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書店パトロール43 俺はいつだって回り道を選ぶぜ。

結局、いくら書店に行こうとも、毎回同じ場所に行っているわけだ。
哀しいかな、趣味嗜好というものは、そうそう変わるものではない。なので、私はいつものように、映画や美術本のコーナーを見る。大抵はラインナップは代わり映えしない。
その中で、一つ気になったのは淡交社から発売されているこの本。

落語と文学。そして、淡交社。淡交社は京都の出版社で、お茶関係の本を出している。私の家の近くにあるのだ。この近くの寺町通りこそ、茶道のお店などが集まる茶道ストリートであり、表千家会館などがある。
なので、表紙が抹茶色なのだろうか。うーん、スタバの抹茶ティーラテが飲みたくなってきた……。

なんてことを考えながら、最近、落語関係の本もたくさん出ているなぁ、と思いながら、然し2,000円もする。高い高い。
映画も今では1本2,000円、レイトショーでも1,500円だ。娯楽の高い現代である。然し、そんなときこそ書店パトロールが役に立つ。書店パトロールは現代の書物の真のトレンドをこの目で見つめながら新旧も識ることのできる、大変安価な遊びであり、美味しんぼの辰さんがデパ地下で試食接待で1億円融資を勝ち得たわけだが、この書店パトロールもいつかは1億になることを、私は信じているのである……。

まぁ、とにかく、そんなこんなで、文学コーナーで高浜虚子の自伝の新訳を発見。

俳句の巨人、虚子。きょこ。ではなく、きょし。であるが、仙人のような表紙である。
俳句と言えば私はやっぱり西東三鬼!だが、やっぱり西東三鬼は神戸の香りがするから好きなんだよね。その土地々々の香りをさせる人物が好きさ。
例えば、谷崎は阪神間モダニズムと連携してよく語られるが、この親父はまぁ魚住や京都、それから熱海のイメージ。
康成は伊豆、浅草、新潟、京都、とあるけれども、一番は鎌倉かなぁ。鎌倉も大好き。鎌倉はそろそろ明月院の紫陽花の季節で、今年も外国人観光客で死ぬほど人が集まるのだろうな。
自伝、ではないけれども、気になるのはもう1冊、これは鏑木清方の随筆集。

紫陽花舎、これもまた紫陽花。紫陽花はあと一月ちょいくらいか。本当に美しい雨に濡れる色気の花で、紫の陽の花、とは何たる漢字の並びの美しさよ。

それから、気になる本としては、『戦国武将と男色 増補版』。

これは以前出た本に加筆増補された文庫だが、うーん、BL。
戦国時代の同性愛文献を紐解き、それらを丁寧に解説している。この本を読んで勉強したいところだが、こうやって本屋を巡ると欲しい本が次から次に現れてマイッチング。

とりあえず、偶には小説でも読むかと、これは私には異なことなのだが、エンタメ小説を手に取る。
吉田修一の『国宝』である。その文庫化。

来年映画化する。絶世の美男のヤクザの息子が主人公で、歌舞伎の女形として成り上がるような話のようで、やはり歌舞伎、という題材と表紙の絵のタッチが好きなのでこれは購入。講談調の文体で、まぁなかなかないタイプの文体だが、読み進めてうーん、これはなぁ……という感じ。かなり奇抜な文体だが、題材や装丁から想起される匂い立つような美しさ色気が感じられない。まぁ、とりあえず読もう……。

それからもう1冊購入。『永遠なる「傷だらけの天使」』。

まぁ、私は『傷だらけの天使』が好きなので。この他にももう1冊、気になる映画関連の新書を見つけたが、これはインタビュー本で特濃。うーん、読みたいなぁ。と思いつつ。まぁ、とりあえず積読ばかりになるから、今日買った本を消化せねば、と我慢我慢。




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