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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】貧血の鍼灸治療と食養生

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

なんだか最近、動機や息切れが気になると思ったことはありませんか?
立ちくらみがしたり、疲れやすかったり、なんてこともあるかもしれませんね。
こうした症状は、もしかしたら「貧血」によるものかもしれません。
「貧血」はとても身近な病気で、特に女性には、月経で毎月血液が排出されることから、月経のタイミングでその症状に悩まされる方も多くみられます。

そこで、今回は「貧血」についての症状や原因、治療方法、食養生について、西洋医学・東洋医学の両面からみていくことにしましょう。

では、どうぞ最後までお付き合いください。


1.「貧血」とは

貧血とは、血液中の赤血球の数が減少したり、赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)という成分が減少したりしている状態のことです。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ働きをしていますので、赤血球やヘモグロビンの量が減少するとからだのすみずみまで十分な酸素を供給できなくなり、以下のような症状が出やすくなります。

 ・疲れやすい
 ・倦怠感
 ・息切れ
 ・立ち眩み

階段や坂道の上り下りで息が切れたり、重い荷物を負担に感じたりするなど、日常生活にも影響が出てしまいます。
脳への酸素供給も不足するため、人によっては、眠気や頭痛、耳鳴り、めまい、集中力の低下などがあらわれることもあります。
また、肌荒れや爪の変形、むくみなど、さまざまな不調の原因にもなります。

厚生労働省の国民健康・栄養調査報告(令和元年)によると、貧血と診断された人の割合は男性で約10%、女性で約13%で、貧血は男女ともに起こりますが、女性の方が起こりやすいといわれています。
この理由は、定期的な生理による出血のためで、生理による出血量が多い方ほど貧血が起こりやすい傾向にあります。
また、妊娠中や出産後には赤ちゃんの成長や母乳の生成のために大量の鉄分が消費されるため、貧血が起こりやすくなります。
女性特有の疾患 子宮筋腫や子宮内膜症、子宮がんなども貧血と大きく関わりがあります。
その他に、最近では偏食やダイエットによる栄養不足から起きるケースも増えているようです。

貧血かな?と思ったら、まずは最近の体調や生活習慣を見直し、必要に応じて近くの医療機関に相談するとよいでしょう。

2.「貧血」の原因

貧血が起きる原因には、
 ①栄養不足
 ②出血
 ③造血系の疾患
などがあります。

①栄養不足=赤血球の生産不足
貧血は色々な原因で起こりますが、中でも多く見られるのが栄養不足です。特に、赤血球中のヘモグロビンの合成に必要な鉄が不足して起きる鉄欠乏性貧血は、日本人女性の約10人に1人、月経のある女性に限ると5人に1人とも言われています。
ビタミンB12やビタミンB群の一種である葉酸が不足すると血液細胞の核にあるDNAが十分に作られず、正常な赤血球が合成されず貧血を起こします。
赤血球の材料としてはタンパク質も大切です。

②出血
大きなけがや手術などで大量に出血すると貧血になります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍のように慢性的な出血がある場合も貧血を起こします。消化器系のがんなども気づく前から出血を起こしていることがありますので貧血の原因となります。
女性では頻発月経や過多月経などの月経異常も貧血の原因となるので注意が必要です。

③造血系の疾患
再生不良性貧血は骨髄にある造血幹細胞が減少して血液細胞が十分に作れなくなる疾患です。
溶血性貧血では、血液中の赤血球が通常の寿命よりも早く体内で壊されてしまうため、赤血球が不足して貧血を起こします。
骨髄異形成症候群や 多発性骨髄腫といった血液のがんでも、赤血球が十分に作られないために貧血を起こします。

いずれにしても、長らく貧血の症状が続き、食事やサプリメントを摂取しても改善が見られない場合には、医療機関に相談して貧血の原因を明らかにした方がよいでしょう。

3.西洋医学によるアプローチ

貧血を疑って医療機関を受診した場合、貧血の状態と原因となる疾患があるかどうかを検査することになります。

3−1.検査

貧血の状態を詳しく知るために血液検査が行われます。赤血球の数やヘモグロビンの濃度、血液中の赤血球の割合(ヘマトクリット)などの数値から貧血の特徴を探り、貧血を分類します。その結果で原因となっている可能性のある病気を絞り込むことができます。
鉄やビタミンの不足が疑われればそれらの血中濃度や関連する項目を血液検査で確認し、診断名が決まります。
溶血や造血不良が疑われる場合には骨髄(骨の中心部にあって血液の細胞を作る組織)の状態を調べます。
貧血の原因となる別の疾患が疑われれば、その部位の検査が行われます。
例えば
●月経の異常がある女性:婦人科系の検査
●胃の不調:胃カメラ
●便に血が混じる:便潜血(検便)や大腸内視鏡検査
などです。

