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「ふたりの人気作家」及び「第43話」から学んだこと

東野圭吾さんの新刊が売れています。

シリーズ第2弾です。なお第1弾は単行本が2020年に発売され、昨年文庫になりました。

どちらもあらすじをチラ見しただけで「これ面白いやつだ」とテンションが上がりました。特に「覚醒する女たち」のハードボイルドな空気に惹かれます。興味のある方は↓を。

実は何年か前に東野さんのある新刊を読んで「もしかしたら、この方のピークはすでに…」と首を傾げたのですが(スイマセン)完全な誤解でした。

高い支持率を維持し続けるミュージシャンでも、長く活動していれば「あれ?」というアルバムが1枚や2枚は出てきます。しかし後で振り返ると、セールスこそ振るわなくても悪い意味での予定調和感を打破し、作品で描く世界観及びファン層を広げる役割を果たしている。東野さんの場合もそういうことだったのでしょう。

単行本の新作がコンスタントに売れる小説家は決して多くありません。東野さんと同じく伊坂幸太郎さんも稀有なひとり。著作をほぼすべて読んできましたが、彼のキャリアにおける「あれ?」は↓ではないでしょうか。

退屈という意味ではありません。印籠を見せない水戸黄門、怪獣と闘わないウルトラマンみたいなニュアンス。でもたとえば「ウルトラセブン」の第43話「第四惑星の悪夢」は本放送当時の評判こそ芳しくなかったようですが、いまでは絶賛されています。予算不足等の諸事情の産物とはいえ、シリーズの持つ時代を超えた普遍性と説得力を高めることに寄与した名作なのです。

喫緊の課題をどうにか乗り越え、かつ未来も視野の片隅に捉えておく。改めて「既存のファン離れを恐れず挑戦を続けているからこそ、いまの東野さんや伊坂さんがあるんだな」「ウルトラマンがずっと子どもたちから支持されているのも同じことかもしれない」と学びました。

セブンのDVD、久し振りに見ようかな。

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