【小説】トリック・ライターのボクが異世界転移したら名探偵貴族に? 第1話⑤
結章■心の死角を突きましょう 1
「それでは、キミの魔法での失せ物見立てを、聞こうか」
テーブルの向こうから、クラレンス侍従長が訊ねてきた。
けっこう歩いて、ボクは彼が仕える貴族の屋敷──大邸宅と言っていいの、彼の部屋に通されていた。
デカいけれど、ベルサイユ宮殿のような豪華さはない。
いや、日本の江戸時代の姫路城はもちろん、京都の二条城よりもみすぼらしい。
この世界ではたぶん、ガラスとか貴重品だし、経済規模がしょせん、違うのだ。
極端な話、今の東京や大阪の