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「双方が双方へ導く」関係性を

朗報です。

11月10日、出雲市のショッピングモール「ゆめタウン出雲」に紀伊國屋書店がオープンしました。これが山陰地方初出店とのこと。

大型書店の開店や閉店がニュースになるのは、いまのご時世では珍しくありません。しかし↑では、2年前に同市の本町商店街にオープンした街の本屋「句読点」も併せて紹介しています。山陰中央テレビさん、目の付けどころが素晴らしい。

「句読点」は新刊と古書両方を扱っているようです。詳しくはミシマ社さんのサイトに載っているインタビューをぜひ。出雲で本屋を始めるに至った経緯や店名の由来など、興味深く読ませていただきました。

前にも書きましたが、私はひとつのエリアに大型書店と街の本屋がひとつずつは必要だと考えています。

豊富な在庫を持ち、幅広いジャンルを押さえる大型書店は「目的買い」をするのに便利です。話題の新刊や発売されたばかりの雑誌、ベストセラー、人気コミック、そしていま必要な一冊(資格に関する本や実用書、学参など)がすぐ手に入る。

一方、売り上げ至上主義に流れがちなチェーン系ではなかなか目にしない埋もれた良書を「衝動買い」できる可能性が高いのは、小さな街の本屋。店主の目利きに加え、静かな空間でじっくり選べるからです。ミケランジェロが大理石から像を解放したと考えたように「この本は自分が棚から手に取るのを待っていた」と思える出会いを体験できるはず。

私は勤めている店の規模が中途半端なので、双方の「いいとこどり」をしようと目論んでいます。平積みしている売れ筋や話題書を切らさぬように留意しつつ、あちこちの棚に忍ばせた一冊で他店との違いを訴えていきたい。

大型書店と小さな街の本屋は必ずしも競合しません。むしろ双方が双方へお客さんを導く役割を果たしている。この関係性が全国各地でもっと育まれることを願っています。

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