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「ゲルニカ」で反戦を思う

ゲルニカ』(Guernica)は、スペインの画家パブロ・ピカソドイツ空軍による無差別爆撃を受けた1937年に描いた絵画、およびそれと同じ絵柄で作られた壁画である。ドイツ空軍コンドル軍団によってビスカヤ県ゲルニカが受けた都市無差別爆撃(ゲルニカ爆撃)を主題としている。

出典:Wikipedia

トップ画像は大塚国際美術館で個人撮影したもの


この絵は誰もが知るものですが、今こそ、あらためて見直し、
戦争の持つ悲惨さを思い起こすべきだと思います。


反戦絵画として訴えるもの

1937年パブロ・ピカソによるサイズ349 cm × 777 cmの大きなメディウム油彩です。
内戦による暴力や、様々な事が混沌とした世界に巻き込まれて苦悩する人々の姿を力強く描き、反戦絵画として高く評価されています。

出典:Wikipedia

子供の頃、美術の教科書だったか、何かの雑誌だったかで見た時は、
何もわからず、ただ嫌な感じしかしませんでした。

しかし自身も、歴史を学ぶ過程で、戦争というものの悲惨さや不条理さを知るにつけ、この絵の見方は変化していきました。

今、見ると悲しみが一番大きく伝わってきます。


一番左に描かれた部分に着目してください。
特に私のように子を持つ母親にとっては、リアルな悲惨さと悲しみがストレートにその切迫感は伝わり、しばらく目が離せませんでした。

出典:Wikipedia
「子の屍を抱く女」

逆に言うと、これを見て何とも思わない人がいるのだろうか?
と思えるぐらいの表現です。


ピカソ自身はこの作品について多くを語ってはいませんが、彼は以下の通り、意図的に表現したのではないかと推測されています。

・反発ー身体の形状や姿勢。
・憂鬱
ー黒、白、グレーの配色を使用。
・破壊
ー炎上する建物や崩壊した壁。
・情報
ー新聞紙のコラージュ。
・太陽
ー電球。
・敗北
ー絵の下部に中央に描かれている壊れた剣。

これらから浮き彫りにされたピカソの戦争への強い抵抗を感じ、
その力強い表現に圧倒されてしまいます。


弱い者への無差別攻撃

スペイン内戦
1936年から1939年まで第二共和政期のスペインで発生した内戦左派共和国政府(ロイヤリスト派)と、右派反乱軍(ナショナリスト派)とが争った。
3月27日にマドリードが陥落、3月31日にはスペイン全土が反乱軍に制圧され、4月1日にフランコによって内戦の終結と勝利が宣言された。
参戦国
人民戦線政府(反ファシズム陣営)ーソビエト連邦メキシコ、多く義勇軍。
反乱軍(ファシズム陣営)ードイツイタリアポルトガル

出典:Wikipedia

内戦状態にあったスペインで、反政府軍に味方したナチス・ドイツ軍が「ゲルニカ」という街を無差別爆撃しました。

本来ならば標的は郊外にある軍需製品の製造工場のはずですが、
町の男性の大半が共和党軍として参戦していて不在の主に女性と子どもたちしか残っていない町を狙ったのです。

では何のために?

ドイツ空軍の攻撃規定と現実に攻撃した所は、大きく食い違うため、ただ単に、軍事力を誇示し、共和党軍や民間人たちの士気を挫く意図だったと思われるのです。


と言う事は、
完全な無抵抗の弱い者への一方的な攻撃で、
威嚇・恫喝するためだけの卑劣な行為なのです。


ピカソが伝えたかったこと

この時ピカソはパリに住んでいたため、これらの惨状を直接見たわけではありません。

パリ万国博覧会のスペイン館の壁画を共和国政府から依頼され、まだ題材を決めかねていた時、ドイツ空軍による世界史上初の都市無差別空爆よって「ゲルニカ全滅」のニュースを聞き、この悲劇を描こうと決めたそうです。


この作品が発表された当時の反応は、ほとんどの人々からは不評でした。
多くの人は、スペインの危機とナチスの残酷さをクローズアップされた、もっと写実的な作品を期待していたようでした。

人によってはこの絵は醜いだけで観る者を不快にさせるという意見もあったほどです。


確かに観ていて気持ちの良い絵ではありません。
そればかりか、顔をしかめてしまうほどの威力を感じてしまいます。


そうした不評の中であっても、一部の美術批評家や他の芸術家の間では「この作品は傑作であり、後年、世界の名画と言われるようになる」との高い評価も受けていました。

どの作品においてもそうですが、
名画であるかどうかは人それぞれの主観によります。

この絵に関しては好きか嫌いかとか、
良い悪いとか、名作か駄作かとか、
そのような次元の感覚ではなく、
観た者が、どんなメッセージをくみ取るかに大きな意義があると思うのです。


「ゲルニカ」の迫力ある表現を見ていると、ピカソはきっと、平和を愛する一人の画家として、戦争の悲惨さと愚かさを訴えたかったに違いありません。


同時に同じ過ちを繰り返さないよう、
後世へ向けてのメッセージを重く刻んだ名作だと言えるのではないでしょうか。

今を生きる人類たちはこの意味を大切にかみしめて、教訓とすべきなのです。




先週いただいたお祝いです。
いつもありがとうございます。




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