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就活してたら車に轢かれて、オーストラリアでヒッピー化してた

春の匂いがする。
盛りがついた木々に小鳥がとまって鳴いている。
春は懐かしい。
春は希望。

未来に悩んでる人もいるかもしれない。
僕の話を読んで、小さな悩みは吹き飛ばしてほしい。
6年前の22歳の春の話。

原付で大学から帰る途で

僕は地方の公立大学の経済学部出身である。
金髪の痛い学生だった。
奨学金を借りてるのに学問をやってなかった。
睡眠によって落とした単位は数え切れない。
でも大学は楽しかった。
生涯の友人ができた。
美人の彼女もいた。
気がついたら、4回生になっていた。

食っていく方法を考えなければならない。
みな自己分析とやらを進めているようだ。
嬉しそうに染められた茶髪は黒々として切り揃えられ、意中の企業へいざ向かわんとしている。
なるほど。これは真剣でシビアな戦いのようだ。

22歳の僕はアホだった。
物心ついているとは言えなかった。
とにかく就活とやらを始めよう。
しかし気が進まない。自分の将来と向き合うほど重たい気持ちになった。
それでもいくつか合同説明会などに顔を出し始めた。
みんな同じ格好、同じ顔に見えた。
周りはスーツで、僕だけTシャツチノパンという事件もあった。
スーツ軍団に混じるのが嫌だったんだ。
怠け者の割に、くだらない自尊心があったんだ。

そうこうしているうち、一応内定を得た。
地元の造船会社の総合職。
自分で面接を受けたのに、就職する気が起こらなかった。
新卒社会人であれば、企業は将来性だけを見てくれる。
アホなのはわかった上で採用してくれた。
しかし僕はアホすぎた。
働きたくないなあ…って思いながら、気の抜けた就活は続けられた。
なんというか怒られたり、怒ったりするのが苦手だ。

6月中旬だった。
大学から原付で下宿に帰る途、僕は信号無視の普通車に轢かれて、3ヶ月の入院を強いられた。
運転手は30歳くらいの女性で、携帯を見てたことによる不注意だった。
痛みに気が動転した僕は、不気味な笑顔で運転手に怒った。
「やってくれたなあ…」

病院のベッドで僕は、初めて危機感を感じた。
確かに感じた。
目の前が闇ばかりに思えた。

でも切り替えは早かった。
周囲を見たら、自分が会社員の才能に欠けていることは薄々感じていた。
自分を納得させられる進路がどこにも見つかってなかった。
でも、一つだけ捨て切れない道があった。

オーストラリア行こう。

3回生の夏休みに、留学中の彼女がいるニュージーランドへ語学留学したのがきっかけだった。
多文化に生きる開放感に憧れていた。
同調圧力が嫌いだった。
卒論も、オーストラリア移民政策と経済の関連性を研究していた。
就活も満足にできなくなったし、ワーホリ行こう。
そう考えると心が躍った。
ちょうど賠償金も入って、資金もあった。

たった一年のワーホリは僕を変えた

それくらい海外へ行くことは人の可能性を拡げる。
人間は経験が全て。
やりたいことがあったら、迷わずやるべきだ。
損得や体裁のために、自分の中の「リトル自分」の声を無視してはいけない。
それが自己投資ってものだ。

オーストラリアで僕は、語学学校に通えば拙い英語同士のディベートを繰り返し、アルバイトをすれば3回クビになり、5回ほど引っ越し、1000キロのロードトリップで友人を拉致し、ジョイントを回しては一晩踊り明かした。
スティーブジョブズも愛した”紙”で自分を解放した。
いつの間にか免停になっていて、裁判所で査問を受けた。
日本人同士の忖度を捨て去って、本能のまま発言し、行動した。
やりたいことをやった。
賠償金は消えた。

オーストラリアの1年は僕の人生一番の衝撃だった。
顔つきも変わって、親から別人呼ばわりされるほどに変化した。
髭面長髪のヒッピーだけど、目に光があった。
帰国後に「禊」のような心持ちで自衛隊に入った。
教育課程の成績は優等賞だった。
入隊する決断も、真面目に取り組む覚悟も、以前の僕じゃ多分無理だった。

悩むなら自分の心に従おう

進学とか就活とか、人生には岐路がある。
考えるのはしんどい。
人生は試練の連続だ。

どうしても一生懸命取り組めないなら、なにか理由があるはず。
本当にやりたいことは何か、自分の心が知っている。
悩んでるなら、無難な道を選んじゃいけない。
いつか死ぬって、分かってないといけない。
生きてればなんとかなるから、ワクワクすることをすればいい。
多分あなたは真面目なんだと思う。
僕らなんて、小さな細胞のミトコンドリアと同じなんだ。
あなたは必ず幸せになれる。
疲れたらよく休んで、美味しいもの食べて、それから自分の心に従えばよし。

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