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あなたがDV加害者として生きなければならなかった、本当の理由

DV加害者女性に対して、なぜ加害者がDVを止められないのか、その理由を解説します。DVを止めるためのマインドについてもお話ししています。

このnoteの前半部分では、「なぜ加害をしてしまうのか」という理由の説明のために、加害行為を肯定するようにも取れる文章が掲載されています。加害行為は、どんな状況であっても、決して許されるべきことではありません。この文章を読み、フラッシュバックや絶望感を味わわれる、もしくは、加害者に対する不快の念を強められる方々に対して、あらかじめ深く謝罪いたします。加害行為は、けして許されるものではありません。

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女性加害者のための自助グループCo3(シーオースリー)代表・さりたもです。noteでは、暴力に頼らないコミュニケーションを身につける方法や、DV加害者が日々を生きるヒントについて考えています。

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私たちはなぜ、加害行為を選び続けてしまうのか?

加害行為の魅力①|現実を強力に塗り替えられる

「どんなときでも、加害行為をしてはいけない」。このようなニュアンスの言葉は、誰もが耳にしてきていることでしょう。

その通り。加害行為は「悪いこと」で、何があっても「してもいい理由」などありません。

でも、暴力や暴言には、「するだけのメリット」があります。

あなたがDVをやめられないのは、きっと、加害行為のもつ強い魅力に(意識的にか無意識的にか)、気づいているからです。

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そもそも、加害行為は、コミュニケーションの1形態です。

自分の気持ちや思いを言葉で伝える人もいれば、加害行為で伝える人もいる。不愉快な考え方ではありますが、加害行為は、思いをアウトプットする1手法ではあるのです。

そして加害行為は「自分は、現実がこう変わってほしい(あなたの意見は知りません)」という思いを現実のものとしたいケースにおいて、非常に役立ちます。

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たとえば、以下のような状況を考えてみましょう。

「ワンオペ育児で、私が家事も全てこなしたうえで、仕事もフルタイムでこなしている。夫にはこれまで何度も"育児を手伝ってほしい"と伝えてきたが、結局あまり手伝ってもらえてはいない。

私は、自分の負担を減らしたい。そして、夫の気持ちがどうとかそういうことは、もう考えたくない

こういうとき、夫に怒鳴ったり、夫を殴ったりすれば、夫は、「この状況に対して何らかのアクションを取らなければ、事態は今よりもっと悪くなる」ということを理解してくれるはずです。

加害行為の魅力②|殴ったほうが、現実が思った通りになりやすい

加害行為で意見を伝えることは、言葉で意見を伝えることよりも、圧倒的に「省エネ」です。

というのも、暴力をともなうコミュニケーションでは、より強いパワーで暴力を振るった側の意見が通るからです。

また、加害行為に真っ向から対抗するためには、相手と同程度か、それ以上のパワーが必要です。

でも、一般的に、こういう争いに立ち向かうのは、「面倒臭い」し「疲れる」。「こうなってほしい」という思いが強ければ強いほど、出力されるパワーも強くなるものだからです。

こうなると、命の危険を感じないような加害行為の場合は特に、相手の主張を全面的に受け入れるほうが楽かもしれません。

一般的に、女性は男性よりも、フィジカルで劣ります。「うるさい女房なんか、殴って言うこと聞かせたらいい」というような言葉は、きっとここからきているのでしょう。

でも、暴力に暴力で対抗するのは、疲れるし、面倒なものです。

「分かったよ、俺が悪かったよ、ごめんね」と一言言い、小言を聞きさえすれば全てが収まるなら、そっちのほうがいい、と思う男性が多いのも、理解できるところです(その状況は、被害者にとって苦しいものであるということは前提として)。

加害行為の魅力③|怒鳴らないコミュニケーションには、学びと体力が必要

さらに、怒鳴らない「健全な」コミュニケーションには、知識とコストがかかります。

相手の気持ちも尊重しつつ、自分の気持ちも尊重しながら、お互いが納得できるベストな方策を立てるのは、どんな人にとってもある程度難しいことです。

普段は上手くコミュニケーションを取れる人であっても、寝不足や空腹、メンタルの疲労を感じた結果、暴力的な対話を選んでしまうこともあります。

ましてや、生まれてこのかた「不健全な」コミュニケーションだけを学んできており、健全なコミュニケーションにまつわる知識がほとんど皆無、といった状態の人には、健全なコミュニケーションを取るためのコストは、天井が見えないほど大きなものに感じられるのではないでしょうか。

加害行為の魅力④|命を守れる

話は前後しますが、暴力が真の意味で役に立つのは、命が危険にさらされたときです。

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女性DV加害者の多くは、これまでの人生で、なんらかの形で命が危険にさらされる経験をしてきたはずです。たとえばこんな経験をした方は多いのではないでしょうか。

  • 子供時代、両親のケアをしながら育った

  • 両親から虐待やマルトリートメントを受けていた

  • いじめに遭った

  • 犯罪に遭った

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私自身、両親のネグレクトや虐待に遭った過去があります。両親は不仲で、私は母親と父親、両方のメンタルケアをしてきました。そのうえ、父親が理由なく引越しをするため、中学校になるまで、1〜2年に一度のペースで転校。イジメに遭い、不登校になり、10代前半には、深刻な性犯罪にも遭っています。彼氏からのDVも受けました。

