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リアル書店で働く者の「誇り」

何度か紹介しましたが、渋谷の東急百貨店本店に入っている「MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店」が31日に閉店します。

↑によると、代替店舗の営業はなさそう。東急プラザ渋谷に入っていた「紀伊國屋書店・渋谷店」がやはり再開発の影響で2015年に営業を終了した際は、前年に「西武渋谷店」がオープンしたのですが。

売り上げ減が理由ではないゆえ、新しくできる施設で復活を遂げるかもしれない。ただ、東急プラザ渋谷の跡地で2019年に開業した「渋谷フクラス」の中に本屋はありません。あまり期待はできないかと。

もうひとつ気になるのは、働いている人たちの処遇です。皆さまがお店で遭遇する書店員の9割は非正規雇用。他店舗へ異動できる人ばかりではないはず。

「MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店」はワンフロアでは最大級の広さを誇ります。当然入ってくる本の量もすさまじいでしょうし、様々なタイプのお客さんと日々向き合っているはず。そこで長年踏ん張ってきた従業員なら、間違いなく他の書店から歓迎されます。

部外者の勝手な言い分で申し訳ないのですが、可能であればぜひ今後も書店員を続けてほしい。出版不況としつこく騒がれていますが、本を買ってくれる人はたくさんいらっしゃいます。忙しさは私が働き始めた頃から変わっていません。リアル書店はなくならないのです。

かつて松本人志さんは「神が人間を作ったと偉ぶるなら、それがどうしたと言ってやる。俺は笑いを作っている」という名言を残しました。ならば私は不遜を承知でこう書きたい。「町やビルを作ったと偉ぶるなら、それがどうしたと言ってやる。俺は本屋を作っている」

多くの人が離れていくこの業界にいまも留まっている。面白い本を選び、注文して棚に置く。時々売れている。大したことはしていません。でもそれが私の誇りなのです。

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