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待望の脂肪減少薬だが、課題も多い


購入するまでのハードルが高い

色々やっても内臓脂肪が減らない人向けに、登場したOTC医薬品ですが、
「ダイエット目的」で安易に使われないように販売に工夫がされています。

対象者は18歳以上の健康障害がない成人で、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上。
運動など生活習慣の改善に取り組んでいる場合に限る。
購入前に対象となるか判断するためのチェックシートと、
1か月間の生活習慣・腹囲・体重の記録を記入し、
薬剤師の確認を受ける必要があります。

つまり、1か月前から準備しないと購入できないというハードルの高さ。

内臓脂肪に限定したお薬ということになります。

そもそも、内臓脂肪の何が悪いの?

ポッコリお腹であっても、つまめる部分は皮下脂肪となり、さして健康に悪さはしません。
ところが、つまめないパツパツのお腹は、内臓に脂肪がたまっているので、これが大問題と言われています。

内臓脂肪が過剰に増えた際の健康リスク
・動脈硬化や血栓のリスクが高くなる
・血糖値や中性脂肪、コレステロールを増やす原因となる
・血圧の上昇を招く要因となる
・糖尿病や食後高血糖を引き起こす可能性がある
・インスリンの過剰分泌により高血圧を引き起こす可能性がある
・がんの発症リスクを高める可能性がある
・認知症の発症リスクが高まる
・血管性認知症の発症リスクが高まる
増やしていいことは全くありません。

ただ、内臓脂肪の方が減らしやすいと言われています。
よく内臓脂肪を普通預金、皮下脂肪を定期預金と呼ばれ、出し入れのしやすさにたとえられます。
適度な運動、栄養バランスのいい食生活、質のいい睡眠。
これで、内臓脂肪が減っていきます。
とはいえ、容易に生活習慣を変えられないから、メタボリック症候群になってますよね。

どんなしくみで脂肪が減少するのか

ブランドサイトより

こちらの説明の通り、食べた食品中の脂肪を、体に吸収させないで排出させる仕組みです。
難消化性デキストリンなどの食物繊維も、脂肪の吸収は遅延させるのですが、ここまでブロックはできず、効果は緩やかです。

糖尿病の薬で、炭水化物をブドウ糖に分解する酵素を阻害して糖の消化吸収を遅延させるものもあります。

消化酵素を阻害して、吸収させなくするアプローチです。

油漏れ、便もれ注意

理屈的には、ありがたい薬です。
脂っこいものを食べても、吸収せずに出してくれるのですから。

でも、吸収されなかった約25%が油としておしりから出るのですから、不都合が出ます。

こんな困ったことがおきます。
・分泌物を伴うおなら
・便意が近くなる
・脂肪を含んだゆるい便
・油分が漏れ出す
・排便量の増加
・便漏れ
これは、おむつが必須、女性ならナプキンが必須です。

私はアライと同様の作用を持つ海外製のゼニカルを使用したことがあります。ちょうど香港出張で、油まみれの料理を食べていました。
油もれが半端ないのです。
これが全部吸収されていたらと、恐怖を覚えるほど。
おかげさまか、出張での体重の増加はありませんでした。
しこたま食べたのですが。。。

脂溶性ビタミンの流出も

あと、問題点として、いい油も25%は排出してしまうこと。
脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、K、βカロテンの吸収も阻害されるので、これらビタミン類の摂取量を増やす必要があります。

特に、βカロテンとビタミンEでは、血漿中濃度が統計的に有意に減少したため、オルリスタットとともに毎日脂溶性ビタミン補助剤(ビタミンのサプリメント)を服用するようにと言われています。

海外製のオルリスタット剤

いろんな医薬品が販売されていますが、メジャーなのは、ゼニカルです。

ゼニカルは、アメリカのロシュ社で開発され、肥満治療薬としてFDAで正式に認可されています。
10年間でおよそ4,000万人が服用したと推定され、肥満症のほかにもメタボリック症候群の治療薬としても広く用いられています。
安全性と高い効果がある医薬品とされ、現在では欧米諸国をはじめ100ヶ国以上で使用が認められているのです。

また、肥満体型ではない方にも同様の効果が得られるため、体重管理が必要な方への需要も増加しています。
ゼニカルは、日本でも美容クリニックなどで処方されています。

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