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16.チーム力を上げたい

はじめに

高ストレス者の面談などで、面談者から訴えられる「ストレス」としてつくづく感じるのは、集団や組織における「チーム」の「魅力」と「醜さ」の両極端な場面です。

これから極力その魅力的な部分をお話したいのですが、そもそも「チーム」とは、そこに「雰囲気」や「空気感」があるのです。その「雰囲気」は前回の「心理的安全」にも深く関係しています。

本日は、チームの力を発揮するために何が影響しているのか、確認して参りましょう。

集団と組織とチーム

はじめに、組織や集団、そしてチーム、それぞれの語彙の定義を示しておきましょう。確認をしておくと、「トーク」の中で話の筋がつかみやすいでしょう。

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ここでは、「集団」は大枠、「組織」は中規模の集まり(これも定義は色々あると思いますが)、チームはコアな目的を持つ機動力として最小単位の仲間であると考えましょう。

この図を見て、そうだよなぁ~と感心したことがあります。

医学的な見立てですが、筋肉や神経の組織も同じような構造をしているのです。例えば筋組織。

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最終的に一番細いフィラメントの筋原線維が筋肉の実質的な役割をして「実働」して動いている所、機能している場所は「ここ」しかありません。その他の構造は一定の数の筋原線維を囲む「支持組織」や「膜」で構成されています。

そして、末梢神経の神経組織。

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全く同じ構造です。一番細い神経線維が実質的な神経の役割として情報伝達を「実働」しているところです。その他の構造も筋肉と同様、神経線維を囲む「支持組織」と「膜」で構成されています。

このように「実働」以外の組織は「上膜」、「周膜」、「内膜」そして「基底膜」という4つの「膜」で構成されています。便宜上次のように例えられます。

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「上膜」=「集団」
「周膜」=「組織」
「内膜」=「チーム」
「基底膜」=「個人」

つまり、

集団、組織、チームの境界は、すべて見えない「膜」である

ということです。

この「膜」を意識することが、「雰囲気」や「空気感」に直結するのは何となくお分かりになると思いますがいかがでしょうか。

痛み感覚を意識する

組織やチームを語る時、大切にしたいのは人の痛みを感じられるか、「お互い様感覚」のようなものですが・・・。

人は痛みを感じるところは、すべてこの「膜」で覆われた部分のみです。

採血など経験された方もおられると思います。針を刺した時、痛むのは皮膚です。そして血管を突き抜けた時、それ以外の部分では基本的に痛みを感じません。

筋肉組織や神経組織は、基本的に生体内の環境でしか生きていけませんから、最外層の「膜」はどこかというと、それは「皮膚」になります。

外部と内部を隔てるこの「皮膚」という「膜」が「触覚」という最大の「センサー」だと再度認識しましょう。

集団という大きな枠組みから、チーム、あるは個人まで、一貫して貫かれているのは、「膜」でありその感覚は「痛み」を伴うということです。

はじめにお話した、この「空気感」や「雰囲気」というのは、この皮膚感覚から始まります。

それは、社会的環境や文化によっても「皮膚感覚」は変化していきます。それが「社風」という文化にも反映されてくるのでしょう。

ここでは、このような「会社の文化」を変革する力、チーム力を上げる、ABCDE「5つの法則」をもう一度見ていくことにしましょう。

目標設定(Aim)

麻野耕司さんの「THE TEAM」には、はじめに単なる「グループ」と「チーム」の違いが書いてあります。それは、「共通の目標を持つこと」が違いになるといいます。

さらに、目標の歴史的な変遷から、「目標の三分類」を示し、チームに与えられる目標は「意義目標」を置くべきとしています。

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その理由は、ビジネス環境の変化が加速し「行動目標」に基づいているだけではパフォーマンスが上がらなくなったことが挙げられます。

そしてバブル崩壊の1990年代以降、日本で普及したのが定量的な達成を目指す「成果目標」でした。しかし、これもビジネス環境の急速な変化と多様化で目標が半年や一年で効果が無くなる時代になりました。

そこで、今普及しているのが、「意義目標」です。「創出すべき成果」とその先の「実現すべき目的や意義」まで含めて目標設定をします。

「行動目標」のみの設定は、時にメンバーが「作業」の奴隷となり、「成果目標」のみの設定は、時にメンバーを「数字」の奴隷にします。

「何をすべきか?」よりも「なぜやるのか?」という課題を提起することで根源的に「何をやるべきか?」が見つかるのです。

人員選択(Boarding)

これは、目標を実現するために誰を乗せて行くか(仲間に入れるか)ということです。この選択も「プレトーク」の初めにご説明した「チーム」のタイプによって変わります。

チームのタイプは、「環境変化の度合い」と「人材連携の度合い」という二軸で4つのタイプがありました。

簡単に、サッカー型の変化が多く流動的なチームは出口に拘り、駅伝型のような固定的チームには入り口にこだわるということです。

つまり、出口はメンバーチェンジをする頻度が高くなり、入り口にこだわるときは人員選定に重点を置くということです。

意志疎通(Communication)

このお話は、前回お示ししたので、ここでは省略しましょう。「内部アプローチ」、「外部アプローチ」の課題を掘り下げていくことが大切でしたね。

意思決定(Decision)

意思決定には「独裁」「多数決」「合議」の3分類があり、ここでは「時間」と「納得」という二軸を持って説明しています。

言葉の説明ですが、

「独裁」はチームの中の誰か一人が意思決定をする
「多数決」はチーム全員の投票で多数の賛同を得た案に決定する
「合議」はチーム全員で話し合いによる意思決定をする

それぞれ、メリット、デメリットがあり、独裁は時間的に速いが納得が得られにくい。また、合議は時間がかかるが納得感は得られるなどがあります。

「合議」に際しては、スピードとセットにすることが肝要です。この時にKT法が参考になるといいます。

これは、「状況把握」「問題分析」「決定分析」「潜在的問題・潜在的好機分析」で構成された方法で、この中で「決定分析」は複数の選択肢の中から最適案を決定するプロセスです。

合議をスピーディーにするために選択肢の基準を出し、選択基準に優先順位をつけ、最後に優先順位を満たす選択肢を複数出して決定する方法です。

ここではキーワードのみですが、実際の例が本書に載っていますので、興味のある方はご覧ください。

共感創造(Engagement)

 最後の「共感創造」(Engagement)については、次回の「習慣力、モチベーションを向上させるには」の内容に重なるので、明日お話します。

それでは、次回をお楽しみに

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。

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