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手続・制度上の特徴:ロンドン大学会計学修士プログラム

こんにちは。べえたです。

これまで、このnoteでは、ロンドン大学の会計学修士プログラムについて、ご紹介してきました。

上記リンク先の記事では、プログラムのおすすめポイントについて、以下の3つを紹介しています。

  • 短期間で修了可能

  • 低価格で受講可能

  • 柔軟なスケジュール

今日は、これらのポイントに加えて、他の海外通信制大学院との比較を交えつつ、出願手続きや試験制度上の特徴について、ご説明したいと思います。


出願手続

通常、海外大学院を受験する場合には、必要書類を準備し、出願要件を満たすための準備をする必要があり、その負荷は非常に高いです。

ロンドン大学の会計学修士プログラムは、出願手続き書類の多くが免除もしくは軽減されるという点で、大きなメリットがあります。

(1)卒業・成績証明書の免除

多くの場合、海外大学院に出願する場合には、日本の大学の卒業証明書や成績証明書を送付し、出願要件を満たしていることを証明する必要があります。

その際、多くの場合で、大学での成績(GPAなど)が合否判定に使用されます。
また、受講するプログラムの内容と学部の専攻が異なる場合には、専門性が不十分であると見なされ、選考上、不利になるケースもあります。

しかし、ロンドン大学の会計学修士プログラムでは、ACCA(英国勅許会計士)やUSCPA(米国公認会計士)の資格証明を提出すれば、大学の卒業証明や成績証明は不要です。

これは、プログラムが主たる受講生として想定しているACCAが、イギリスの教育制度において大学の学士~修士レベルと同等と見なされていることが背景にあると考えられます。

(参考:P.5の右側表)
ACCA-Qualification-(formal-recognition-overview)-2021.pdf (accaglobal.com)

成績についても同様に、試験合格者は既に一定程度の学力を身につけていると判断されており、成績証明が免除されていると考えられます。

また、こちらの記事でもご紹介した通り、修士号の取得に必要とされる180単位のうち、120単位を会計資格で充足したと見なされるという点も、会計資格の活用という観点からは、大きなメリットと言えるでしょう。

会計資格の信用をアカデミックの場でも適用するというシステムは、非常に面白いですね。

(2)英語要件の免除

会計学修士プログラムでは、ACCAやUSCPAの資格保有者は、出願時の英語要件が免除されます。
以前の記事でも少し触れていますが、こちらもかなり大きなメリットであるため、改めてご説明したいと思います。

海外大学院へ進学を希望する場合には、ほとんどの場合、IELTSやTOEFLなどの英語の検定試験のスコアの提出が求められます。

ロンドン大学の通信制大学院の場合、以下のような要件が求められます。

  • IELTS: 6.5 overall, with 6.0 in the written test

  • TOEFL iBT: 92 overall, with 22+ in reading and writing and 20+ in speaking and listening

通信制大学院の場合、英語要件は通学制のプログラムと比較して低めに設定されていますが、それでもIELTSやTOEFLのスコア確保は、海外大学院出願の最大のハードルの1つであるため、その免除のメリットは、非常に大きいと言えるでしょう。

(3)簡素な志望理由書

海外大学院に出願する場合、ほとんどのケースで、志望理由書の提出が必要となります。

志望理由書では、自分が何故そのプログラムを受講したいのかや、受講中の研究計画、修了後のキャリアの展望などについて、オリジナルなストーリーを構成して書く必要があります。
(場合によっては、専門の業者に添削を依頼するケースもあります)

さらに、志望理由書に加えて、学部の教授や上司などからの推薦書が求められるケースもあります。

しかし、こちらの記事でも触れているとおり、会計学修士プログラムでは、出願時に求められるのは、200 wordsほどの簡単な志望理由のみであり、推薦書も不要です。

この点でも、出願負荷は非常に軽減されていると言えるでしょう。

試験制度

ロンドン大学の通信制プログラムは、全世界の受講生が録画された講義をオンラインで受講するというスタイルということもあり、いわゆる出席点や講義内の確認テストなどが評価対象となるケースはほとんどありません。

そのため、試験が成績評価に占める割合が極めて高く、試験制度も非常に重要なポイントです。

(1)課題100%&絶対評価の評価制度

以前の記事でも触れたとおり、会計学修士プログラムでは、期末の課題のみで成績が判定されます。

課題はいずれも個人の作業のみで完結可能なものであり、最終的に締切までに指定のWebサイトに課題をアップロードすれば完了する形です。

Capstone projectでは、グループワーク(Icarus)の振り返りも採点対象となりますが、こちらも個人としての振り返りをまとめるものですので、独力で完結できます。

また、評価についても、絶対評価で行われており、他の受講生のレベルによって成績が左右されることはありません。

このように、他の受講生との比較の要素が少ないため、受講生同士の相互支援やチューターからのサポートが円滑に進みやすく、課題に取り組むにあたって、自分でコントロールできる範囲が大きいことが、魅力の1つです。

(2)長期間の課題準備期間

会計学修士プログラムの課題は、計算系のモジュールはExcelでの計算・論述問題、論述系のモジュールはWordでの論文作成の形で出題されます。

各モジュール終了の2週間前ごろに、課題が発表され、モジュール終了から2週間後が提出締切となるケースが多いです。

このため、課題の発表から提出まで、概ね4週間(1ヶ月弱)の作成期間が与えられます。

ちなみに、ロンドン大学の他のプログラムでは、以下のような試験制度のケースもあるそうです。

  • British Councilなどの試験施設に出向き、2~3時間の論述試験を受験

  • 指定のWebサイトにアクセスして問題をダウンロードし、2~3時間以内に回答を作成してアップロード

  • 期末試験の受験資格を得るために、2,000 words以上のエッセイを提出

また、複数の試験を組み合わせ、レポートと試験(時間制限有)の双方で評価をするケースもあるそうです。

英語ネイティブの学生もいる中で、2~3時間で論述試験に回答するのは、かなりハードですね。

こういった他のプログラムと比較すると、会計学修士プログラムは、短期戦ではなく長期戦であるため、ネイティブと比較して英語力に自信が無い受講生の方でも、より多くの時間を投入することで英語力の不足を補う余地が大きいと言えます。

こちらの記事でも記載していますが、こういった長期戦を戦うためには、事前準備や他の受講生やチューターの協力を得ることが重要です。

まとめ

今回は、ロンドン大学の会計学修士プログラムの出願手続きや試験制度上の特徴について、お話ししました。

これまでの記事と重なる部分もあり恐縮ですが、重要だと感じるポイントを振り返りながらまとめましたので、少しでもご参考になれば幸いです。

ロンドン大学会計学修士プログラムは、会計資格の受験を通じて得た知識やスキルをアカデミックでも活用できるという点が、他の海外通信制大学院と比較した場合の最大の特徴であり、メリットだと思います。

また、決して簡単なプログラムではありませんが、自分の努力でコントロールできる範囲が広い試験制度が採用されており、その意味でフェアな環境で学習ができたと感じています。

会計資格を梃に、アカデミックな学習を希望される方には、おすすめできるプログラムですので、興味のある方はご検討されてみてはいかがでしょうか。

このnoteでは、英語と会計両方を学ぶ、ロンドン大学会計学修士プログラム(MSc in Professional Accountancy)や米国公認会計士(USCPA)を中心に、概要のご紹介や学習法アドバイスなどを発信しています。

もしよろしければ、これまでの記事や今後の記事もご覧いただけると嬉しいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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