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グローバルトップ企業のエグゼクティブも学ぶ仏INSEAD・EMCの魅力とは?

以前ご紹介した、大学病院の精神科医の教授をしているクラスメイトの例に続き、INSEADのExecutive Master in Change(通称、EMC)にはどのような人が学びに来ているのか、今回は、ビジネスサイドから代表的なクラスメイトをご紹介します。

INSEAD・EMCは、“Together, we transform”をテーマに、「個人、家族、組織、社会」といったあらゆるシステムレベルで起こる“Change”について、組織論と心理学を用いた組織心理学の観点から、ビジネスプロフェッショナルに新しい視座を提供するプログラムです。
 
今回ご紹介するこのクラスメイトは、誰もが知るグローバルトップ製薬会社のエグゼクティブ(英国出身)でした。彼はその会社のアジア太平洋地区のトップとして、シンガポールでそれなりの地位にいたのですが、EMC卒業間近に更に昇進し、米国へ栄転となりました。
 
入学時、彼のEMCへの期待は以下のものでした。
 
「自分はいつの間にか偉くなっていて、自分が組織に与える影響力の大きさに怖くなった。大企業の経営陣として、しっかり勉強しないといけないと思い、EMCで、組織や人の上に立つ者として必要な教養を身につけたいと思った」と言っていました。
 
もう、この所信表明演説には、クラスメイトの全員が心打たれたと思います。「こんなエグゼクティブがいるのか!」「自分の上司に聞かせてあげたい!」と。
 
そんな彼が、モジュールの途中で、それまでの学びが実際の現場でどのように活かされているかクラスに共有してくれたことがありました。「EMCで学んだ知識のおかげで、他者理解が進み、結果として自分はより穏やかな心で、ビジネスの現場を俯瞰して見ることができるようになった。経営会議で揉めて、炎上するような場面でも、自分だけは冷静なんだ」と。
 
彼のそんな言葉に、多くのクラスメイトがその場面を想像し、勇気づけられました。EMCでの学びが、彼にとっての秘密兵器のように、また一段と魅力的なリーダーになったように映ったからです。
 
私たちのプログラムダイレクターである担当教授は2人いて、うち一人は精神科医バックグラウンドの教授だったのですが、彼の私たちにくれる発言内容がいちいち素晴らしいのです。私も彼の言葉に救われましたし、彼は非常に素晴らしいコーチだといつも感動していました。同時に、ある疑問を私はずっと持っていました。「彼は精神科医だから、素晴らしいコーチになれるのではないだろうか。精神科医でもなく、心理カウンセラーでもない私は、彼のような素晴らしいコーチにはなれないのではないか」と。
 
ある日のランチタイム、私は意を決して、この教授に自分の疑問を投げかけました。

「あなたが素晴らしいコーチなのは、あなたが精神科医だからなのではないかと思ってしまう。私はどうしたらいいのだろうか。」と。
 
「自分には、たまたま精神科医というバックグラウンドがあった。でも、君には、君ならではのユニークで素晴らしいバックグラウンドがあるだろう。君はIBバンカーだったね。投資銀行の世界で日常的に何が行われていて、そこはどんな空気感で、どんな人が働いていて、どんな価値観が溢れているかなんて、自分にはいくら本を読んでも一生理解することはできないだろう。それを“普通に”知っているのは君の武器だ。元IBバンカーとして、IBにいる人の悩みを受け止めてあげられるコーチのニーズは高いはずだ。」
 
この教授の言葉が、私にとってのターニングポイントになった気がしています。「そうか、精神科医にもできないことが私にはあるんだ」「私だからこそ、できるコーチングがあるんだ」と。精神科医や心理学者の先生がコーチングを提供することの素晴らしさはもちろんあるけれど、私のように、実際のビジネスの現場で血反吐をはいてきた人間「だからこそ」できることがあるのだと。
 
そういえば、私も現場でプレーヤーとして働いていた頃、人事面談で人事プロフェッショナルが面談してくれた際、「実際にIBの現場を知らない人に、私の悩みの何がわかるの?」と内心毒づいていたこともありましたっけ…。
 
実際コーチングのクライアントさんは、私の経歴から「この人なら私の悩みを解ってくれるかもしれない」と、ご指名くださることも多いですし、私が今までしてきた経験が、私のコーチとしての財産なんだなと今は素直に思っています。
 
そして、それは、私にしかできない在り方なのだと。
 
INSEAD・Executive Master in Change(EMC)は、冒頭ご紹介したグローバルトップ製薬会社のエグゼクティブを勤める私のクラスメイトのように、私たちビジネスプロフェッショナルに、もう一段上の視座を与えます。
 
そして、私たちのようなビジネス界しか知らなかった人間にとっては、EMCでアカデミックな学びを得ることで、本物のコンサルタント、コーチ、となる道筋をつけることができると思っています。
 
『ビジネスプロフェッショナルとしての血反吐経験+トップビジネススクールで学ぶアカデミックな知識(心理学、組織論)=最強のコンサルタント、本物のエグゼクティブコーチ』
 
日本にはビジネスプロフェッショナルの真の壁打ち相手になることのできる、本物のコーチがまだまだ少ない状況です。
 
コーチとして、精神科医としてのバックグラウンドも、心理学者としてのバックグラウンドも素晴らしいですが、ドクターでなくても、本物のコーチになれるということ、是非ご紹介できたらと思い、この記事を書きました。
 
世界中のどこかにいらっしゃる、どなたかのお役に立てていたら幸いです。

今後も引き続き、INSEAD・EMCについてご紹介してまいります!

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