています。
また、カリウムやビタミンCも豊富です。さまざまな料理に使われる食材ですが、東洋医学的には、生と加熱で効能が異なるとされています。
【性質と味】 生食:甘、寒 加熱:甘・温
【関連する臓腑経絡】 心・肝・脾・胃経(心・肝・肺)
【効能】
①生食:清熱解暑(せいねつげしょ):からだにこもった熱を冷まし、暑さによる症状を解消します。
②生食:生津止渇(せいしんしかつ):のどを潤し、渇きを収めます。
③加熱:止痢(しり):下痢を止める作用があります。
④加熱:涼血散瘀(りょうけつさんお):血の中にこもった余分な熱をのぞき、血行をよくする。

レンコンは、体質との相性を選びませんが、消化しにくく、食べ過ぎるとお腹が張りやすくなるので要注意です。

いかがですか?
ここまで、ハスの東洋医学的な効能についてみてきました。
ハスは根から花まで余すところなく健康に役立つ植物であり、食材であることがおわかりいただけましたか。

もちろん、大輪の花のすばらしい美しさは、なにものにもまさる、目から栄養になり、人々の心を和ませてくれますね。

3.千葉と「ハス」

「ハス」にはいろいろな種類がありますが、千葉市で発見された世界最古の花として、千葉県の天然記念物および、千葉市の市花に制定されているハスがあります。
それが「大賀ハス」です。

このハスは、昭和26年に千葉県検見川の東京大学検見川厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)で、大賀一郎博士と地元小中学生らによって発見された「古代ハス」です。約2000年前のものと鑑定された実が開花し、その後現在まで増やし育てられています。
千葉公園の蓮華亭前のハス池に群生していて、多い時には700輪以上の花が開くこともあるそうです。
ハスの開花時期にはハス池の木道が早朝6時から開放されています。
ハスの花は早朝に開いて昼頃には閉じてしまいますので、ぜひ早起きをして見に行ってみてください。

千葉公園は千葉駅から徒歩10分、筆者の鍼灸院「鍼灸 あやかざり」からもほどよい距離、徒歩で15分程度のところにあります。
鍼灸治療においての普段生活の養生に、頭を使わないぷらぷらとした散歩をおすすめするケースがよくあります。
そんな時に、千葉のお散歩スポットとして筆者がよく女性患者の皆様へおすすめしているのが、千葉公園です。
千葉公園内には、安くて美味しいランチを提供するカフェも併設されています。
ぜひ、この機会に訪れて、満開のハスの咲く美しさに癒されてくださいね。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?
『美しい「ハス」の花に秘められた力とは!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』ほか

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