見出し画像

#25 札幌についての愛を語る

【注記】-自己満足に近い記事です-
#24から3回に分けて、最近訪れた北海道体験記が中心に描かれ、ほんのちょっぴり愛かもしれないなぁと思ったことをつらつら書いています。

 先日の「#24 スープカレーについての愛を語る」の続編。

 やけに風が冷たく、身体中が震えていた。1日目はスープカレーを食べ、一通り街を歩いていわゆる観光っぽいことをした。何せ北海道へやってくるのは、大学時に東日本をチャリンコで一周した以来なので、かれこれ10年ほどのブランクがある。その当時のことを思い出そうとするのだが、夏だったにも関わらずひたすら寒かった覚えしかない。

 高知県のはりまや橋、長崎県のオランダ坂と並び称して三大ガッカリ名所と言われている札幌の時計台であるが、わたし個人的には割とこぢんまりとした感じが気に入っている。札幌駅から宿まで歩く間、懐かしさがじわじわと滲み出てくる。

*

ショートトリップ2日目後半

 2日目は、さすがにスープカレーだけだとやることが無くなりそうだったので、急遽調べて興味の湧いてきた札幌芸術の森美術館へ行くことにした。CONGカレーを食べた後、お腹も満たされていて言いようのない原動力に満ち溢れていたのである。車も今回レンタルしていなかったので、せっかくだから歩いていくことにした。

 所要時間2時間半の道のり、かつて社会人なりたての頃はなぜだかわからないが毎日のように10km走っていた時があったので、その時から比べるとなんてことない距離のように軽く考えていたのである。ところが、実際のところこれがなかなかに辛い道であったことは想像に難くない。自分がいつまでも若い時と同じだと思っていたら大間違いなのだ。

 ようやく芸術の森へ到着した時には、3時くらいになっていた。まずは野外美術館を散策しにいく。今回久しぶりに芸術なるものに触れて思ったのだが、オブジェに関して言えば系統は二つしかない気がする。「目で見て作者の思いがダイレクトに伝わってくるもの」と「目で見てもなかなかに理解しにくいもの」である。

 後者に関して言えば、割と多いのが作者自身の心の在り方を体現しているというケースである。これに関しては、もうもらったパンフレットを読んで、「ははぁ、こういうことだったんですなぁ」と理解したフリを見せるしかないわけだ。何も解説がないと、四方八方支離滅裂にものを考えてしまうので、なかなか難しいところである。

 個人的にはダニ・カラヴァンさんが作った「隠された庭への道」が面白かったかなぁ。なんでかわからないけれど、唐突に以前観た「ミッドサマー」を思い出した。怪しげな建物が妙に重なり合うのである。最初映画を観ようと思ったとき、割と爽やかな絵柄だったので「なんだろ、これ爽やかな青春ラブストーリーだろか」と思ったのだが、全くそんなことはなかった。

 身の毛がよだつほどの、ゾッとするスリラー映画だった。

 くれぐれもこれから観たいと思っている人は注意していただきたい。決して一人では観てはいけない。観終わったとき、あまりにも恐ろしかったのでその日の夜は満足に眠ることができなかった。海外でよくあるようなモンスター系ではなく、もしかしたら実際にあるのかもしれない人の恐怖である。

 とまあ、話は脱線したが、なかなかに想像力を掻き立てられる楽しい場所であった。札幌で観光するところに困ったら、(札幌出身の方、すいません…)ぜひ札幌へ来る機会があれば、来訪することをお勧めします。

 ちなみに、本当はPIXAR展も見ていきたかったのだが、閉館まで残り30分ほどしか無くなってしまったので、泣く泣く諦めた。普通に面白そうだったので、ちょっと勿体無いことしたなーと後悔している。

*

ショートトリップ4日目

 3日目は小樽へ行ったので、また次の回に話を譲るとして、4日目は北海道最終日だった。今回の旅では、テーマを「スープカレー」としていたのだが2日目にしてなんとも物足りない気分になってきたので、結局迷いに迷ってジンギスカンを食べにいくことにした。

 午前中は雨がしとしと降っていて、えらく寒かった。土産物屋をまわりつつ、さりげなく店の中で暖を取る。そのままいくつかの店舗を練り歩いて、なんとか体を温めるのだ。

 友人からご当地キューピーを買ってきて欲しいと言われて二つ返事で了承したのだが、これまさかの10軒くらい歩き回っても見つからないという事態に。お店の人に話を聞くと、「はて、最近入ってきてないねぇ」と言われる始末。そういえば、確かに観光地行っても最近ほとんど見かけない…。わたしはカトちゃん派だったのだが、同じようにどこにもない。

 もはやカトちゃんもキューピーちゃんも絶滅危惧種……。

 悲しい限りである。ようやく最後訪れた店において、隅っこに追いやられたキューピーたちを発見した。被り物をしているキューピッドたちをまじまじと見ると、胸がツンと痛くなる。彼らは、誰かの心の橋渡しをすることを今か今かと待っているのだ。そう思うと健気である。

*

 わたしが今回泊まった場所はゲストハウスのような趣で、そこに宿泊していた人から声をかけられる。その人はどうやら今北海道を転々としている流浪の旅人のようで、一緒にジンギスカンを食べに行かないかという。

 本当はサッポロビール園へ行って、一人食べ放題飲み放題をしようと思っていたのだが、あまりにも寒すぎてもはや出かける気力を失っていた。その人曰く、近くに美味しい食べ放題のジンギスカンがあるそうで、せっかくなのでついていくことにした。

(仮に森さんとするが、彼はなかなかに波瀾万丈な人生を送っていて、我ながら強烈な人に当たってしまった、と後程こっそり後悔した)

 名前を「じんじん」というのだが、一見すると普通の定食屋さん風である。実際入ってみると何やら小難しそうな店主が控えていたものの、味は大満足だ。1時間半で¥1,500程度ということで、なかなかにお手頃な価格帯である。

 そうこうしているうちに、あっという間に札幌を旅立つ時間がきてしまった。たった4日間の滞在だったが、札幌は東京とさほど景色が変わらないし、何より肌寒いところだけれど、本当に美味しいものばかりで生き返った気分になった。

 美味しいものは、世界を救う。見知らぬ地において食べるものはなぜだか妙に心惹かれる。食への愛は衰えることを知らぬと思った道中だった。次は是非、車を借りて北海道の隅っこに行きたいという夢もできた。(やっぱり歩きだけだと、限界がありますね…)


故にわたしは真摯に愛を語る

皆さんが考える、愛についてのエピソードを募集中。「#愛について語ること 」というタグならびに下記記事のURLを載せていただくと、そのうちわたしの記事の中で紹介させていただきます。ご応募お待ちしています!


この記事が参加している募集

私のイチオシ

週末プロジェクト

末筆ながら、応援いただけますと嬉しいです。いただいたご支援に関しましては、新たな本や映画を見たり次の旅の準備に備えるために使いたいと思います。