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短歌・五七五詩

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#古典がすき

落ち葉|短歌

落ち葉|短歌

幽かなる落葉時雨の啼く声に
遠き窓辺の灯を思い侘ぶ

枝離れ 灯ともし頃を飛ぶ鳥の
願いをなぞり 発つ汽車に乗る

霜葉を集めて灯す火の色を
瞳の奥に永遠に秘す

しとやかに重なる落ち葉 緋と映えて
ふと愛しむ君の手のひら

誘い合い散りゆく葉と葉 手を預け
冬の果てなる春の日を待つ

陽だまりに落つる一葉に幸あれと
風をたのみに冬を彩る

散り敷いた紅葉黄葉を踏み分けて
落つることなき天を振り放

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きざはし|短歌de物語

きざはし|短歌de物語

紅に染めたる胸のきざはしを
 川に架けやる黒髪の姫

暮れかかる薄紅の灯を立てて
 桜の下で歌主を待つ

目見交はし寄り添ひてなほ憧るる
 そぞろに甘き 桜流しよ

時されど立ち去りかねて眺むれば
 心はゆかず 花筏ゆく

美しき髪梳れどもさみだれて
 耳朶に通はす風の音を聞く

歌主:(和)歌の作者/手紙の書き手
そぞろ:理由や根拠がないさま
時されど:時が来たけれど
心がゆく:心が晴れる/満足

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桜の君|短歌

桜の君|短歌

薄らかに かりそめ臥しの世は過ぎて
 時の川にぞ いざ夜離れせむ

 先日の 桜の姫 に続いて、桜の君 です。

 この世を愛おしく思って咲いていたけれど、もう倦んできたから散って去りますよ、というような意味。(のつもり)

 写真を撮りつつ感心するのが、桜の花びらの薄さ。だから風に乗れるのね。

 そして、和歌をひもときつつ感心するのが、古語の密度の高さ。数文字で、複雑な意味を表せるので、31文

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本歌取り...のつもり

本歌取り...のつもり

うす雲のあなたに睡るは月なれや
深き心を知る人のなき / 星の汀

浮草の上はしげれる淵なれや
深き心を知る人のなき/古今和歌集・恋/よみ人しらず

本歌取りにはルールやマナーがあるそうです。ネットで少し調べた程度なので、大丈夫でしょうか...(^^ゞ

 タイトル画像は、この間の満月あたりに撮った写真です。万年筆のブルーブラックのインクを水に溶かしたような空でした。ピアソラ色かもね。
#和歌  

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