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「グレート・ムタ」とふたりの小説家

おめでとうございます。

アントニオ猪木さんや藤波辰爾さん、獣神サンダー・ライガーさんとは異なり、WWEでは一度も試合をしていないのに殿堂入り。改めてグレート・ムタがアメリカで残したインパクトの大きさを思い知らされました。

そもそもWWEがバックステージや式典のリハーサルの撮影を他団体に認めることが異例でしょう。武藤さんへの敬意の深さ及びプロレスリング・ノアの交渉力の高さの表れかと。

ムタといえば毒霧。口からカラフルな液体を噴き出すあれです。元祖はグレート・カブキさん(ムタはカブキの息子という設定)ですが、試合の重要なシーンで使ったのはムタが最初だった気がします。赤と緑を連続で噴くこともあって「どういう仕組みなんだ?」とワクワクしました。

学校の制服が夏服になると、体育の授業がプールの時間に変わります。シャワーのお湯を口に含んで毒霧の真似をする同級生が必ずいました。きっと全国的、いや世界的な現象だったに違いない。国内外のプロレスラーで「子どもの頃、テレビでムタの試合を見て憧れた」という人が少なくないのです。

ということは、もしムタが存在しなかったら、いま活躍する人たちの多くがレスラー以外の職業に就いていたかもしれない。

私が小説を書きたいと思ったきっかけは、小学生時代に読んだ夏目漱石「坊っちゃん」です。芥川龍之介の短編集も後押ししてくれました。彼らの作品に出会えなかったら、作家になるという夢にも書店員という天職にも恵まれなかった。新規ファンを惹き込む人の魅力は理屈を超えています。ただただ夢中にさせる。こういうのをカリスマ性と呼ぶのかもしれません。

いまの作家志望やプロレスファンの「入り口」は誰なのでしょうか? ちょっと興味あります。

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