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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】頭痛と鍼灸治療

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

なんだか頭がズキズキしたり、締め付けられるような感じがしたり、頭が重く感じたり。
頭痛はからだに現れる症状のうち、とても身近なもののひとつではないでしょうか。
軽い痛みだから病院へ行くほどではないと思いつつ、頭痛によって集中力が欠けて勉強や仕事が手につかなくなったり、家事ができなくなったり、時には起き上がるのも困難になったりと日常生活に支障をもたらすこともあります。
読者のみなさま、ご自身やご家族、ご友人のなかにも、頭痛が繰り返し起きたり、慢性的に起きたりしてお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで 今回は、日常的におきやすい「頭痛」について、西洋医学・東洋医学の両面からみていくことにしましょう。

では、どうぞ最後までお付き合いください。


1.頭痛の症状とその原因

冒頭でも例を挙げたように頭痛の症状というのは個人差があり、実に様々です。
そうした痛みだけで原因を特定するのは難しいのですが、痛み方は原因などによって異なるためその後の診断の参考となります。

西洋医学的には大きく分けて、明らかな基礎疾患がないのに慢性的に現れる「一次性頭痛(慢性頭痛)」と何らかの病気が原因となって生じる「二次性頭痛」があり、痛み方にもそれぞれ特徴があります。

1-1.一次性頭痛(慢性頭痛)

一次性頭痛はほとんどの場合、はっきりした原因がわかっておらず頭痛そのものが病気として扱われます。
代表的なものとして、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛など繰り返し起こる慢性の頭痛があげられます。

<片頭痛>

頭の片側、人によっては両側のこめかみを中心に、心臓の動きに合わせて脈を打つようにズキズキと痛み、吐き気を伴うこともあります。
からだを動かすと悪化するのも特徴のひとつです。
原因ははっきりしていませんが、片頭痛を引き起こす誘因としては体質などの遺伝的な要素やストレス、睡眠不足、飲酒、光や音などの刺激などがあげられます。
片頭痛は男女ともに起こりますが、20代から40代の女性に多く見られます。
特に生理前から生理中に起こりやすいため、女性ホルモンの変動が大きく影響していると考えられています。

<緊張型頭痛>

一次性頭痛の中で最も頻度が高く、生涯のうちで経験する人の割合は30~78%と報告されています。
頭が重く圧迫されたり締めつけられるようなジワジワとした痛みを感じます。
我慢しようと思えば我慢できる程度の痛みで、からだを動かしても悪化することはありません。
首や肩の筋肉が緊張することが原因となるため、パソコン作業などで長時間同じ姿勢を続けたりすると起こりやすいといわれていますが、ストレスや不安、抑うつなどの心理的な要因によって痛みの調整がうまくできない状態にあることもわかってきました。

<群発頭痛>

国際頭痛分類では三叉神経・自律神経性頭痛のグループに分類されています。
片側の目の周囲から側頭部にかけて、目の奥をえぐられるような激しい痛みが1~2時間続き、数週間から数か月にわたってほぼ毎日同じような時間に繰り返されるのが特徴です。
痛みの発作は夜間や睡眠中に起こりやすく、痛みを感じているほうの目の充血、涙、鼻水や鼻づまりなどの症状もみられます。
原因はまだ明らかになっていませんが、脳にある視床下部の機能異常や、目の奥にある海綿静脈洞内の内頚動脈の拡張が関係していると考えられています。
飲酒によって悪化しやすいのも特徴です。

1-2.二次性頭痛

くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎などの病気の症状として現れる頭痛で、生命に関わる危険性を伴うこともあります。
症状は疑われる原因疾患によって異なり、個人差もあります。
今までに経験したことのない突然の激しい痛みや次第に悪化する痛みなど異常を感じる頭痛の場合には、早めに医療機関を受診して原因を明らかにした方が安心です。

このほか、かぜや二日酔いが原因で一過性に頭痛が現れることもありますが、これらの場合にはほとんど自然に治ります。

また、頭痛薬の飲みすぎで逆に頭痛を悪化させてしまう『薬物乱用頭痛』と呼ばれるものもあります。
薬剤を常用していると脳などの中枢神経が痛みに敏感になります。その結果、少しの刺激でも頭痛が起きやすくなって頭痛の頻度が増えると考えられていますので、自己判断での服薬には注意が必要です。

2.西洋医学における診断と治療

頭痛で病院を受診すると、一般的には、まず最初に二次性頭痛の原因となる病気が潜んでいないかをCTスキャンやMRIで調べることになります。
あわせて血液検査や髄液検が行われることもあります。