私は、わりに「命の危険を感じる」ことが多い環境で育ちました。特に幼少期は、逃げるという選択肢すら取れず、非常に苦しい毎日を過ごしていました。

父親に、母親に、クラスメイトに、見知らぬ男性に、彼氏に、「もう私のことを傷つけないでほしい」と伝えるとき、彼らに「勝つ」ためには、暴力を振るう以外の選択肢はあり得ませんでした。

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暴力を振るってくるかもしれない相手を、先に暴力で倒せば、少なくともその相手から、その時だけは反撃を免れることができます。

「今だけでいいから、命が助かってほしい」と思うとき、暴力はとても有効に働きます。

私たちが加害行為に魅力を感じるのは、無力だった頃の自分を、加害行為が救ってくれた記憶が残っているからかもしれません。

それでも、加害行為が「悪」である理由

しかし、それでも私は「加害行為は悪である」と断言します。なぜなら、暴力は、長期的な問題解決の方法にはならないからです

加害行為のデメリット①|関係性が破綻する

暴力で相手を従えている場合、関係性はそのうち破綻します。破綻しない関係性であっても、相手と心の底からの信頼関係を結ぶことはできていません。

たとえばあなたは、職場でハラスメントをしてくる上司がいた場合、その上司と心からの信頼関係を結べますか。あなたとあなたの夫も、同じです。表面上は仲良く過ごせているかもしれませんが、本当のところでは、信頼し合えていないのです。

「我が家は違う」と思いたくなりますが、実際のところ、暴力を振るってくる人間のことを、一点の曇りもなく愛せる人は存在しません。

認めましょう。加害行為を続ける限り、あなたとあなたのパートナーが心から仲良くなれる未来は訪れません。

加害行為のデメリット②|将来、自分が「負けて」しまう

あなた自身にとっても、加害行為でしかコミュニケーションを取れないのは不利益です。

というのも、加害行為は常に、物事の「勝ち負け」を求めるものだからです。勝った側の意見が通り、負けた側の意見は通らない。そういうルールの「ゲーム」なのです。

加害行為でコミュニケーションを取るとき、あなたは常に「負けるかもしれない」とか「負ければ、自分の苦しみは100%無視されてしまう」という焦燥感を覚えています。

意見を100%無視されてしまったとして、そのあとあなたは納得ができますか。あなたはいずれ、老衰で「負け通し」の日々を迎えます。そのときあなたは、あなた自身の苦しみを、それがどんなに訴えるべき苦しみであろうとも、「負けたのだから、仕方がない」と諦められますか。

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私の話をします。

私は、ずっと、自分の人生がどうしてこんなにも不完全なのだろうと悲しんできていました。どうして普通の人なら当然に受けて育った「親からの無償の愛」を、自分はどうもがいても手に入れられないのだろう、と。

私は、私の人生の主人公として、幸せに生きる権利があるはずじゃないのか、と思っていました。でも、暴力を振るったとしても、私は幸せには生きられないのです。

若くてパワーがあるうちは良くても、そのうち年老いて元気がなくなったときは、誰にも「勝てなく」なる。結局、配偶者との信頼関係もないまま、孤独と絶望のなかで死んでいくことになる。

暴力を振るうことで、私は「幸せに生きる権利」を、みすみす放棄しているのです。

私は、自分自身のために、加害行為をやめなければならない。そういうふうに感じています。

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暴力を振るわない人生、加害行為を選ばない人生は、とても大変です。

私たちのコミュニケーションには常に「殴る」「怒鳴る」「泣き喚く」といった手札が控え続けています。「これさえ出せば勝てる」という、魔法のカードです。

私たちはその手札をあえて無視し、「自分の過去について学びを深める」だとか「相手のニーズを尊重する」だとか「アサーティブな伝え方を学ぶ」だとかの、遠回りで、面倒で、しんどいように見える「心の筋トレ」を、ストイックに積み続けなければなりません。

チートデイは、ありません。サボったらサボった分を取り返すためのコミュニケーションが必要です。

でも、私たちはやっぱり、どんなにしんどそうに見える道のりだとしても、一歩を歩み出す選択をしなければならないのだと思います。

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それは、あなたの親にも、あなたの祖父母にも、あなたの元彼にも、そのほか誰にも、できなかったことなのです(誰かが選べていればきっと、あなたは今、こうして悩んではいません)。

唯一あなただけが、「この手札を使うのはダメだ」と気づけた。これはとても大きな意味のある、尊いことだと私は思います。

大丈夫。いざ「健全な」コミュニケーションがクセになると、このコミュニケーション方法は、体力がなくなっても、そこまで疲れません。しんどいのは最初だけ、なのです。

でも、筋トレと同じで、最初のしんどさを共有できる仲間は、いたほうが続けやすいと、私は思います。

オンラインコミュニティへの参加やnoteのフォロー、支援をお待ちしています

日本には現在、DV加害者女性に特化したオンラインコミュニティは存在しません。暴力に頼らないコミュニケーション方法を身につけるために、仲間と一緒に支え合ってみませんか。

現在は立ち上げ期間として、コミュニティのメンバーを募集しています。興味のある方はnoteのコメントや、以下のメールアドレス、もしくは問い合わせフォームからぜひご連絡ください。

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あなたに、この文章を最後まで読んでいただけたこと、心から感謝いたします。ありがとうございました。

あなたがよい1日を過ごせますように。

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