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中国の良質の時間SF「時間の王」

<SF(27歩目)>
良質な中国時間SFで脳を刺激する。

時間の王
宝樹 (著), 稲村 文吾 (翻訳), 阿井 幸作 (翻訳)
早川書房

「27歩目」は中国のSF界の新星による時間SFの短篇集。

作者の宝樹さんは、中国のSF界の巨星劉慈欣さんの『三体』シリーズのスピンオフ作品である「三体X 観想之宙」の著者。

多くのSFファンを魅了した「三体」シリーズのスピンオフ作品で、辛口なSF者たちが多く集まる中で、素晴らしい力量でまとめあげた。この「三体X」を読んで、思わず同一作者の作品を一気読みして出遭った先品です。

結論は、宝樹さんは「短篇」の名手です!「三体X」よりもイケています。

7篇の短篇集ですが、どれもイケる。
特に「三国献麺記」「九百九十九本のばら」「時間の王」はイケた。

「三国献麺記」

なんとまぁ、中国の三国志の歴史的なシーンを中心とした時間SF。なんだか、高校時代の漢文の時間を思い出した。読ませる!でイケている。
ちょっと笑えるドタバタなんだけど、素晴らしいオチがある。

「九百九十九本のばら」

シンプルですが、一番素晴らしい。超おススメです。
大学生らしい主人公の行動が最高(「若さ」って最大の武器だ!)。これは中国の若者の心を掴んだ理由かも。こんな話を読ませる展開にする。極めて宝樹さんは能力が高い。

「時間の王」

これは時間SFでもあり、哲学でもある。
「愛(love)」がたくさん入っていて、わくわくしながら読んだ。

読んで、とにもかくにも、彼の能力の高さに驚いた。「お約束の時間SF」に一ひねりをいれて昇華している。また、「愛(love)」もとても美しい!

宝樹というペンネームもいいね!おそらく、これからかなりの作品を読むことになりそうな若手作家です。

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