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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】生命の種火 腎のちから!

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。
いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

読者のみなさまは、五臓六腑って、一度は聞いたことがあるのでは??
これは、東洋医学における、いわゆる内臓に対する考え方の分類であり、以下のものが含まれます。

  五臓:(肝・心・脾・肺・腎)
  六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)

これまでの記事、不妊症・腰痛・肩こりなどのテーマの中で、身体の不調の原因に『腎』が深くかかわっていることをお話してきました。
今回は、東洋医学における『腎』とはどういった臓なのか、についてご紹介をします。

1.腎とは

『腎』の臓は腰のあたり、第2腰椎(第14椎=命門というツボ)の両脇に位置し、形は一対でそら豆のような球形をしています。

あれ?現代医学でいうところの腎臓と同じではないの?と、疑問に思われませんか??
そうなんです、内臓でいうところの腎臓と似ていますね!!
ですが、そもそも東洋医学の臓腑と現代医学の内臓とは考え方が大きく異なっていることから、全く別のものとしてとらえています。
そのため、この後ご紹介する、腎の特徴についても、腎臓と似ているところもあれば、そうでないところもあります。

ここで、少しだけ内臓と臓腑の違いについてふれておきます。

<内臓-現代医学>
人体を解剖的な知識にもとづき、組織や内臓をみていく。
形態や数値の異常をみつけて診断の材料とする。

<臓腑-東洋医学>
身体表面に現れる人体の生理・病理現象をもとに、臓腑をみていく。
脈、舌、経絡、経穴(ツボ)の反応など、身体の表面の状態を診断の材料とする。
※現代医学の病名、診断結果、検査値も参考にします。

2.腎のはたらき

次に、腎の臓の役割を具体的にみていくことにしましょう。

2-1.成長・発育・生殖に深く関与

腎は、生命エネルギーである『精』を貯蔵し、人の成長・発育・生殖に深くかかわります。
『精』には、おおきくわけると、両親からうけつぐ『先天の精』、生まれた後に食べ物から栄養として補われる『後天の精』の2種類があります。
成長・発育にするに従い、この『精』が充実してくる(専門用語で天癸至るといいます)、生殖機能がそなわります。
生殖機能とは、いわゆる女性でいうところの初潮にあたることから、女性の場合、天葵いたることにより妊娠、出産が可能になになります。
逆に『精』が不足してくると、次第に加齢がすすみ、月経は周期が乱れたり、量が減ったりして、閉経を迎えます。
タイトルの通り、腎は生命の種火を灯し続ける、とても大切な役割を果たしているのです。

2-2.漏らさず、蓄える

腎は、身体にとって必要な生命エネルギー・水分などを、必要以上に漏らさず、あるべき場所にしっかり保持しておく役割(固摂作用)をもちます。
このことを、腎は封蔵(ふうぞう)をつかさどる、といいます。

では、腎の封蔵機能がおとろえると、どんなことがおこるのでしょうか?

1)精の漏れ ⇒ 早漏、遺精
2)尿の漏れ ⇒ 尿漏れ、尿失禁
3)大便の漏れ ⇒ 大便失禁、重度の下痢
4)経血の漏れ ⇒ 不正性器出血
5)胎児の漏れ ⇒ 早産、流産

このように『漏れ』がおこりやすくなります。

2-3.体内の水分代謝を管理

腎は、体内の水分代謝に深く関与し、不要な水分を膀胱に貯めて尿として排出したりしたり、必要な水分を再吸収して、全身へ戻すことに深く関与します。
膀胱が開くと排尿、膀胱が閉じると蓄尿、がそれぞれおこなわれますが、この開闔(かいこう)がまさに腎によって管理されているのです。
また、二陰といって、尿道と外生殖器、肛門もまた、腎が深く関与しています。
体内の水分代謝が上手くいかない場合、
・尿が出にくく浮腫みがでやすくなり、排尿痛や血尿が出やすくなる
・頻尿、尿漏れ、夜間尿、大便の漏れ、脱肛
などの症状が出やすくなります。

