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「言葉論」と「独立心」

「言葉の意味はよくわからないが、とにかくすごい自信だ」

アニメの「キン肉マン」で有名になったフレーズです。当時はそもそもこれの意味がわからなかったけど(笑)、いま考えると真理を突いています。

もちろん「思いを適切な言葉に乗せて伝えたい」という意志は大事。noteや読書メーターに文章を書くなかでその難しさを日々痛感しています。

と同時に言葉が全てでもない。意味は少しもわからないけどたしかに伝わる。心に染みる。いつまでも頭に残る。この「矛盾にも似た共存」に気付くキッカケになったのが↓でした。

平沢進「Aria」です。どこの国の言葉でもない何かで歌われています。神秘的なムードの中で弾け飛ぶ熱い魂を感じませんか? 劇場版「ベルセルク」第2作の主題歌と聞いたら納得してもらえるはず。

冒頭の「もうごめんなんだ。アイツの夢の中でアイツを見上げてるのは」というガッツのつぶやき。そして「彼らは最初から別々の道を歩む宿命」というナレーション。これらの言葉が私の中で「言葉の理解を超えた楽曲」を直観するトリガーになりました。

小学校でも大学でも「コイツすごいな」と脱帽できる人が身近にいました。向こうも私を認めてくれました。でも何かが違う。彼らはあくまでも「自分がトップ、お前はその次」という姿勢を崩さなかった。そこがどうしても受け入れ難く、やがて決裂してしまいました。

「俺はお前の下じゃない」という誇りと独立心。それらがなければ彼らとの付き合いはいまも続いていたと思います。

「起業したい」とか「偉くなりたい」「人の上に立ちたい」という欲は微塵もありません。にもかかわらず「誰かの下にいたくない」。何なんでしょうね、この面倒臭さ。

鴨長明「方丈記」を原文で読み返すたびに「コイツの気持ちわかるなあ」と苦笑します。あるいはその辺りにヒントが潜んでいるのでしょうか。

便利な現代語訳でスラスラ読み進めるのではなく、不便な原文をゆっくり解きほぐすからこそ伝わる何か。これも「言葉は大事。でも言葉じゃない」のひとつの形かもしれません。

似たようなエピソードがあったらぜひ教えてくださいませ。

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