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動画「【入管法問題】入管はキラ!?難民問題の「闇」に迫る」スクリプト

こんにちは、烏丸百九です。

大変長らくお待たせしてしまいましたが、現在世間を騒がせている「出入国管理及び難民認定法(通称入管法)改正問題」について、動画を作成しましたのでご報告致します。

頑張って編集したので、よろしければ是非ご覧下さい。


以下は同動画のスクリプト(字幕)になります。字幕が必要な方は、お手数ですがこちらのnoteを読みつつ見て頂けると嬉しいです。

スクリプト(字幕)

どうもこんにちは、烏丸百九です。
皆さん入管問題って聞いたことありますか?
今世間で結構話題になってきてるんですけど、こういうツイートとか、はいこういうツイートとか、いろいろ盛り上がっていますね。

いわゆる入出国管理および難民認定法について、今は難民申請を何回でも繰り返せるような制度になってるんですが、3回目の申請以降は相当の理由を示さない限り却下し、された場合は強制送還する。強制送還を拒否した場合は、新たに罰則を設けるっていう規定を追加するという改正が、今国会を通過しそうだという問題ですね。

これに関してですね、外国人を一刻も早く追い出したい人たちはこのように喝采をしているわけなんですが、この改正の何が根本的に問題なのか、なんでこんなにいろいろ批判されているのかっていうところを、かなり大雑把に解説してみたいと思います。

私は法学の専門家ではないので、一つ一つの解釈に関する詳しい解説はその道のプロの方の文章などをちゃんと読んでください。

そもそも本当に根本的なところから始めるんですけれども、皆さん、移民と難民の区別ってわかりますか?

移民っていうのは。実はあんまり具体的な定義っていうものがなくて、外国に長期間、一般的には1年以上居住してる人はみんな移民と呼ばれる可能性があるんですよ。

普通は出稼ぎのために入国してきた人とかが多いと思うんですけど、それに対して難民っていうのは具体的な定義があって、「出身国からの迫害の十分な理由がある恐怖などのために、出身国へ戻ることができない、また戻ることを自分から望まない人」のことなんですね。

要するに最初から帰れない理由がある人たちなんです。日本政府と入管は、この移民と難民をわざと区別しないことによって議論を混乱させていると思います。

今インターネット上でこの手の人たちが、あの不法難民! 不法難民! と、要は、今問題になってるのは日本に対して在留する資格を持っていない人たちなので、違法に日本にいる難民、要するに「不法難民」だから全員送り返せと言ってるわけですね。

でも「不法難民」っていう言葉はそもそも英語では存在しないんですよ。
普通、在留資格を失っただけの人は「オーバーステイ」と言われます。
難民である事自体は犯罪行為ではありません。所謂自然犯ではなく、法定犯というやつです。駐車違反とかスピード違反と同じで、行為の重さに合わせて行政上のペナルティが科せられることになっています。

それに対して、難民となる事情なく移住を目的としてやってくる人たちのうち、在留許可がない人は、一般的には不法移民、イリーガルイミグレーションと言われます。
これって移民してくる人っていろんな目的があって、単に日本に住みたいとか、日本で働きたいとか、日本で何かの技能を身につけたいとかいろんな目的があるんですけど、でも難民っていうのは根本的に定義が違って、最初から政治的に迫害されたりとか、何かしらひどい目にあって日本に逃げてこざるを得なくなってきた人たちのことなんです。ウクライナの人たちって今は避難民として受け入れてるんですけど、あれ事実上の難民ですからね。

母国に返せないですよねこの人たちって。でも日本の移民と難民をごちゃごちゃにした難民申請制度の上では、約97%の人たちは、自分の母国にそれでも帰ってるんですよ。

中にはおそらく本当は帰りたくない人たちも結構いると思うんですけど。とりあえず命を奪われる心配はないということで、お帰りになってるっていうことだと思います。それでも帰らない人たちっていうのは、どうしても絶対に帰れない、帰ったら殺されたり迫害されるっていう事情がまずある人たちなんです。

こういう人たちを、3回目の申請以降は何が何でも認めずシャットダウンして強制送還する、そして強制送還を拒絶した場合は警察が逮捕することができるようにするっていう制度改革を今しようとしているのであって、これって「難民デスノート」みたいなもんですよね。

デスノートに「お前は強制送還される」って書いてるようなもんですよ。だって強制送還されたらかなりの確率で死ぬか、絶対に失いたくないものを失うんですから。それは血縁だったり家族だったりするわけなんです。

信じられないっていう方もいるかもしれないんですけど、バブル期に日本って、大量に難民か移民かの区別もなく、在留許可のない人たちを労働力として受け入れてて、その中で一部の人たちっていうのは日本人と結婚したりして、未だに日本にいらっしゃる方って結構いるんですよ。

