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連帯保証人になっても大丈夫なの・・?


|連帯保証人について

借金やローンを組む際、アパートの賃貸契約などでも、「連帯保証人」が必要な場合が結構ありますよね。連帯保証ってなんなの?

|「保証人」と「連帯保証人」?

債務者が金銭を返済しない場合や債務者の財産が差し押さえられて返済しきれないときに、債務者に代わって、借金を返済することを約束した人が保証人という。

連帯保証人は、債権者に対して債務者と連帯して支払い等を行うことを約束する契約です。
自身がお金を借りているのと同じ立場になり、請求されたら反論できず、主債務の全額を返済する責任が生じます。

保証人の場合には「先ずは債務者に請求してくれ」と債権者にいうことができるが、連帯保証人となった場合には「連帯して保証(弁済)する契約」なので、債権者に対して借りた人、つまり債務者にまずは請求して欲しいということができない(これを「催告・検索の抗弁権の排除」という。)のです。

|「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」

「催告の抗弁権」とは、保証人が債権者(金銭の貸し手)から「貸した金を返してほしい」などの請求を受けたとき、自分よりまず債務者に請求してほしいと主張できる権利であり、「検索の抗弁権」とは自分より債務者の財産を先に差し押さえるように主張できる権利のことをいいます。

これらの権利は連帯保証人には認められていないので、債権者は連帯保証人に対して債務者と同様に請求でき、連帯保証人は支払い義務が生じるのです。

連帯保証人になることは重い責任を負うことを意味するので、引き受けるかどうか慎重に判断する必要がある。

|連帯保証人は誰でもいいの?

民法(第450条)に保証人の要件が定められており、連帯保証人も同様である。商取引上は親などの契約者本人に近い親族や友人などで支払い能力のある人にすることが多いです。
高齢者など収入のない人は、「弁済能力を有しない」と判断されている例がほとんどです。
それは保証人や連帯保証人の制度の趣旨が債権者救済(債権の回収を適切に行う)ことにあるからです。

(保証人の要件)
第四百五十条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
一 行為能力者であること。
二 弁済をする資力を有すること。

|連帯保証人は債務者と同じ責任を負う?

連帯保証人になると、自分が借金をしたり、契約をしたのと同じだけの責任を負うことになるのです。
一般的に金銭借り入れ(借金)の連帯保証人は、債務者(借りた本人)と同様に、借金の元金+利息+違約金+遅延損害金返済対象になります。(民法第447条)。

また、契約が解除された場合でも損害賠償債務、不当利得返還債務等も従前の債務と同一性を有するものとして保証の対象となります(第458条ほか )。

(筆者撮影)

|連帯保証人になってもいいの?

基本的には、連帯保証人になることはお勧めしません
債権者が直接連帯保証人の財産に強制執行を申し立てることができるなど、借金の返済などに関してきわめて重い義務を負うことになるので、「連帯保証人にならないほうがよい」といわれています。

また、一旦連帯保証人になったら、やめたい!と思っても解除は極めて困難です。
連帯保証人となることは契約の一種、「当事者」は「賃貸人(債権者)」と「連帯保証人」との契約となるので、連帯保証契約の変更や解約には賃貸人(債権者)との合意が必要になります。
当事者一方の都合で解除することはできません。

|連帯保証人は時効の「消滅時効援用主張」ができる?

連帯保証契約により連帯保証人は本人(主たる債務者)の借金を保証することになるが、連帯保証債務も消滅時効援用の主張をすることができます。
最終弁済の時から5年(商事債権)ないし10年(一般的な債務、債務名義がある物等)請求がないまま経過すると消滅時効が成立し、援用することができます。

|連帯保証人と相続

例えば親(被相続人)が連帯保証人だった場合、子(相続人)は相続により「連帯保証債務」も受け継ぐことになります。
ただし、相続放棄をすれば連帯保証債務を免れることができます。
相続放棄なので、連帯保証債務を免れることができるが、併せて親のプラスの財産も相続放棄することになります。

親(被相続人)が債務者となっており、その子(相続人)が連帯保証人だった場合には、相続人は相続放棄をしても連帯保証債務を免れることはできません。

(筆者撮影)

|連帯保証人を頼まれたらどうすればいい?

保証人や連帯保証人を頼まれることがあるかもしれないが、保証人と連帯保証人の違い、連帯保証人の責任などを理解し、保証人になるかどうかよく考えて判断していただきたいですね。

特に連帯保証人になったがゆえに、債務者に成り代わって借財の返済を迫られ、結果として家屋を処分し家庭崩壊している例もたくさんあります。
なお、住宅などの場合には、近年は、金融機関が指定する保証会社に保証料を支払うことなどにより、連帯保証人が不要な場合が多いです。
金銭貸借契約などの連帯保証契約は特に慎重にしましょう。


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