EP11 軍団の崩壊と新たな構図

一学期も終盤を迎えて、クラスにある変化が訪れた。出身中の壁が薄れつつあったということである。それは、様々なところで顕著に表れていた。まず、F中出身の人たちが大勢で固まっていたのが、段々と細切れになっていった。そして、少人数になっていると話しかける障壁と数の圧力がないから人数の少ない非F中出身の人たちもF中の人らに話しかけやすくなる。さらに、席替えや体育の授業など人為的に作られた環境において出身中学の壁を越えて話す機会も増えた。そのようななかでF中出身と非F中出身の馬が合い関係が醸成されるということもあった。

そうなると、非F中出身でF中の勢力におされ、クラスにおいてマイノリティにならないようにということで結びついていた僕たち非F中軍団も結束が前より弱まってきたのであった。過去のEPでも書いた通り、SKと少年Nはすでに離脱していた。出身中学の壁が薄れるなかで、次にメンバーの中のFTがF中出身で同じ部活のGHと意気投合し、次第にGHと過ごす時間が長くなって軍団を離れていった。KWもF中出身のMTと意気投合し同じく軍団を離れていった。BBは非F中のKN中出身の3人と話すことが多くなり、そこへ移籍した。(BBはこのKN中の3人と元々小学校が同じで、家も近かったのだが、国立中に入学したため3人と同じ学区内のKN中に行かなかった。入学当初は同じ中学出身の者に気を使って、非F中軍団を離れることができなかったのだろう。彼にとってこれは本来の形へ戻ったともいえる。)

僕はどうか。FTやKW、BBのように新たな人間関係を醸成し、軍団から離れることはできなかった。というより、ノッポのHから離れることが出来なかったという方が正しい。離れることができないままでいると、新たな人物が現れた。MKとTOだ。MKもTOもF中出身。どちらも、ノッポのHに気に入られたのだった。そして、ノッポのHはこの二人を空いた穴を埋めるように非F中軍団に引き入れたのだ。(ここでもう非F中ではなくなる。)。新たな行先を作れなかった僕もこの軍団にとどまるしかなかった。

ノッポのH、MK、TO、僕の4人新たに出来たグループをこれからのEPでは4人組と称することにしたい。

出身中学出身の壁が薄れ、新たな枠組みが形成されはじめる。そのような変化のなかでも僕は何かを恐れ常に受動的であったのだった。何もしなかったのだ。そして、ノッポのHから離れられなかったのだ。

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