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1万5420歩の小旅行

快晴の朝

今週の日曜日は北海道の5月とは思えないような夏日だった。珍しく朝のめまいにも悩まされず気持ちよく起きられた私は、「今日は沢山外を歩くぞ!」と意気込みながら布団をめくった。

北海道の夏は朝日が昇るのがとても早い。
布団から起き上がった時はまだ朝の6時だった。
昨日作っておいたお手製コロッケサンドを頬張りながらぐだぐだする。なんて素晴らしい1日のスタートなんだろう…と思った。

いざ円山公園駅へ

約2年ぶりだろうか。コロナの影響もあって遠のいていた円山エリアを今日の散歩地に決めた。
高級住宅街エリアとも呼ばれるスポット。
同じ札幌でもどこか独特の雰囲気が漂っている。
鎌倉・軽井沢・芦屋…のような避暑地に来た気分にさせてくれる。

陶器市

そんな小旅行気分を味わえる「円山公園エリア」
まずは陶器市をやっているという“円山陶房”さんへ。生徒さんお手製の作品がずらりと並び、300円〜の小ぶりな作品から、3000円以上の大作まで工房の軒先に丁寧に並べてあった。
使っている粘土や釉薬の種類、独特なフォルムの食器、皿の裏の刻印…一つ一つじっくり目を通すと個々のこだわりが感じ取れた。
職人手作りの品を実際に手に取ると、目に見えない作り手の愛情の塊(のような物)が両手全体に伝わってくる。それと同時に、私も何か作りたい!という創作意欲が湧いてくる。だから、手作りマルシェのような場所が私はとても好きだ。

あてもなくさすらう

陶器市を見た後は特に目的などは無かったので、メインストリートから裏路地までぐるりと一周した。何十年も営業している八百屋さん、週に2日しかお店を開けないお菓子屋さん、「久しぶりだね〜」と店員さんと声をかけ合う地元密着スーパー、グルメ本に載っていた有名店…
歩いても歩いても楽しい光景に思わず足が進んだ。気づいたらその時点で万歩計は8000歩を超えていた。

気管支が痛んできた

もともと呼吸器(肺や気管支)に持病がある私は、2、3時間歩いたあたりで気管支の痛みを感じた。歩くたびにズキズキと突き刺す痛みがある。
私にとっては日常茶飯事のこと。医者からも走ることは禁止されている。
でもGoogleマップを見るとこの先に本で見た有名なパン屋さんが…見たい!と思った瞬間、目の前が真っ暗になり道にぶっ倒れてしまった。
手提げ鞄に入れていた物が全て歩道に散乱、通行人のおじさんにビクッと驚かれた目が合う。悲しきかな助けてくれる人もおらず一人で散乱した私物を拾い上げ、擦りむいた膝と腰をさする。

そろそろ私の小旅行も潮時か…
そう思った私は最寄りの駅までとことこと歩いた。すっかり迷子状態の私は、「あれ?この中華屋さんさっきも通ったぞ?」状態を2、3度繰り返してしまった。やっとの思いで最寄り駅に着いた時には万歩計は1万歩を超えていた。運動制限がある私としてはかなりの歩数。負傷したての腰が痛んでいるが優越感で一杯になった。

ようやく帰宅

地下鉄で自宅近くの駅まで移動、改札を抜け地上に出ると「6年生の最後の挑戦です!がんばれー!」と何やら声援らしき声が聞こえた。
「あ、今日は運動会か。」もう少し歩いていると目の前に学校のグラウンドが見えた。
一生懸命に汗を流す生徒と、それを見守る親御さん。自粛が緩和されて久しぶりに開催できたんだなぁと関係者でもない私もなんだか嬉しい気持ちになった。

なんだかんだ帰路の間にも寄り道を繰り返し、家に着いた時、万歩計の歩数は「1万5420歩」
普段持病の影響で寝込むことが多い私にとって、この数字はとても輝いて見えた。距離にして約9.2km、それを歩いたんだ。嬉しくなった私は思わず万歩計アプリの画面をスクショした。

次は1万7000歩!いや、2万歩目指そう!
根拠のない自信と達成感、道で転んだ腰の痛みが絶妙に混ざり合う幸福な1日だった。

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