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「完全無人書店」と「有効なデータの集め方」

少し前にnoteで紹介した完全無人書店が9月26日にオープンします。場所は東京メトロ溜池山王駅構内です。

支払い方法は完全キャッシュレス。入退場にはLINEミニアプリのデジタル会員証を使います。初回のみ簡単な会員登録が必要とのこと。ニックネームでOKみたいです。

行ってみたい気持ちは、あります。より正確に述べると、イチ書店員として体験しておかねばという内なる声に背中を押されている。

率直に言いましょうか。

ライブカメラで店内を監視し、購買データだけではなく来店者の行動データを元にしたマーケティングをおこなうというのが引っ掛かっています。ビッグブラザーみたいな連中から「ほう、下々はこんな本に興味があるのか」と見下ろされていると感じてしまう。

長時間レジに立ち続けていれば、売り上げに関する情報は自ずと蓄積されます。たとえば「なんで今日はこんなにヨシタケさんの『メメンとモリ』が売れるのか」「どこかで紹介されたのかな? 一応担当に伝えておこう」みたいな。

自分がこっそり仕掛け、隣同士に置いた本を一緒にレジに持ってきてくれるお客さんに当たれば「よしっ!」と内心でガッツポーズします。

品出しや巡回も大事です。声掛けをしながら店内を歩けば、お客さんがどの棚に集まっているのか把握できます。傍らを通り過ぎつつ何を立ち読みしているかを横目でチェック。いつもは賑わう暦や占い、手帳のコーナーに人がいないと感じたら、探しやすいように棚整理を念入りにおこなう。ストックに眠っているものを出し、場合によってはちょっと並びをいじる。

有効なデータは、こういう地道な気づきの積み重ねがもたらすと考えています。そしてそれはストレスフルな現場の最前線で泥臭く、そして粘り強く働き続ける者の中にのみ蓄積される。

完全無人、大いに結構。私は人にしかできない効率の悪いやり方を続けていく所存です。

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