頭痛の原因となる病気が存在しなければ、問診や診察を通じて得られる詳しい情報(頭痛の起きている場所や頭痛の状態、持続時間、誘因、光、音に対する過敏性など)から一次性頭痛の診断が進められます。

一次性頭痛のうち、頭痛による苦痛や日常生活への支障がなければ特別な治療を行わず経過観察となることもあります。
また、生活習慣の改善やストレッチなどで対応する場合もあります。
頭痛による苦痛を感じていたり日常生活に支障をきたすような場合には以下のような治療が行われます。
●薬物療法
●行動療法:緩和訓練(リラクゼーション)、認知行動療法など
●理学療法:経皮的電気刺激、カイロプラクティックなど
●サプリメント:マグネシウム、ビタミンB2

頭痛は内科や脳神経内科などの診療科で対応しています。
頭痛について専門的知識を持つ医師が診察する頭痛外来を設置している医療機関があるようなので、頭痛の状況に応じて受診を検討するのもおすすめです。

3.東洋医学における頭痛の原因

東洋医学上の古い文献において、頭痛は『脳風』、『首風』、『頭風』という病名で記されています。
ここで、3つに共通している一文字 ❝風❞という漢字に気が付きましたか?
そう、まさに頭痛の症状には❝風❞=風邪(ふうじゃ)が深く関与する、とされてきました。
風邪とは、春にはそよそよふわふわと、秋冬にはびゅうびゅうと吹きつける、あの❝風(かぜ)❞のことです。
風と頭痛の関係がどのように関連しているのか、「頭痛」の症状がおこるのか、東洋医学的な原因と原因別症状の特徴を探っていくことにしましょう。

3−1.外感頭痛(外気の影響によるもの)

風・寒・湿・熱などの外邪(病気の原因となりえるもの)が身体に入り込み、頭部を中心とする体内循環が停滞して、気血の流れが妨げられることから、頭痛の症状を発症します。
風邪(ふうじゃ)は、身体の上部あたりから他の外邪を伴いながら、身体に侵入してきます。
また、症状の悪化は急性でが多く、急な頭痛の悪化を特徴とします。

(1)風寒頭痛

風邪が寒邪(冷え)を伴い身体に入り込んだことが原因となる頭痛です。
特徴としては、頭部から項(うなじ)あたりに痛みが広がり、締め付けられるような感じを伴います。
また、冷たい風にあたると寒気がして症状が悪化する傾向にあり、身体を温かくすることで痛みが和らぎます。
鍼灸や漢方では、疏風散寒、辛温解表といった治療方法により、風寒邪を身体の外へ追い出すように治療を行います。

(2)風熱頭痛

風邪が熱邪(熱)を伴い身体に入り込んだことが原因となる頭痛です。
熱(火)邪には、炎上する性質をもつことから、頭部が張ったような感じがして激しくなると割れるように痛む、という特徴を持ちます。
鍼灸や漢方では、疏風清熱、辛涼解表といった治療法により、風熱邪を身体の外へ追い出すように治療を行います。

(3)風湿頭痛

風邪が湿邪(湿気)を伴い身体に張り込んだことが原因となる頭痛です。
特徴としては、頭部が何かに包み込まれているように締め付けられている感じがして、曇りや雨天に悪化しやすい、ということがあげられます。
鍼灸や漢方では、祛風燥湿といった治療法により、風湿邪を身体の外へ追い出すように治療を行います。

3−2.内傷頭痛(外気の影響以外によるもの)

精神的ストレス、食事の不摂生、肉体疲労、睡眠不足などが原因となり、臓腑(東洋医学でいう内臓のこと)の働きが低下することで、頭痛の症状を発症します。
五臓六腑のうち、頭痛に深く関与する臓腑は、肝・脾・腎の3つの臓です。

(1)肝陽上亢頭痛

精神的ストレスにより、身体が過度に緊張した状態となり、肝の臓の働きが低下、あるいは過剰に働きすぎることを原因とする頭痛です。
過度の憂鬱状態、考えすぎ、我慢、怒りなどの情緒変化は、肝の臓の働きを低下させ、体内の正常な気血の循環を停滞させやすくなります。
そして、そのような過緊張な状態が継続すると体内には邪熱(過剰な熱)が生まれやすくなります。
この邪熱が頭部に上昇することから、頭痛の症状がひきおこされます。
このタイプの特徴として、両側頭部から頭頂にかけて頭痛がひろがり、めまいのようなふわふわ感を伴うことがあります。
鍼灸や漢方では、平肝潜陽といった治療法により、肝の働きを回復させてその異常な働きを沈めるように治療を行います。