その人たちの子供とかって、当然に皆さんの言うところの「不法難民」状態なわけなんです。でもこの人たちって、当然に生活基盤が日本にあるから帰るに帰れないのです。

しかも子供たちは日本語しか喋れないんですよ。帰れるわけないじゃないですかそんなの。でもそれでも帰れと言い張っているのが今の入管で、今の政府なわけで、この政府の言い分を全面的に実現するのが入管法改正なわけです。

この辺でいわゆるネット右翼系の人たちがいかにヤバいことを主張してるかっていうのは少しは伝わったかなと思うんですけど、いや結局はかわいそうだから難民を保護しろみたいなこと言ってるだけじゃねーか! って言われそうなんで、その実態をもう少し詳しく解説していきます。

まず最初に話したような現在の難民の地位とかの規定についてなんですけど、難民条約と言われる二つの大きな条約がありまして、ひとつが「難民の地位に関する1951年の条約」、もうひとつが「難民の地位に関する1967年の議定書」です。
この二つの条文が国際連合の加盟国などで広く批准されています。

日本ってこれを批准してないんじゃないかって結構言われるんですけど、ちゃんと二つとも批准してるんですよ。アメリカは一つしか批准してないのに!

この条約に書いてあることとして、いの一番に「難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされる恐れのある国へ強制的に追放させたり帰還させてはいけない」「難民申請国へ不法入国、または不法にいることを理由として難民を罰してはいけない」ってちゃんと書いてあるんですよね。ちなみにこれ所謂国際法規なので、批准した以上は日本の国内法規に優越するんです。

で、今審議されてるような法律を申請したら1の条約にも2の条約にも確実に引っかかってくるんですけど、日本政府は国連無視、批准条約無視をどう考えてるのか全然わからないんですよね。何も説明してくれないから。

いやそんなこと言っても全く受け入れてないわけじゃないんだし、日本と他の国とでは基準とか国家のあり方が違うんだから仕方ないじゃないか、って擁護もあるんですけれども、日本の難民認定率って0.7%とかなんですよ。

ちなみにフランスが17.5%、ドイツが25.9%、カナダ62.1%です。いくら何でもちょっとありえない低さですよね。難民保護するのって基本的に国連加盟国に課せられた義務なんで、その義務に対して違反してる、日本は一国だけズルをして国際的なルールに違反していることになるんです。

他の経済的に恵まれてない国が大量に移民や難民を受け入れていることを考えると、国際的に見てもかなり問題のある話ですよね。

ただそうは言っても右翼の人たちの言うことにも一理はあって、「不法難民」ということを言ったんですけど、彼らが言いたいのって、要するに「不法移民」のことだと思うんです。

経済的支援とかを目的に、正当な滞在許可なしに日本に入ってくる人たちですね。不法移民と難民が区別できない状況というのは実際にありえます。典型的な例がラテンアメリカです。ラテンアメリカでは政治紛争などが続いてるので、彼らは弾圧された難民かもしれないし、でもいろんなものを求めて移り住んでくる移民の人たちかもしれない。

その区別をするのってかなり難しいんです。それで、多いときには最大で11万人以上の移民か難民かわからない人たちが、国境付近に押し寄せてきてるって事態になったんですよ。それに怒ったドナルド・トランプ元大統領が、メキシコに壁を作るぞって言ったり、難民の認定をものすごく厳しくして、1万5000人まで認定者を減らしたんですけど、それでも止まらなくて、トランプが選挙に敗れて、バイデン政権になってからは少し回復傾向にあるようです。

そういう場合って確かに難民と不法移民って結局区別つかねじゃねーかよ! っていう保守派の意見っていうのも一理あると思うんですけど、でもそれって1万人とか5000人とかのスケールの話なんですよね。たったの77人 [註:74人の間違いです] について議論することじゃないだろっていう話ですよ。

これだけ人数が少なければ、1人1人についてきちんと身元を精査して、この人は確かにこういう紛争国から来てるから難民ですねとか、いやこの人は別に難民ってわけじゃないですねとか判定することだってできるはずなんですよ。

でもそれをやりたくないのか、コスト的にムリなのかは知りませんが、とにかく全員捕まえて、全員強制的に送り返すっていうのがずっと日本が取り続けてる難民に対する態度なんです。

これはちょっと許容できないですよね。だって国連の条約にも反してるし、もちろん人道上も大変な問題だし、何で日本だけこんなことしてんの? っていうことをずっと国連などから突っ込まれ続けてるのに全く改める気配がなく、もっともっと更に厳しくしようと言ってるわけなんです。

難民は犯罪者だから追放しろ! と声高に主張している人が散見されるんですが、この観点から言うと「犯罪的」なのは日本政府の方なんですよね。国内法規に優越する国際法規を条約レベルで批准しておきながら、ずーっと法律を守らずに無視しているわけですから。

ただ、そうは言っても、所詮他人事というか、ほとんどが日本生まれの大和民族でしめられている日本社会において、外国人の人たちの問題なんて言われても知らないよって言う人が現状多いのかもしれません。なので最後に、具体的な例を一つ紹介したいと思います。

