見出し画像

[読書]満願 米澤 穂信

 それぞれじんわり怖いが、2作を除くと垣間見られる男性から見た女性の怖さが不気味に感じられる。

「柘榴」の2代の女達に受け継がれてしまう1人の男をめぐる思いが怖い。鬼子母神伝説の象徴である柘榴の色や形が浮かぶ様な薄気味悪さを感じた。「関守」はもう少し伝説と絡ませてくれるとより不気味さが増した気もする。

 いずれの物語もちょっと昭和の香りがするようなじめっとした湿気が魅力となっており、それぞれを独立させ長編にしてもまた違った魅力が増すのではと思わせる。昔の伝説や民話もこの様に1人の者が作った話が出発点かも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?