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世一の勉強部屋

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noteは本当に勉強になる。 こんな勉強部屋を少し前までわたしは知らなかった。 少しずつ増やしてゆきます。スキしてくれた人は覚悟して。 本当はキチンとお知らせとお礼をすべきところ… もっと読む
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記事一覧

子供のためのオルセー美術館(61)シスレー・道を描く、たぐいまれな眼/最後まで印象派だった唯一の画家

ぶれない! 道を描き 家を描き 空を描く。 シスレーは風景の絵を描き続けました。 シスレーが描くのは風景画だけ。ほかの絵は描きません。 モネとはもう昔からの仲良しだけど、見た物を正確に形をきちんと描くシスレーは、モネとは全然違う描き方なのです。 さあ、もの静かなシスレーの世界をちょっと見にいきましょう。 ここは小さな村の丘の上 小道の両側には、果物が採れる果樹園や野菜の畑があって緑がいっぱいです。 道を描く。 がんじょうそうな手すりも、道にそって長くのびて ずう

グイド・レーニ『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』と思われていた肖像画の話

バロック期に活動したグイド・レーニが描いたとされる「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」。 ベアトリーチェ・チェンチは、ローマの貴族家庭に生まれ、父フランチェスコは暴力的かつ不道徳で家族を虐待していました。ベアトリーチェらは、父親の虐待を当局に報告しましたが、何も変わらず、その後、一家は父親を殺す計画を立てます。計画は実行され、父親は殺されましたが、一家は逮捕され、死刑が宣告されます。ローマの人々は一家の動機に同情したものの、教皇は無慈悲で、ベアトリーチェと家族は1599年に処

ブルーランプ

昔に生きた市井のひとたちの生き様に惹かれて作ったお話です。 白黒映画や、セピア色の写真のような空気感を出したくて描きました。 大人用の青年漫画として描いたので、性的な表現がございます。 それでも大丈夫という方がいましたら、よろしければご覧ください☺️ タイトル  「ブルーランプ」 46ページ作品 ここまで読んでくださり、ありがとうございました!☺️ わたくしのプロフィール代わりの記事はこちらです。

小田雅久仁 「夢魔と少女」〈前篇〉

一 亡霊のほとんどは場所に憑くもので、ひとところに執着して来る日も来る日も道端に立ちつくしたり、打ち捨てられた屋敷のなかを果てもなく歩きまわったりする。人や物に憑く亡霊もいて、そういう連中はその人や物の行く先ざきにどこまでもついてゆく。いずれにしても、亡霊というやつは、自らの意思で自由に歩きまわることがない。言葉が通じるやつもいるが、空気が読めず、自分のことばかり話したがり、ろくに人の話を聞かない。かと思うと、ただただぼうっとしてひと言も口を利かないのがいたり、猛犬さながらに

使徒パウロによる布教の結晶、野蛮人の回心と改心

哲学を語りたいのですが、やはり、その後のケルト人に関して記事にしたほうがよりいい内容になると思いましたので、再び歴史の話に戻ります。 ガラテアのケルト人時は紀元前278年。ガラテアはアナトリア中北部の地域でケルト系ガリア人が定住しました。「ガリア」はギリシャ語で、ラテン語では「ガリ」と呼ばれたようです。 隣接するビテュニアの王ニコメデス1世(在位:紀元前278年~255年)からケルト人はこの地域を提供されました。 ガラテアを支配した部族は、トロクミル族、トリストボギイ族、

随想流転 「自作の作品集=高度経済成長+土曜は半ドン+大衆演劇」

随想流転「自作の作品集=高度経済成長+土曜は半ドン+大衆演劇」  さて、エセー集『あゝ ! なんてエモーショナルないかさま師』。24時間のダウンロード数がご覧頂けるように11件も頂いた。出来過ぎの数字だろう。あのクオリティーである。ダウンロードせずに読むことも出来るからして、多分ダウンロード数は少ないものと感じていたところ、ふたを開けてみりゃ、24時間、過去イチのダウンロード数。  この数字を前にして、益々「丁寧に喜んでいただけるものを創らなくては……」イカサマではなく心か