トルコ国籍のクルド人、デニズさんは2007年に来日されました。
ご両親がトルコで反政府活動をやっていて、家族ぐるみで目をつけられていたので、既に在留している仲間を頼って日本に避難してきたというのが動機のようです。トルコでそんな政治的迫害なんてあるわけないだろって人は「クルド人」と「エルドアン大統領」でググってほしいんですけど、普通にありますからね。イスラム国が伸長したときにクルド人を攻撃したりして大問題になったのがトルコなんですよ。

で、トルコ系のクルド人の難民申請なんですけど、なぜか知らないんですが、日本で認められたのは過去に裁判を起こして勝利した一人だけなんです。
一体、どういう理由で認められないんですかね?

よくわからないんですが、ただデニズさんがトルコに帰れない理由って、実を言うと政治的迫害が主な理由ではないんです。2008年に今の妻の方と知り合って、2011年にご結婚して、既に12年が経過してるんです。

デニズさんみたいな人は難民申請中の仮放免者という位置づけなので、働くことは禁止だし、勝手に移動することは禁止、もちろん生活保護とかを申請するのも禁止、福祉や保険も一切受けられません。だから支援者とか仲間がいないとそもそも生きてられないんですよ。

ちなみに妻さんがデニズさんと結婚した動機なんですけど、王子様に出会いたかったということらしいです。わかる気がします。だけど、当然彼女はデニズさんが難民だと知っていたので、日本人である自分と結婚すれば入管も当然に配偶者として在留許可を出してくれるだろうと、そう期待していたのですね。
実際、普通の外国人だったらこの時点で在留特別許可が出てるはずなんですよ。でもデニズさんは認められませんでした。

2017年からデニズさんは牛久の入国管理センターに収容されました。ここでの悲惨な出来事は「牛久」という映画にまとめられているので、興味のある方はぜひ見てみてください。

2019年にデニズさんは、2年間の収容に耐えかねて、精神を病んでしまったんです。職員の人に眠剤をくださいとお願いしたんですが、聞き入れられませんでした。

そこでデニズさんが抗議したところ、複数の職員が部屋に帰ってきて、いきなり両腕を締め上げられるなどの暴行を受けました。

後に仮釈放された彼は、暴行について入管に訴えを起こし、先日勝訴されました。
そのことで右翼からの誹謗中傷なども集まるようになってしまったようです。

デニズさんは2019年に暴力を加えられているので、これに関して入管がちゃんと真摯に反省していれば、サンダマリさんの死亡事件もおそらく起きなかったと思うんですけど、何の反省もしてないんですよね。
サンダマリさんの事件の後、医療体制を拡充したとか言ってるんですけど、つい最近でも、精神障碍を持っていたイタリア人男性の方が、向精神薬治療が認められず、入管内で自殺してしまうという事件が起きました。

この体質を修正するのって多分不可能ですよね。野党側は、現在の入管改正案の廃止の他に代替案として第三者機関を設けて、そこで入管の難民審査などバックアップしてもらおうという法案を提出しています。私もそれぐらいしか処置の仕方がないんじゃないかなと思います。

以上が大雑把な現在の入管問題の概要です。自民党とか維新の会とかネット右翼の人たちが言うように、難民を認定するともっと日本に難民が押し寄せてくるぞとか、治安が悪化するぞみたいな懸念はわからなくもないんですけど、だからといって、難民デスノートを使って難民を強制的に家族と引き離し、しかも死なせようとするっていうのは、夜神月が漫画「DEATH NOTE」の中で、犯罪者をデスノートの力で皆殺しにしようとしたのと同じ、いわゆる「行き過ぎた正義感」だと思います。

私は自分が正義だとは主張しませんが、この人達の人を人とも思わない行き過ぎた正義感は、「」だと思います。

自民党やその支持者の皆さんに聞きたいんですけど、今日本には4千人ほどのクルド人の方がいると言われているんですが、日本を守るためなら彼らを皆殺しにしても、俺たちは正義だから許されるとでも言うんでしょうか?

入管がここまで極悪非道な理由としては、彼らの前身が戦前の特高警察だということがあるんじゃないかと思います。特高警察の解散後、OBの一部は入管職員になって、外国人を取り締まる仕事をしていたそうです。元々そういう目的で作られた組織なんで、そもそも難民の人たちを助けるとか、援助するという意思は全くないんですよね。

TBSの報道では中国で反政府活動をして、20年近く仮放免状態だった男性の話が取り上げられました。彼は最近ようやく認定されたらしいんですけど、もし今回の法案が通っていたら確実に強制送還されて死んでた可能性が高いんですよ。第三者機関の設立が絶対に必要な理由がここにあります。

これは右とか左とか関係のない問題なので、左翼活動家が変なこと言ってるわけではないっていうことは理解していただけるんじゃないかと思います。

どうも最後まで見ていただきありがとうございました。
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