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子育ては「見ること」だけじゃない

「また,やってしもうた」

朝イチの「朝ドラ受け」を観た後,「さぁ,そろそろ始動すっか~」と,動き始めた時,スマホが鳴った。

子どもの担任の先生からだった。

「あの~,おかーさん,今日から3組は学級閉鎖なんですよ。Aちゃん,学校にいるのでお迎えお願いします」

そうだった,そうだった。

この3年間の流行り病の間,ウィルス干渉が働いて,いつもなら冬の間のメインイベントの1つインフルエンザの流行が鈍化していたから,「学級閉鎖」のことをすっかり忘れていた。

うっかりにもほどがある。

でもでも,いい訳をすれば,そもそも,この間の土日は,夫が出張だったからワンオペの2日間を過ごした。

2日間のワンオペ疲労から抜けきらないままのウィークディで,在宅での仕事とはいえ,疲労困憊して,昨日は子どもと一緒に22時前に寝てしまった。

22時なんて,1か月前なら,中学受験真っただ中の子どもを置いて先に寝てないわ。気が緩んだわ。

そもそも,夫の「家政業務力」(家庭の仕事は「家政学」という学問)は,14年目の結婚生活では,家政学の学位を持っているわたしのプライドと意地にかけて教育しているので,それなりに成長した。

言わなくても洗濯を干すし(今朝は「時間がない」と彼はやらなかったが),毎日22時過ぎの塾のお迎えもしてくれるまでに成長した。

けれども,「親業(ペアレンティング)」の習得率は,子どもの成長速度にとても追いつかない。

どれだけ,過去の「夫の親業スキル」がしょぼかったか,と言うと,例えばこう。

「かおちゃーん!どうしたらいい」

「子どもを見てて」と,夫に託児して,わたしが出かけた先でスマホがなった。

夫が子どもたちを公園に連れて行ったら,ブランコから子どもが落ちて,口の中を切ったと,慌てた夫から電話があった。

「口の中を水で流して,傷の状態を見て。口の中は唾液で雑菌が繁殖しないように守っているから大丈夫。キレイな布で止血して。休日でもやってる歯科をわたしが調べるから」

出先から戻って,すぐに予約しておいた歯科に駆け込み,3針縫う事件があるほど,彼には「子どもを監督する親業スキル」がない。

いや,わたしだって,監督不行き届きはある。どんなに気を付けていても避けられないことは,ある。

実際,夫がいない夜にばかり,事件は起こる。

子どもがソファから飛び降りて足を骨折した時も,夫はいなかった。子どもが振り回したハサミで末子の顎を切った時も,目の中に鉛筆の芯のかけらが入った時も,いつも夫はいなかった。全部,わたし一人が対応した。

なんなら,子どもが骨折した時も学校のお迎えは,わたしが末子のベビーカーに乗せて(整形外科の車いすがなかった),わたしのツテで車いすを貸していただくまでわたしが迎えに行ったし,ピアノ教室の階段もわたしがおんぶして登ったし,夫が仕事で行けないというピアノ発表会にも他のきょうだいは託児して,わたしがタクシーで会場まで子どもを連れて行った。

あのさ,「見てて」っていうのは,ただ「見る」という「観察」ではなく,相手とその空間を共有し,安全が脅かされる場面があったら,サッとフォローする「安全管理員」としての業務なんだよ。

「見てて」って言うのはね,臨床心理学の専門用語でいう「関与しながらの観察」に近いんだよ。

と,言ったところで,臨床心理の専門家でもなければ,発達学の専門家でもない夫には,「またなんかイライラして《文句》言っている」としか思われないんだろう。

いや,親は子どもを「養育」する義務があるんだよ。

↑上記の動画でちょろっと説明しているのだけど,養育っていうのは,ただ「見る」だけじゃないんだよ。

「見る」だけじゃなくて,「見て守る(見守る)」高度な技術がいるんだよ。

子どもがいつでも「ママ!」(あるいは「パパ」あるいは「おばあちゃん」でも,「ママ」じゃなくてもいい)って,安心して駆け寄れる,信頼関係を結んだ「大人」の見守りが必要なんだよ。

親と言う漢字を見てごらんよ。

親は木の上に立って「見る」じゃろ。ただ,ボサっと木の上に立っているわけじゃない,「見て子どもを守って,いつでも子どもが駆け寄れる「安全安心の基地」になることだよ。

これが《愛着(アタッチメント)》って言うんだよ。

と,金八先生よろしく,説教を垂れてみたが,夫は全く分からないご様子。

そりゃそうだよね。

だって,《愛着》なんて言葉,聞いたことも,習ったこともないもんね。

行政や産院でやってる,出産前の親へのレクチャー「パパママ教室」でも,赤ちゃんの沐浴の仕方とか,妊婦のハリボテ疑似体験ぐらいしか,教えてもらわないもんね。子どもの心理発達,ましてや人間の発達全般なんて,知らないよね。

じゃあ,今はやりのビジネス用語《心理的安全》に置き換えてもいい。

《心理的安全》は経済学の用語だけど,一言で言えば,職場におけるメンタルの安全性だ。


参考:NTTLS人材育成
ハーバード大学で組織行動学を研究しているエイミー・エドモンドソン教授(Amy C. Edmondson)です。エドモンドソン教授は心理的安全性について、「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに 安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」

家庭だけじゃなくて,職場,学校などの「組織」での安全がこうして,注目されるのは,まぁそれだけ,「安全」が脅かされている,今の社会のモンダイが透けて見えるけれど。

この3年間の流行り病をある識者たちは,見えない第3次世界大戦で,「認知戦」とも言われている。

そして,戦争と言えば,PTSDは切っても切れない。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は,戦争後遺症研究が発端の臨床用語。出来事は終わっているのに,まだ悪夢が続いているような状態に脳が認識する(フラッシュバック)などで,退役軍人たちの心理的ストレスから注目されたからだ。

いわば,脳のバグだ。

このような例は,かなりなレベルのことだけども,例えば,ちょっとした「心理的安全」がよくない環境であっても,このようなストレッサー(ストレス要因)に強い人と弱い人がいる。

同じストレッサーを与えられても,このような逆境への耐性があることを心理学用語で《レジリエンス(回復力)》と言う。

そして,レジリエンスの強さは,《愛着》に起因する。

知れば知るほど,《愛着》って,人生のあらゆる土台になっているから怖いのだ。

もっと怖いことを言うと(とどめを刺す一撃だ),愛着は疾患(つまり病気)の要因にもなって,ジワジワとわたしたちの心だけじゃなくて,体も蝕むのだ。

怖いね,怖いね……。(稲川淳ちゃん風)

愛着モンダイは,放置してはいけない。

夫よ,「見てて」の意味の怖さがお判りか?

完璧じゃなくていいの。でも,あなたも親なのよ。しっかり「見守って」欲しいの。

このコラムを書いていて,思ったわ。わたし,育児の協業バランスに,相当のうっぷんが溜まっているらしいわ。ワンオペ育児をしなきゃいけない,この社会システムってどうかしてるわ。

産む前から,気づいていたけれど,やっぱりおかしいわ。そりゃ,超少子高齢化は止まらないわね。やってもやってもクリアできない,ムリゲーを闘いたいなんて,よっぽどのマニアだわね。

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論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。