【エッセイ#29】 黒の妄想 -画家ゴヤの力について

幻想とひとえに言っても、様々なレベルがあります。この世の外のものを幻視してしまったかのような奇想もあれば、もっと人間くさい、激しい思い込みや思いつきに満ちた、妄想のレベルのものもあります。 18世紀末に活躍した画家フランシスコ=ゴヤは、しばしば幻想的な作品を描いたものの、多くはどちらかというと「妄想」に近い幻想でした。そして、それはこの時代ではかなり珍しく、今でも観る者の胸を打つ驚くべき作品となっています。 ゴヤは1746年スペイン生まれ。画家を志して当時の美術アカ

No.1062 二人の夫

約3,000篇もの彼の詩のほとんどは、短い詩です。その詩集『秋の瞳』(1925年)の中の10番目に次の詩があります。青空文庫で読ませてもらいました。 その詩集『秋の瞳』は、重吉が読者に宛てたこんな「序」から始まります。 その心の詩人・八木重吉(1898年~1927年)は、1922年(大正11年)に島田登美(17歳)と結婚。その4年後の昭和2年に重吉は結核のため29歳の若さで亡くなりました。 2人の子女、桃子と陽二をもうけましたが、1937年(昭和12年)に桃子(14歳

医者はなんのためにあるのか(ブラックジャック展より)人はなんのためにいるのだろう。

提出した目標シートを書き直すこと、2度目。定量的にと言われても、目標が会社全体へのコンプライアンスの「意識付け」にあるものだから、数値化出来ない。 「法令遵守の意識を育てるための認識教育を行い、定期的に試験する」と書いて了承をもらったが、 自主性を育成し、伸び伸びと活躍してもらうための土台としての法令遵守への意識付けは、試験結果で見えるものではない。 自分で書きながら、組織の中で評価をもらうための目標となってしまったことが、虚しくなった。 ……………… 働いていると、人ってな

再生

響く言葉

やはり、どんなニュースよりも彼の言葉が響き、伝えなければならないという気持ちになりました。

SS『引き継いだ翼』

有栖さんは、とても小柄で華奢な女の子で、大きな瞳がいつもキラキラ光る笑顔が素敵で、心の綺麗さが透けて見えるように美しく、しかも頭が良く控えめで、まったく、非の打ち所の無い人だった。いや、こんなに完璧な人が普通にいるわけはないし、まして、自分の一番の友達だなんて、信じられないことだった。実際、やはり僕らと同じでないことは、ようやく最近わかったのだけれど。 好きなものは恐竜と椅子だって、みんなの前で公言していた。どっちも形が魅力的なんだと、夢見るような表情で少し赤くなりながら熱

超短編小説【真似をする男】

【真似をする男】峯岸 よぞら 「あなた!今、この子が笑ったわ!」 「本当かい?生後二週目で笑えるのかい?」 「えぇ。本当よ!この子は将来偉大な子になるわね!」 「さすが、僕たちの子どもだ!」 我が子を愛している人は、何度か訪れたであろうこの瞬間。 僕はこうして優しく包んでくれる母と、情熱的で懐の深い父のもと、 愛情たっぷりに育っていった。 小さい頃は、両親のすることを真似していれば、沢山褒められた。 笑ったのもその一つだ。 ある時は、手を振ってみたり、パチパチして

太宰治【人間失格】におけるキリスト的「父性愛」と仏教的「母性愛」

 破滅型私小説の書き手である太宰治が上梓した、「人間失格」という異様な作品について取り上げる。太宰の自己否定的な作風を、単に精神病気質の一言で片付けてしまう様では、文学としてつまらない。一方で太宰の作品は評価が難しい所もあるため、この記事では個人的な読解が多く含まれる事を了承して頂きたい。 人間とは何か  人間とはどの様な存在かと問われた時、我々は漠然とした感覚を抱く事しか出来ず、詳細に言語化するのは不可能に近い。しかしながら人間は、その不確かな感覚をそのままに放置して、

制作日記ー甲斐荘楠音の全貌展ー

8月1日 今日はお休みの日。 主人もお休み。 今週末に実施される資格試験の追い込み中で、一人にさせた方がいいと思い、外に出ることにした。 午前中に病院に行き、変わらず牧師のような先生と体調について話す。 一度家に戻り、おにぎりを食べてから、再度外出。 東京ステーションギャラリーにて開催中の「甲斐荘楠音の全貌展」に行く。 甲斐荘楠音。。。 この方を始めて知ったのは、紛れもない19の秋。。。 大学の生協でこの本が目にとびん込んだ。 けして豹柄おばさんだけでない、め