(2)痰濁頭痛

飲食の不摂生、または体質的な胃腸の弱りにより、脾の臓の働きが低下することを原因する頭痛です。
食べすぎ、飲みすぎ、油っこいもの、辛いもの、アルコールの過剰摂取などは、消化吸収の働きを低下させ、身体のなかに痰湿(体内老廃物、いわゆる痰)を発生させやすくなります。
この痰湿が身体の正常な循環を邪魔して頭部まで栄養を送り届けることができなくなることから、頭痛の症状がひきおこされます。
このタイプの特徴として、頭がぼんやりとして、重だるさや悪心、嘔吐(気持ちの悪さ)を伴うことがあります。
鍼灸や漢方では、化痰降逆、健脾去湿といった治療法により、痰湿を身体の外に排出させる、または脾の臓の働きを高めるように治療を行います。

(3)瘀血頭痛

瘀血を原因とする頭痛です。
頭部の怪我、長期の病などにより、血流が悪くなり血液が滞った状態になると、東洋医学的に❝瘀血(おけつ)❞と呼ばれるものが体内に溜まりやすくなります。
瘀血は、いわゆる血流の悪さと血液の滞りのようなものであり、身体の正常な循環を邪魔することから疼痛の症状がひきおこされます。まで栄養を送り届けることができなくなることから、頭痛の症状がひきおこされます。
このタイプの特徴としては、痛む部位が一定せず、刺されるような激しい痛みがする、ということがあげられます。
また、瘀血が生成される原因は、上記のほかにも、気滞瘀血(身体の循環停滞)、気虚瘀血(エネルギー不足)、血虚瘀血(血の不足)、寒凝瘀血(冷えによるもの)など様々です。
鍼灸や漢方では、活血化瘀といった治療法により、瘀血を身体の外に排出させるように治療を行います。

(4)腎虚頭痛

腎の臓の弱りを原因とする頭痛です。
腎虚とは、虚弱体質・過労・過度な性生活・加齢などが原因となり、身体に疲労がたまって体力が衰えてしまい、身体を正常に機能させるために必要となるエネルギー(腎精、腎気)が不足してしまった状態のことをいいます。
東洋医学では、❝脳は髄の海❞といい、脳には腎が深く関与します。
腎精が不足した状態になると、脳髄は濡養されず、脳が空虚になることから、頭痛の症状がひきおこされます。
このタイプの特徴としては、頭が空虚な感じの頭痛がする、腰や膝がだるく力が入らない、疲労感がある、忘れっぽい、耳鳴り、目のかすみ、無気力感、などがあげれらます。
鍼灸や漢方では、養陰補腎といった治療法により、腎の働きを回復させるように治療を行います。

(5)気血両虚

虚弱体質・大病や慢性病を患った後・疲労が続き睡眠不足が続いた場合、身体の気(エネルギー)や血が不足しがちとなり、それにより頭痛が引き起こされます。
このタイプの特徴としては、頭がしくしく痛む、ふらつきを伴う、動悸がして落ち着かない、疲れやすく身体に力が入らない、息切れがしやすい、汗をかきやすい、などがあげられます。
鍼灸や漢方では、気血両虚といった治療法により、気血の不足を補うように治療を行います。

4.頭痛に対する鍼灸治療

ここまで、頭痛とは何か、また東洋医学的にはどのようにして頭痛がひきおこされるか、そのメカニズムについてご紹介してきました。

次に、東洋医学的な治療法についてですが、「頭痛は鍼灸により治療できるのか??」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、WHOによる鍼灸の適応症のひとつとしても正式に認められており、鍼灸治療により改善の可能性がある疾患の一つとされています。

一般的な頭痛に対する投薬治療を受けている方の中には、『鎮痛剤を毎日飲み続けることにストレスを感じる』『頭痛薬が効かなくなってきたように感じる』『病院では特に異常がなく原因もわからず診断もないが、頭痛の症状がとにかくつらいので何かしたい』と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。

鍼灸治療の場合には、先にご紹介をした「頭痛の症状を引き起こす根本の原因」をみつけだし、それを正すように鍼や灸を用いて治療をしていくことによって、頭痛のつらい症状を取り除くとともに、頭痛の症状がおきにくい身体づくりを目指していきます。

