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SNS適正使用法施行

 20XX年、国会で与党大多数の賛成によりソーシャル・ネットワーキング・サービスの適正な使用の確保等に関する法律(略称・SNS適正使用法)が可決された。これによりSNS上でのいわれなき誹謗中傷による個人攻撃が大幅に防止されることになった。

 その概要は以下の通り。
 SNSアカウント取得には生体認証されたマイナンバーカードによる初期認証が義務化され、認証されていないアカウントは一旦解除され、新しく認証を求められる。アカウントのハンドル名は原則禁止され、SNSへの書き込みやいいねはマイナンバーカードの認証が必須とされる為、匿名での参加は不可能となる。

 SNSの書き込み及びそれに対するいいねについても、警察庁所属のSNS監視委員会のAIエンジンが常にネット上で見張っており、不適切な書き込みやいいねは見つけられると即時に管理会社宛に削除命令が出される為、不適切書き込みによって精神を病む者もほとんどいなくなった。

 更に不適切な書き込みやいいねについては監視AIが点数付けし、一定点数がたまると電子反則切符が投稿者宛に通知され、それにより点数累積者は罰を受ける。罰は罰金とか収監ではない。
「1年間電波を発信する電子機器の使用禁止、従って電子決済も出来ず現金決済が強制される。」
この禁止をやぶると更に禁止期間が延長となる。生体認証が発達しているので、刑が執行されている者から電波が発信されると直ぐ感知出来るので逃れらない。規則が守れない者はずっと電子機器が使えなくなるという過酷な環境に落とされる。

 そんなある日、私はスマホでSNSを見ていて偶然少し過激な書き込みを見つけた。今時珍しい書き込みだと思い、ついいいねボタンを押してしまった。するといきなりスマホにメッセージ。
「SNS監視委員会です。あなたは非常に危険な書き込みに対しいいねの発信を行いました。この行為は1回で電子機器使用機器禁止に該当します。
但し今回のみ弁明の機会を与えますので、直ぐに警察庁聴聞室へ出頭されたし。」

「えーーーー。やってしまった。」
と思わず頭を抱えていると、ピンポーンという音。
ドアを開けると、1人の男がいる。
「私はSNS解放戦線の者です。あなたは当局に目をつけられたようです。私と一緒に来て下さい。」

その時、再びスマホが音を。

それは目覚ましの音で、目を覚ますとカレンダーはまだ2024年2月。
良かった。夢だったようだ。




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