日本の国家安全保障2000年代 11


#多様性を考える


第2節  小泉純一郎政権 防衛計画の大綱の見直し 1


 「安全保障と防衛に関する懇談会」の答申を受けて、防衛計画の大綱の見直しが始まった。


小泉純一郎内閣総理大臣は、防衛計画の大綱の見直しに、「小泉構造改革」を反映させようとした。



その結果、小泉総理大臣は財務省に主導権を持たせた。





 小泉総理大臣と財務省首脳の意向をうけた片山さつき財務省主計官は前代未聞の発想に基づく防衛計画の大綱見直し案を提案してくる。


片山さつき財務省主計官は


「陸上兵力で言えば戦車、火砲、対戦車用ヘリ。海上兵力では護衛艦、対潜哨戒機。航空兵力では、戦闘機などの作戦用航空機など。冷戦型の正面装備になる。」、


「日米同盟を強化するなら、なぜ自衛隊を強化する必要があるのか。」




的外れな思い込みが激しかった。




テロ対策、ゲリラ・コマンド対処

にしても


「施設に人を張り付ける非効率な守り方から、情報能力を高めて、敵に張り付ける効率的な方法に変更するというのが、RMAの考え方」、


「対象国として想定されている北朝鮮の特殊部隊2500人が日本に向け侵攻し、

 接岸するとの想定が、

 アメリカはじめ、わが国も含め周辺各国が情報衛星などを含めてあらゆる方法で集中監視している国から、

 これまでのような少人数ならいざ知らず、

 2500人もの大規模部隊が、移動を始めたことすら探知も捕捉もされないほど、

 甘い国際環境に北朝鮮はおかれていない。」


 と甘い考えを表明している。


 特殊部隊の作戦能力、特殊部隊の浸透能力、特殊部隊の輸送能力

 を

 知らないと思われる片山さつき財務省主計官。







1995年防衛計画の大綱では


 陸上自衛隊現有定員は


 16万人(実際は16万7千人)、

 常備編成定員は15万8千人、

 予備自衛官と即応予備自衛官9千人、

 戦車979両


 であった。




 財務省と片山さつき財務省主計官

 は


 陸上自衛隊の編成定数を12万人、

 うち常備編成定数を11万人、

 予備自衛官及び即応予備自衛官を1万人


 とし、

 戦車は425両と半減した。


 また北海道の

 2個師団・2個旅団4万3千人

 を

 1個師団1万3千人にするなど、


 大幅な削減を提案した。





 これは

 日本の国土の2/3で、人口は1/2、

 さらに友好国、同盟国に囲まれた

 イギリス陸軍の現役兵力より少ない数で、

 予備役を含めるとさらに少ない数となる。



 また、装甲厚700mm以上(均質圧延防弾鋼板換算)に及ぶ複合装甲と、

 装軌・1500馬力のエンジンによる走破性・機動力

 120mm砲の圧倒的火力

 で

 戦場のパトロールをはじめゲリラ・コマンド対処、機甲戦で有効である

 とともに

戦車があまり役に立たないと思われていたアフガニスタン山岳地帯でも戦車が最も有効な兵器とされカナダ軍が戦車を増備するなど

 近年のあらゆる地域紛争で戦車の有効性が証明され、


 各国では再び戦車の配備が増やされているのに

 片山さつき財務省主計官は戦車の数を半減させている。







 また、片山さつき財務省主計官

 は


 「他国は少数精鋭化している。

この事実を防衛庁側はいまだみとめようとはしない」


 としているが、


 陸上自衛隊は

 国土面積38万平方km、人口1億2700万人の大国・日本でありながら、

 編成定数16万人の


少数精鋭


である。

近年の紛争頻発、激化によって各国は陸上兵力を増加させている。




片山さつき財務省主計官は

災害には、

「自衛隊、警察、消防、自治体が協力して対応すべき」

と言いながら、


災害救援に当たる警察の機動隊の削減、消防庁予算削減も財務省は要求し続けている。







 1995年防衛計画の大綱では

 海上自衛隊の護衛艦数は54隻であった。



 財務省の片山さつき主計官は、

 海上自衛隊の護衛艦数は38隻と主張した。





ロシアが原子力潜水艦と水上戦闘艦の勢力を維持し


中国が海軍力を大軍拡し、

1988年にはベトナムを攻撃・侵略し、1995年にはフィリピンを攻撃・侵略し、

尖閣諸島、南沙諸島、中沙諸島を領土と主張、武力行使を宣言、

ミスチーフ礁(美済礁)、ジョンソン・サウス礁(赤爪礁)、ヒューズ礁(東門礁)、スビ礁(渚碧礁)、クアルテロン礁(華陽礁)、ファイアリー・クロス礁(永暑礁)、ガベン礁(南薫礁)

を実効支配するなか、


片山さつき財務省主計官は海上自衛隊の大幅軍縮を主張した。






航空自衛隊の戦闘機数は

編成定数300機、

実際は295機であった。




財務省の片山さつき財務省主計官は

航空自衛隊の戦闘機数は

216機

と主張した。




片山さつき財務省主計官が主張する

航空自衛隊のこの216機という数字は



北海道より人口も面積も小さい
イスラエルの469機
(F-15A/B戦闘機47機、F-15I戦闘爆撃機60機、F-16A/B/C/D戦闘機362機)、



発展途上国の
トルコ484機
(F-16C/D戦闘機270機、F-4E戦闘機214機)、


サウジ・アラビア325機
(F-15C/D戦闘機98機、F-15S戦闘爆撃機72機、トーネードADV防空戦闘機60機、トーネードIDS戦闘攻撃機45機、F-5E/F戦闘機50機)、


九州程度の大きさで人口が2000万人しかいない
台湾575機
(F-16A/Bブロック20戦闘機150機、ミラージュ2000戦闘機60機、IDF経国戦闘機150機、F-5E/F戦闘機215機)


よりも少ない数である。





さらに15年以上前年度比10%以上の軍事費増加を続け、

スホーイSu-27戦闘機とスホーイSu-30戦闘爆撃機を輸入とライセンス生産するとともに

旧世代戦闘機を3000機、爆撃機を140機保有し、

近隣諸国への侵略と覇権の姿勢を見せる

中国や、



スホーイSu-27戦闘機とスホーイSu-30戦闘爆撃機、ミコヤンMiGー29戦闘機、ミコヤンMiG-31戦闘機など第4世代戦闘機



ツポレフTuー22爆撃機、ツポレフTu-95爆撃機、ツポレフTu-160爆撃機など爆撃機200機を保有し

歴史的に覇権主義、拡張主義の国防体制をとる

ロシアに



接する、



人口1億2700万人、国土面積38万平方kmと世界でも有数の領空・排他的経済水域を持つ

日本では、従来の編成定数でも不足する。 



それでも大幅な航空自衛隊の軍縮を主張する財務省の片山さつき財務省主計官。


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