Jorge OSHIRO

散歩の凡人 a.k.a シティおじさん

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記事一覧

『沖縄本礼讃』を礼讃する

ボーダーインクから〈ボーダー新書〉というシリーズが出ている。知人から小浜司『島唄レコード百花繚乱〜嘉出苅林昌とその時代』をもらったのがきっかけでそのことを知った…

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9年前

虚無への供物、もしくは鶴見'90

ツイッター上でクインクティウス・フラミニヌス氏(@88mill)が『虚無への供物』に登場する薔薇について考察していた。現実と虚構の照応を検証したもので興味深い。勝手な…

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9年前
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『月蝕領映画館』を探して

中井英夫全集12『月蝕領映画館』(創元ライブラリ、2006年)に伊地智啓が寄稿していることを知った。10年ほど前の刊行物だからすでに品切れ。仕方ないか。 「日本の古本屋…

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9年前

『沖縄まぼろし映画館』のこと

子供の頃、沖縄県の那覇市で育ったのだが、当時、市内の樋川という区域に住んでいて、近所には成人映画館があった。その名を開南琉映という。 ピンク映画を上映しているわ…

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9年前
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橋本愛を讃える

2014年8月31日をもって新橋ロマン劇場閉館。あれから1か月近く経ってしまったが、この先わたしはどこで日活ロマンポルノをみればよいのだろう……。最後の3日間はロマン…

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9年前
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さようなら、新橋文化劇場

 新橋文化劇場が2014年8月31日に閉館する。  8月9日から15日にかけて上映していたのは『スペース・カウボーイ』(2000年)と『エグゼクティブ・デシジョン』(1996年)…

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9年前

『契約 鈴木いづみSF全集』について(その1)

 これまで〈鈴木いづみコレクション全8巻〉や〈鈴木いづみセカンド・コレクション全4巻〉などを刊行してきた文遊社が、SFだけを1冊にまとめた『契約 鈴木いづみSF全集』…

Jorge OSHIRO
10年前
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『沖縄本礼讃』を礼讃する

『沖縄本礼讃』を礼讃する

ボーダーインクから〈ボーダー新書〉というシリーズが出ている。知人から小浜司『島唄レコード百花繚乱〜嘉出苅林昌とその時代』をもらったのがきっかけでそのことを知った。2009年頃からスタートしたようで、これまでに10冊くらい刊行されているみたい。

去年から那覇空港の売店でボーダー新書を買うようになった。新書判で手軽だから、機内で読むにはちょうどいいのだ。

今回手にしたのは、平山鉄太郎『沖縄本礼讃』

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虚無への供物、もしくは鶴見'90

虚無への供物、もしくは鶴見'90

ツイッター上でクインクティウス・フラミニヌス氏(@88mill)が『虚無への供物』に登場する薔薇について考察していた。現実と虚構の照応を検証したもので興味深い。勝手ながら転記しておく。以下は氏のツイートより。

先日、知人に1954年の三宿ガーデン薔薇カタログを頂いた。『虚無への供物』中に、「イギリスの名家マックレディの青い薔薇"ライラック・タイム"を輸入した、その三宿ガーデンが見え」とあるあの三

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『月蝕領映画館』を探して

『月蝕領映画館』を探して

中井英夫全集12『月蝕領映画館』(創元ライブラリ、2006年)に伊地智啓が寄稿していることを知った。10年ほど前の刊行物だからすでに品切れ。仕方ないか。

「日本の古本屋」で検索したら古書店にも出ていないみたいだし、図書館で借り出そうとしたら杉並区では所蔵していない。しょうがないなあ、どうせミステリー文学資料館に行くから(ちょうど中井英夫展をやっているのだ)そこでコピーすればいいや。と思っていたら

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『沖縄まぼろし映画館』のこと

『沖縄まぼろし映画館』のこと

子供の頃、沖縄県の那覇市で育ったのだが、当時、市内の樋川という区域に住んでいて、近所には成人映画館があった。その名を開南琉映という。

ピンク映画を上映しているわけだから、子供にとっては悪所だろう、近寄ってはいけない空気が濃厚に漂っていた。看板に書かれた扇情的な題名を見ることすら抵抗があった。いま考えたら、単なる文字なのにね。でも、ああいうものはどうしても目に入ってくる。ちらっと確認して、すぐに視

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橋本愛を讃える

橋本愛を讃える

2014年8月31日をもって新橋ロマン劇場閉館。あれから1か月近く経ってしまったが、この先わたしはどこで日活ロマンポルノをみればよいのだろう……。最後の3日間はロマンポルノの名作を連続上映していたので、おぼえがきとして記しておく。ちなみに、それぞれ恋の日、暴の日、秘の日とテーマが設けられている。

8/29(金)
『さすらいの恋人 眩暈〈めまい〉』(監督:小沼勝、1978年)
『恋人たちは濡れた』

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さようなら、新橋文化劇場

さようなら、新橋文化劇場

 新橋文化劇場が2014年8月31日に閉館する。

 8月9日から15日にかけて上映していたのは『スペース・カウボーイ』(2000年)と『エグゼクティブ・デシジョン』(1996年)。クリント・イーストウッドとスティーブン・セガールの2本立て。

 新橋文化といえばセガールというイメージが強いから、せっかくだし最後のセガールを堪能しようと足を運んだら、あれ? セガール隊長、開幕早々あっさり死亡……(

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『契約 鈴木いづみSF全集』について(その1)

『契約 鈴木いづみSF全集』について(その1)

 これまで〈鈴木いづみコレクション全8巻〉や〈鈴木いづみセカンド・コレクション全4巻〉などを刊行してきた文遊社が、SFだけを1冊にまとめた『契約 鈴木いづみSF全集』を新たに出した。わたしの場合、「SF作家としての鈴木いづみ」に関心があるので、こうした企画はとてもうれしい。

 鈴木いづみのSFといえば、かつてハヤカワ文庫JAから2冊の短篇集が出ていた。『女と女の世の中』(1978年)と『恋のサイ

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