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【経営視点】ブランディングデザインとは何か?

「ロゴ」や「ウェブサイト」が何かがわかっていて、「ブランディングデザイン」が何かわからない人は多いです。
「ブランディング」の大切さがわかっていても、「ブランディングデザイン」の大切さを理解している人は少ないです。

ブランディングデザインは、業態を問わずみなさんのビジネスに密接に関わっていながら、ブランド価値を底上げします。
それでいて、その効果が理解されにくく誤認されるがちという不思議なワードです。そのためか、ブランディングデザインに対するバイアスや浸透度の低さにも関わらず、逆説的にブランドに革新的価値をもたらすということをみなさんは想像しにくいと思います。

さて。まともな記事をあげずに1年ほど放置してしまったnoteですが、すごく久しぶりのnote更新です。

今日から「ブランディングデザインが何か現すのか、それが経営にもたらすメリット」を2回にわけて解説していきます。




ブランディングデザインとは?


ブランディングデザインはブランドが発信する視覚情報です。
目から入る情報から認知して「対象が何か」を感じ、好きや嫌いという感情が喚起されます。ここのおける視覚情報の世界感と、その伝え方が、ブランドコミュニケーションのすべての鍵を握るといっても過言ではありません。つまり、ブランディングデザインのクオリティが、みなさんが思っている以上に大切かもしれない。という視点が必要かもしれません。その理由としてブランディングデザインが伝える視覚情報のクオリティが低い場合、ブランドが対象とする人たちに伝わらないということになります。この伝達効率の悪さを払拭するのが、ブランドのビジュアルクオリティです。このクオリティとはブランドの本質を巧みに表現されながら、マーケティングにおけるブランドツールの展開性や、競合との差別性やオリジナリティ、情報としての世界感を構築するための一貫性、トータリティーなど、こうした一連の視点におけるクオリティが、ブランド価値に直結していきます。


ブランディングデザインが包含するもの


このブランディングデザインの意味は常にデザイナーやブランドマネジメント側から語られてきました。

私は10年以上ブランディングビジネスに従事していながら、かつてビジネスの問題を抱える企業側から、このワードで伝えられたことが一度足りともありません。それはえてして「ブランディングデザイン」を「ロゴ」や「CI/VI」などと言い換えられてきています。ただここでポイントとしては、「ロゴ」や「ウェブサイト」と呼ばれるものは、ブランディングデザインの枝葉でしかなくないということです。ブランディングデザインとはこれらの枝葉を包含した樹木全体を総括した言葉です。例えるなら、ロゴやウェブサイトや、広告媒体というそれぞれの単体の「りんご」でしかなく、それを実らせる「木」が 「ブランディングデザイン」です。ここでポイントとしては、果実を実らせる「木」と「りんご」は同じ世界観におけるトータリティがないと成立しない。言い換えれば顧客にとって、その木が何の価値を実らせるかがわかりにくくなります。

では、ブランディングデザインという木にぶらさがっているりんごに、何があるかを見ていきましょう。

🌲 ブランディングデザイン

🍎 ロゴタイプ
🍎 シンボルマーク
🍎 コーポレートサイト
🍎 各種広告
🍎 空間デザイン
🍎 パンフレット
🍎 パッケージ
🍎 プロダクト
🍎 ブランドムービー
🍎 ブランドブック
🍎 郵送物(封筒・招待状)
🍎 オンライン画像背景
🍎 SNSアカウント
🍎 名刺
🍎 見積・請求・納品書
etc.

ちなみにリンゴの数は以上のリストの限りではもちろんありません。つまり視覚情報となるものは「すべて」りんごと理解いただいて構いません。

また、よく誤認されるのですが「ロゴ=ブランディングデザイン」ではないということです。ロゴはあくまでブランドの象徴でしかなく、一つのリンゴです。ただブランド情報の中核となるため、他に対して大きめのリンゴくらいにとらえるとよいのかもしれません。


なぜブランディングデザインは浸透しないのか?


ブランディングデザインが浸透しない理由の仮説としては、まず大きく考えられるのが「そもそも知る必要性を感じない」というところだと思います。

誰にとっても、効果やニーズを感じないものを知る必要がないのは当然のことです。では、なぜ必要性を感じないのかを考察していきます。

  1.  従事する役務とブランディングデザインの関連性を見出せない

  2.  ブランディング戦略に投資できない

  3.  ブランディングデザインの効果が理解できていない

  4.  ブランディングデザインに関する的を得た説明がない

  5.  日本人特有の保守性と強いブランド志向





1| 従事する役務とブランディングデザインの関連性を見出せない

ここであげた問題において、「1」はブランド経営における直接的なブランド施策や戦略の采配をにぎるか、関連部署に従事しない限り、多くのビジネスパーソンにとっては知らなくても業務に差し支えがない情報であれば、この層には広がりにくいと考えていいのですが、ブランドマネジメントに携わる役職や部署の人にとっては、知っておいた方がいいのは上にあげた理由で、視覚情報のクオリティはブランド価値を上げるからです。


2| ブランディング戦略に投資できない

「2」は経済的要因となりますが、日本経済は長い間、デフレーションや低成長の状況にあり、企業はしばしばコスト削減や効率化に焦点を当てており、革新的なブランディング戦略に投資する余裕がないことがブランディングやブランディングデザインの刷新の検討されにくい要因です。


3| ブランディングデザインの効果が理解できていない

4| ブランディングデザインに関する的を得た説明がない

ブランドマネジメント層がブランディングデザインが作り出す効果を理解がしていない点においては、「4」の説明がなされていきいない。あるいは市場に的を得た説明がない、デザイン業界が一般層に向けて十分に解説してきていないとも言えます。
例えば、デザイナーやクリエイティブディレクターがブランディングデザインを語るとき、えてして世界観や統一感を出すことだけの説明に終始し、それが経営サイドが抱える何の問題を解決するのか、そのビジュアル効果に何のメリットがあるのかをマネジメント目線での説明が不足しているとも言えるでしょう。
この意味においては、ブランディングに携わるデザイナーやディレクターは「統一感」を連呼するだけは不足しており、視点を変える必要はあります。経営が顧客の視点に立つように、デザイナーも経営が抱える問題を自分ごととして捉え経営サイドの先の顧客から、ブランディングデザインを捉えことが、関わるクライアントのブランド価値向上の貢献につながります。


5| 日本人特有の保守性と強いブランド志向

最後は日本の文化的、人種的特性が要因です。ブランディングやブランディングデザインはえてして「イメージの刷新」につながります。そのため、日本の伝統的、権威的なものへの傾倒や慣習、あるいは思考の癖が、そうした新しいブランディング手法やアイデアを受け入れにくくしているという見方もできるのかもしれません。加えて、日本人は他国と比べても強いブランド志向を持っていることで知られていますが、消費者は比較的、品質と信頼性を高く評価しており、しばしばこれが既知のブランドや伝統的な製品、口コミや信頼性を見込めるものを好みむ理由です。これにより、新しいブランディング戦略が生み出すブランディングデザインが市場に受け入れられるのを難しくすることも考えられます。



以上にあげた要因に対してビジネス的メリットを理解できれば、業種、役職を問わずブランディングデザインの浸透に意義を感じられるはずです。場合によっては現状のブランディングデザインの刷新も考えてみてください。

持続的経営をためには目の前の短期的な売上だけでなく、長期的視点でブランド価値を上げる取り組みは、いずれのビジネスモデルにとっても必須です。

次回は「ブランディングデザインがビジネスにもたらすものは何か?」について解説していきます。

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