3−2.治療

貧血の原因となる疾患が見つかれば、その治療が最優先となります。
一般的な鉄欠乏性貧血であれば鉄剤を服用することになります。
また、ビタミンB12や葉酸などの不足が見られるときには、ビタミン剤が用いられます。

4.東洋医学における「血虚」とは

では、次に東洋医学的に貧血についてみていくことにしましょう。

東洋医学では、西洋医学の血液に相当するものを「血(けつ)」といいます。
血は、基本的には西洋医学的な血液とほぼ同義で、体内を循環する赤い液体のことをいいます。
その血が生成されるメカニズムは、脾胃(消化をつかさどる臓腑)が運搬する水穀の精微(栄養物質)と肺により口から取り込んだ清気(空気)が結合して心の臓の温煦作用(=温めること)により赤く色づけされて出来上がるほか、腎精(腎に蓄えられたエネルギー)を原材料として作られます。
血の東洋医学上の役割は、身体全体を濡養(滋潤、栄養)することにありまり、その血の作用が低下した状態のことを血虚と呼びます。
ここまでみてきて、「貧血」=血虚だと思ってしまいがちですが、必ずしも一致しませんのでご注意下さい。

5.「血虚」の原因

血虚がなぜおこるのか、その主な原因には以下のようなものがあります。

①血の生成不足
脾胃虚弱のために、消化吸収を上手くおこなくことができない、あるいは運化作用が低下する場合には血の生成源が不足します。
②血の不足
吐血、鼻時、出産、月経、怪我等による出血により、血を耗損して血の量が不足します。
③血の暗耗(消耗)
考え込みすぎたり、悩みすぎたりすることは、知らないうちに血を消耗します。
③血の滞り、停滞
血瘀(けつお)とは血が滞った状態のことをいい、その状態が続くと新しい血の供給が不足します。

6.血虚の種類と東洋医学的治療

血虚には、大別すると心血虚と肝血虚という2種類があり、それぞれ以下のような症状をもとに鑑別することができます。

6-1.血虚全般の症状

顔色がわるい、皮膚につやがない、頭がふらつく、眼がかすむ、爪の色が悪い、舌淡白、脈細

6-2.心血虚

不眠、夢をよくみる、動悸、不安感、健忘

6-3.肝血虚

めまい、眼がかすむ、眼の乾燥感、筋のけいれん、手足のしびれ、爪が乾燥してもろい、脈は弦細、月経の遅れ、月経量の過少、無月経

6-4.東洋医学的治療

血虚と診断される場合、漢方や鍼灸では、おもに補血(養血・益血)という治療方法を用います。
また、血虚がどうしておこったのかを診断して、心・肝・脾・腎の臓に対してアプローチを行います。

7.貧血と食事


貧血を予防するためには、必要な栄養素を食事でしっかりとることが大切です。
貧血の予防に効果的な食事のポイントには以下のようなものがあります。
●一日3食(朝・昼・晩)規則的にバランスのよい食事を摂取する。
●鉄を多く含む食品(魚介類、肉類、大豆製品、青菜など)を積極的に摂取する。
●良質なタンパク質(肉、魚、卵、乳製品、大豆製品)を摂取する。
●鉄の吸収率を高めるビタミンCを十分に摂取する。
●鉄の吸収を阻害する成分(加工食品に含まれるリン酸塩など)を控える。
●葉酸やビタミンを多く含む食品(レバー、緑黄色野菜など)を摂取する。

東洋医学的には、血の生成を促して血を補う働きを養血と言います。
養血のはたらきを持つ食材には、ほうれん草、チンゲン菜、ごま、きのこ類、あんず、ぶどう、いちじく、豆腐、さかな類、牛肉や鶏肉、豚肉、卵などがあり、現代の栄養学で推奨される食材とよく似ています。

お正月に食べるならおせち料理の「黒豆」は貧血予防の最高の食材ですよ。
黒豆に含まれている鉄分の量は、牛レバーやホウレン草よりも豊富と言われています。また、血流をアップさせてくれるアントシアニンも含まれていますので、冷え性の改善も改善も期待できます。

貧血は生活習慣で改善できる面も多くありますので、食生活の見直しと工夫が大切です。

8.まとめ

今回は貧血について、原因や対処法、予防方法について解説をしました。
なお、貧血はWHO(世界保健機構)においても鍼灸治療が 適応可能であるとされている疾患のひとつとなっていますので、西洋医学の治療でなかなか症状が改善しない場合には、鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか。

今回はここまでとなります。最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

https://ayakazari.com/


画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考資料:WEB版 MSD マニュアル(家庭版)、東方栄養新書、食材効能大事典、東洋医学の教科書、[詳解]中医基礎理論

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