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「棚の縮小」&「大ヒットしない良書を置いてこそ」

「ジュンク堂書店 弘前中三(なかさん)店」が、4月30日に閉店するそうです。

オープンは2012年。当初は百貨店の6階と7階に展開していましたが、2018年に6階へ集約したとのこと。

全体的に各ジャンルの在庫を減らしたのか、あるいは特定の棚だけを削ったのかが気になりました。

以前働いていた書店も、閉店を迎える前に売り場を縮小しました。削られたのは洋書、学参、児童書。並行して上の階にあった事務所を売り場と同じフロアへ移す改装工事もおこなわれました。経費節減の一環でしょう。

以前より狭くなった事務所。設置されたのは、削られた各ジャンルの棚があったところ。当時の私は「洋書はさほど売れないし、児童書コーナーも広過ぎるからやむなし」と考えました。しかしいま思うとそういう理由ではなく、単に工事の効率のためだった気がします。改装に際して営業を1日だけ休みましたが、大幅な棚替えをしたらさらに時間を要したはず。

興味深いのは、その後洋書に強い社員が異動してきてフェアをやり、売り上げを大幅に伸ばしたこと。普段の在庫を減らしたことが飢餓感を煽ったのかもしれない。一方で、後出しジャンケンだけど「削らなくても良かった?」と感じたのも事実です。

いまの職場では、時代小説の単行本を減らす動きがあります。気持ちはわからなくもない。ただ年配のお客さんが多数いらっしゃるし、できれば一定のスペースを確保してほしいところ。

この辺の判断は実に悩ましい。経営者と現場の従業員でも見解が分かれるはず。私自身は「大ヒットしない良書を置いてこその大型書店」と考えています。なおかつ、それができる体力を確保するためにも売れ筋を切らさない。言うは易しで、矛盾めいた現実に折り合いを付けるのが難しいわけですが。

数字を作る本と専門店ならではのニーズに応える本。共存させていきます。

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