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「不器用で融通の利かない書店員」が推したい復刊

また興味深い本が復刊します。

1995年に海を渡り、メジャーリーグのLAドジャースで活躍した野茂英雄投手の手記です。アマゾンによると単行本刊行は1996年の4月で、文庫が出たのは翌97年の8月でした。

単行本発売の翌年に文庫化。すごいことです(近年だと、2015年9月に刊行された村上春樹「職業としての小説家」が翌年の同月に文庫になった)。いまよりも出版業界に勢いがあったとはいえ、話題になって売れたからこそでしょう。

野茂投手といえばストレートとフォークボール。手持ちの武器を磨きに磨き、強大な敵と真っ向勝負を繰り広げる姿に痺れました。左片手一本突き・牙突のバリエーションだけで闘う「るろうに剣心」の斎藤一みたいなイメージです。

1年目に最多奪三振のタイトルを獲得。翌年には高地で空気が薄く、ボールが飛びやすいクアーズ・フィールドのロッキーズ戦でノーヒット・ノーランを達成しました。

↑によると「ドジャース移籍初年度の振り返りと2年目のシーズンを前にした抱負、当時のプロ野球界への提言など」が書かれているとのこと。ノーヒット・ノーランに関するご本人の言及はなさそうです。せっかくいまのタイミングで復刊するのならそこも押さえた方が、と思わなくもないですが、ぜひ読みたい。

近鉄バファローズ在籍時はあまりテレビで見る機会がなく、メジャー移籍後の方が頻繁に目にした印象です(CMにも出ていました)。もしネットの発達した現代で野茂投手がプレーしていたら、あるいはアメリカまで応援に行ったかもしれません。

プロレスでもプロ野球でも、多種多様な武器を使いこなす選手よりもひとつひとつの技を大事にし、絶対的なレベルまで昇華させるタイプに惹かれます。自分自身が不器用で融通の利かない人間だからでしょう。

「あ、私もそうかも」と思われた方はぜひ。発売は3月19日です。

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