鍼灸で一度の施術に使うツボは1~3つで、施術時間は休憩含めて1時間程度です。
なお、鍼灸の施術に入る前には、予め、詳しく問診をする必要があり、症状だけでなく、他にもある様々な身体の症状(愁訴、随伴症状といいます)、その人の体質や体格、その時の体調、施術をする時の季節、天気、生活スタイルなども考慮する必要があります。
その上で、その人の身体全体の状態(脈、舌、顔色、身体の熱冷のかたより、身体の緊張、手足ツボの反応など)から、総合的にみて最も原因にふさわしいツボを選び鍼灸の施術をします。
そのため、頭痛の症状や原因が同じでも、その時々で使用するツボは変えることが必要となります。

5.頭痛に効く食養生

頭痛に対する食養生は、頭痛の原因に応じた食材を選ぶと効果的です。

●外邪による頭痛
特に風邪(ふうじゃ)への抵抗力を高めるとよく、からだを温める作用のある食べ物が向いています。代表的な食品はネギ、ショウガ、コショウや、カルダモン、シナモンなどのスパイスです。

●痰濁(水毒)による頭痛
体内の余分な水分を排出する作用のある食べ物が向いています。代表的な食品はダイズやアズキなどの豆類、海藻類、タマネギなどです。

●瘀血による頭痛
血の巡りをよくする作用のある食べ物が向いています。代表的な食品はいわしやサバなどの青魚、玉ねぎです。体を温める食べ物とあわせて摂取するとより効果的です。

●気・血・精の不足による頭痛
からだの源となる血や気を補う食べ物をしっかり摂ることが大切です。
血を補うには赤い食べ物(なつめ、クコの実、いちごなど)や黒い食べ物(黒ゴマ、黒豆、ひじき、のりなど)がおすすめです。
また、気を補うには白米や豆類、卵などが効果的です。

それぞれの食材の効能も大切ですが、偏った食事は逆に頭痛を悪化させる場合もあります。食材の組み合わせを考えながら楽しく食事を摂ることも大切です。

6.日常生活でできる慢性頭痛の予防

慢性頭痛は、生活習慣やストレスによって引き起こされることが多いため、生活習慣を整えることが予防策のひとつとなります。

①規則正しい生活を心がけ、適度な睡眠時間を確保する
寝不足や寝過ぎ、疲労の蓄積、空腹などはストレスとなり片頭痛の誘因となるので避けましょう。
休日だからといって、寝だめや二度寝をすると逆効果となることがあります。寝過ぎて頭痛が起こる場合は、休みの日でもできる限りいつもと同じ時間帯に起きるようにしましょう。
また、昼寝をすると頭痛が起こる人もいますので注意しましょう。
特に生理中の女性は無理は厳禁。十分な睡眠で体を休めることが養生につながります。

②一日三食、バランスのよい食事を摂取する
特に空腹は片頭痛を誘発することがあるので注意しましょう。
マグネシウムやビタミンB2は頭痛の予防に有効とされていますので積極的に摂取するようこころがけるとよいでしょう。
逆に、チョコレートや脂肪分の多い食事は片頭痛を引き起こす誘因となることがあるので、頭痛が起きた時の食べ物を把握しておくとよいでしょう。

③ストレスをためない
何事もほどほどに。働きすぎ、考えすぎなどストレスとなる行動に注意し、気持ちに余裕を持った生活をめざしましょう。
適度な運動でからだをほぐし、筋肉の緊張をほぐすことも効果的です。

④からだを温める
入浴は血行がよくなり筋肉の緊張もほぐれるのでよりリラックスの効果が期待できます。

⑤片頭痛の誘因をできるだけ避ける
光やアルコールなど、片頭痛を引き起こす要因を避けることも予防につながります。
もし片頭痛の発作が始まったら、頭を冷やし、静かな暗い部屋で刺激を避けながら休むことも大切です。

7.まとめ

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?
慢性の頭痛に対しても鍼灸治療が有効であること、日常生活で頭痛を予防できること、ご理解いただけましたでしょうか。
頭痛に対する鍼灸治療の効果は昨年6月にNHKの番組でも取り上げられています。
鎮痛薬を常用している方で頭痛でお困りの方、今回の記事をみて一度鍼灸治療を試してみたいと思った方、ぜひ一度お近くの鍼灸院に相談してみてください。

今回はここまでとなります。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考資料:WEB版 MSD マニュアル(家庭版)、慢性頭痛の診療ガイドライン(市民版)、東方栄養新書、食材効能大事典、標準中医内科学、鍼灸臨床能力(北辰会方式 理論編・実践編)

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