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日々雑感

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#春

新社会人の君へ2024

新社会人の君へ2024

人生の大半を占める学生時代に終わりを告げ、社会に向けて一歩踏み出した君に、まずは御祝いを申し上げる。
暖冬といわれたこの冬は、立春のころから足踏みして、新社会人の君を迎えるかのように、ソメイヨシノが開花した。
近年にしては、遅咲きのほう、らしい。

君が新社会人として新しい一歩を踏み出す今年、日本は揺れた。
そして、揺れ続けているようである。
確実にかつて日本人の常識とされていたものが失われ、何が

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雨の音はキライじゃないが

雨の音はキライじゃないが

雨の時期になった。
例年、春先は雨が続く。
アブラナが花をつける頃と重なるので、なたね梅雨と呼ばれるけれど、梅の実がふくらむころの梅雨に比べて、あまり現代人の気を引くものではないようだ。
なたね梅雨は、ひと雨ごとに春めいてくるので、もっと歓迎すべきだと個人的には思うが、出かける用事があったりすると、それはやはり気が重くなる。

逆に外へ出るつもりがなければ、日がな雨が屋根に当たる音を聞いているのは

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新社会人の君へ2023

新社会人の君へ2023

新年度のはじまりである。
たとえ出勤日ではなくとも、多くの人にとって新しい年度のスタート日なのである。
それが何を意味しているのか、いまは解らなくてもよい。
今はまだ自分のことだけを考えていればよい。
これ先、どのような暮らしを望むのか、何を得たいか、それを思い描くがよい。

むしろ、それを考えない人であってはいけない。

この春、われわれは紙一重を目撃し、熱狂した。
野球場を駆け回った彼ら超人は

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読書感想文を書き続けるか

読書感想文を書き続けるか

大学に入学してから、いわゆる名作を読んでみようと試みた。
入学試験のために、文学史をあるていど覚えたけれど、そこに登場する作品の中身を知らないのはつまらない、敢えていうなら、恥ずかしいのではないか、と考えたから。

じっさいには、長い通学時間をどう使うか?の結論ではあったが。
大学に入ったばかりのころは、ぼくは電車内で寝る習慣がなくて、寝てしまうと、ほぼ確実に乗り過ごすことになっていた。
乗り過ご

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船長として

船長として

意外とぼくは船長だったりする。
船はレンタルなので、ときどき船長というべきか。
昨年、二回目の免許更新をしたので、船長歴は10年といったところ。
クルマの運転免許に似て、その腕前は免許所持の期間ではなく、どのくらいの時間を運転してきたかに重きが置かれる。
免許歴10年を越えたとき、ちゃんとした操船日誌を記録してこなかったことを後悔した。
したがって、どのくらいの時間運転したかは正確ではないけれど、

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新社会人の君へ2022

新社会人の君へ2022

昨夜はちゃんと眠れたかね?
今日ほど昨日とは違うと感じた日はないであろう。
そうだ、確かに昨日までとは違う。
昨日までの自分を守って生きていこうと考えているのなら、それは考え直したほうがいい。

君が思っているほど、社会とは愉快なものではない。
時として、窮屈なものと感じるであろう。
けれども、それは決して理不尽ではない。
理不尽だと感じるたびに、社会に接していると実感するがよい。
今まで君が見て

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現実

現実

現実的だな、と自分のことを思う。

最初に気づいたのは、気づかされたのは、彼女とデートしているときだった。
輸入雑貨屋に入り、彼女はあれもいいこれもほしいと言っている横で、ぼくは機能的じゃない、のようなことを言った。
「あなたって夢がないのね」
奇妙な形をしたグラスや、模様が違うだけで同じ大きさの皿を否定することが、夢がないのか?と彼女の言葉をうまく呑みこめなかった。

彼女と別離し、かなりの時間

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さまよった



代々木あたりに来ている。

「あたり」と言っているくらい、現在位置が判らなくなっている。
もちろん、調べればすぐにわかるが、あえて調べない。
とにかく北参道駅から、コーヒー屋を探して歩いたところ、どうやら原宿の端らしい。

代々木あたりにオフィスを構えている人は、自前でコーヒーを淹れるのであろうか?
なかなか見つからずに、ようやくおさまった。

さて、このごろ、あまり仕事をしていない。
会社に

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興味はあるが

興味はあるが

雨の平日、しかも、午前中なのに駅前は、けっこう混雑している。

そんなところへ休日に行こうとは、なかなか思わない。

今週末は、遠くへ行きたいな。

まだ始まったばかりだぜ



新入社員を迎えて2週目である。
1週間が経った、というべきか。
いずれにしても、彼らにとって恐らく人生でいちばんめまぐるしい日々が過ぎた。

すでに、自分はこの仕事に向いていない、あるいは、入ってみたら思っていた仕事と違う、と感じている人もいるようである。

そんな一人が、ぼくの目の前にも、いる。

学生時分に、コンピュータのコの字も知らなかったのに、それを動かせるようになりたいと胸を膨らませ

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そうではなかったのに

そうではなかったのに

いつの間にか、春がキライになった。

正確にいうと、春が苦手になった。

空気の温度はもちろん、風のにおいや、街の色、人の声、すべてが日々刻々と変わっていくのを感じると、ひどく取り残された気分になる。
身のまわりに変化が否応なしにおとずれるというのに、自分はまるで変わらない、いや、変えられないと思う。

どの季節がいちばん好きか?
何人ものひとに、ぼくは訊いてきた。

夏が好きだと言うひとは、巨大

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