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(Z38) 人口減少が続けば、最終的には失業や貧困が増加する。高齢化の進展により、労働意欲・労働生産性が低下し「広範な社会心理的停滞」が引き起こされる-2 (2021.12.6)by 山崎史郎 より抜粋加筆しました。

⑸ 出生率が高く、「勝ち組」とされるスウェーデンも、100年前に欧州の中で最低水準の出生率となり、大きな政策論争が巻き起こった


①その時に国論をリードしたのが、後にノーベル経済学賞を受賞した、グンナー・ミュルダール。

彼は、反産児制限を主張する人々には、
出生率低下を「個人のモラルの問題」とするのは誤りであり、
民主主義理念に基づき産児制限は認めるべきだと反論する。

一方、同時に、福祉向上の観点から人口減少は歓迎すべきことだと、
主張する「新マルサス主義者」に対して批判を行い、出産を奨励する
必要性を訴えた。


③ミュルダールは以下を危惧した。

・人口減少が続けば、いずれ消費や投資が減少し、
最終的には失業や貧困が増加すること。

・出生率の低下に伴う高齢化の進展によって、労働意欲・労働生産性が低下し、広範な社会心理的停滞が引き起こされること


④このため、人口減少による困難な事態が顕在化する前に、
それを避ける「予防的社会政策」を講じることが重要。

その方策として、すべての子どもの出産・育児を国が支援する、
「普遍的福祉政策」を推進すべきである、と主張した。


⑹ ドイツには、ナチス政権下での国家主義的・人種差別的な人口政策という、大きな「負の遺産」がある


①これに対する深い嫌悪と反省から、出生率や出産奨励策をめぐる議論は旧西ドイツでは、長らくタブーとされてきた。

国家は「個人的領域に介入すべきではない」とするのが、
多くの政治・行政関係者や有識者、一般国民に浸透した考え方だった。


②旧西ドイツは、男性は働き、女性は家で育児をする、
「伝統的家族モデル」を政策の基本に据えてきたため、
保育サービスは非常に低い水準にとどまっていた。

このため、出生率は低迷を続けたが、
それでも出産奨励策を支持する者は多くなかった。
日本とよく似た社会情勢。


③2000年代に連邦政府の家族政策担当大臣を務めた2人の女性が、
「政策の大転換」を図った。

その1人が2002年に担当大臣になったレナーテ・シュミット。

以下の目標を掲げ、仕事と育児の両立支援へと政策転換を図った。
「家族により多くの子どもを、社会により多くの家族をもたらす」


④それを引き継いだのが、2005年に担当大臣となった、
ウルズラ・フォン・デア・ライエン(現・欧州委員長)。

彼女が導入した両親手当制度は、以下に述べている。
「我々の社会が、子どもを持つかどうかの各人の選択に無関心でない、
という強いメッセージを示す制度である」


⑤結果、ドイツの出生率は以下のように増加した。
2011年は、1.36
2016年は、1.60
2019年は、1.54

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