2-4.強い意思を持ち続ける

腎は『志』を蔵す、といいます。
これは、腎が成し遂げようとする、強い意思と関連していることを意味します。
そのため、腎がしっかりしていないと、根気が続かない、優柔不断、びくびくしやすくなりやすい、など意思がゆらぎやすくなります。

2-5.細かな身体動作

腎は『技巧』を主る、といいます。
これは、腎は俊敏な動作や精巧な動きに関連していることを意味します。
そのため、腎が弱ると、疲れやすい、腰膝酸軟といわれる腰と膝のだるさ、思うように身体が動かない、動きが鈍い、などの身体面の症状が出やすくなります。

2-6.吸った息を身体の奥深くまで

腎は『納気(呼吸)』を主る、といいます。
これは、肺と連携して、吸った空気を身体の奥深くまで引き入れる作用のことをいいます。
そのため、腎が弱ると、呼吸困難や慢性的な咳の症状が出やすくなります。
腹式呼吸、臍下丹田呼吸法などは、下腹部、ちょうど腎のいちするあたりを意識した呼吸であり、腎の力で身体の奥深くまで空気を届けることができる、ということがいえます。

2-7.骨、髄、耳、髪、腰と関係する

『腎精』が生命エネルギーであり、人間の成長に深く関与することは、先にご紹介をしたとおりですが、『腎精』は、身体の各部分に反映されます。

・骨格、歯
・脳(髄)
・耳(聴覚)
・髪

『腎精』の不足により、これらの部分に問題がでてくると発育不全につながります。
発育不全のことを、東洋医学の専門用語では、『五遅五軟(ごちごなん)』といいます。

<五遅>
・立遅(りっち) 
生後一年たっても、一人で立ちあがることができないもの。

・行遅(こうち)
1才すぎても、ときには2、3才になっても歩行ができないもの。

・髪遅(はっち)
生まれた時に髪がなく、時が過ぎても髪がはえそろわないもの。

・歯遅(しち)
10ヶ月たっても歯がはえてこないもの。

・語遅(ごち)
4~5歳位になってもまだ話すことができないもの。

<五軟>
・頭軟(ずなん)
頭を持ち上げられない、泉門が閉じない。

・項軟(こうなん)
首がすわらないこと。

・手足軟(しゅそくなん)
手足が軟らかくて無力である。

・肌肉軟(きにくなん)
筋肉がやせていること。

・口軟(こうなん)
しっかり噛むことができず、涎(よだれ)が多いこと。

2-8.腰は腎の府

腰と腎は深い関連性があることから、腎が弱いと腰の症状が出やすいことを意味します。

3.腎に関係する経絡、経穴

経絡とはは、経穴(いわゆるツボ)をつなぎ、気血水を体中に巡らせる、まるで川の流れのようなものであり、臓腑の数と同じ12個存在している、といわれています。
腎の臓に関係する経絡は、足少陰腎経といいます。
その足少陰腎経上にある、代表的な経穴(ツボ)としては、以下のようなものがあります。

<要穴>
原穴 : 太渓
郄穴 : 水泉
絡穴 : 大鍾
募穴 : 京門
背部穴 : 命門、腎兪、志室

<五行穴>
井木穴 : 湧泉
滎火穴 : 然谷
兪土穴 : 太渓
経金穴 : 復溜
合水穴 : 陰谷

4.まとめ

どうでしょうか? 今回は『腎』についてご紹介をしてきましたが、『腎』が、タイトルのとおり、生命の種火を灯しつづける生命の根源である、ということが、おわかりいただけましたでしょうか。
不妊症など他の記事で、腎についてもう少し知りたい、と東洋医学に対する興味を持たれた方への理解のお手伝いができれば、幸いです。

また、記事内『腎』のはたらきの中に出てきた、様々な症状に対しては、鍼灸によるアプローチが可能となっており、その効果は、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

この記事を読んで、東洋医学的な治療を受けてみたい、あるいは鍼灸治療に興味を持った、自分の症状も『腎』が原因なのでは?と思う、そんな方々は、ぜひ近くの鍼灸院、鍼灸院に相談をしてみて下さいね。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

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参考文献:鍼灸臨床北辰会方式理論編 ほか


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