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昼休みのアート日記

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平日は会社員のアート好きな人が昼休みの20分を使って書くアート日記。Instagramには書ききれないいろいろをここにまとめていく予定。
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#エッセイ

この物語が悲痛なのは、私がこんなにも苦しんだことが今までなかったという事実である。 ソフィ・カル 「限局性激痛」

この物語が悲痛なのは、私がこんなにも苦しんだことが今までなかったという事実である。 ソフィ・カル 「限局性激痛」

「人生最大の苦しみをその治癒の過程をあらわした」とレビューに書かれていることが多い作品だけど、わたしはこれは治癒ではなく前進のための整理と忘却なんじゃないかと思う。傷がなくったわけではないと思うのだ。

というのは、似たような体験をした私の実感だ。美術館に行って自分プライベートなことに直接関わるような体験をすることは今まであまりなかった(ダダイズム〜ミニマリズムからアートに入ったから物語にあまり興

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ガラスの宇宙船でたまたまそこにいた人と旅に出る 「ピアニスト」向井山朋子展 メゾンエルメス

ガラスの宇宙船でたまたまそこにいた人と旅に出る 「ピアニスト」向井山朋子展 メゾンエルメス

オランダを拠点に活動する向井山朋子さんのエキシビション。ピアノを、立春の日から毎日50〜120分、時間帯を一時間ずつずらして弾く、というパフォーマンス。真夜中にも朝方にも弾く日がある。平日の昼間ももちろん弾く。観客に優しくない。このハードルを乗り越えて集まるのはどんな人達で、どんな演奏がされ、どんな時間が流れるのかとても気になり、銀座のメゾンエルメスへ足を運ぶ事にした。

とはいえ、私もそのハード

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