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エスカレーター運用の変更 - 理由≠きっかけ

 従来、長きに渡り固定仕様(設定)になっていたものが何の前ぶれもなく変更されていると、慣れ親しんだ多くの人にとっては多かれ少なかれ「戸惑い」が伴います。そんな施しがなされた例です。

 

 ここは関西空港駅。JRと私鉄の南海電鉄とが乗り入れているのですが、後者のプラットホームです。
 画像内の右側に停車車両が見えますが、階段の左(ホームの対面)側にもう一つ乗り場があり、計2線で折り返し運用している終着駅です。

 改札口は階上にあり、降車した全員が(エレベーターや)階段又はエスカレーターで昇ります。

 でも、ここのエスカレーターは元来、右側のレーンが昇りとして運用されていました。
⇒通称『片側立ち』の慣習/左右のどちら側? が地域によって異なる云々の話ではないですよ!
 2機が平行に設置された相互に関してです☝ 

関空駅エスカレーター

 写真は変更後のもので、階段寄りの左側が昇り用として設定されていることが窺い知れるかと思います。

 そもそもエスカレーターの起動設定(方針)には左右の決まりはないようです。つまり、その建物として、等の〔統一感〕は概して保たれていますが、このように上下線が平行している例において、【左右どちら側が上りか】はマチマチであるというのが実状です。

 

◆◈◆◈◆◈◆◈◆◈◆

 

 ようやく本題。
 この画像の奥側の方面にも階段があり、こちら側と上階で向かい合うような位置になるのですが、〔こちら側は左側通行〕に変更されたのに対し、〔向こう側は右側通行〕のまま、なのです。

 つまり、双子関係にある2か所の〔統一感〕が、ある意味で崩れました。

関空駅エスカレーター3

関空駅エスカレーター2

 

 片方だけが意図的にわざわざ変更されたので、当然何かしらの理由が存在するはずです。

 【スーツケースなど大荷物の落下】が時々起きているようですので、〔安全面に配慮した目論見〕なのかもしれない、あるいは〔外国人が多く含まれるのでワールドワイドな基準や傾向を意識したのかも〕というのが当方の頭に真っ先によぎった要素なのですが、どうやらそうではないようです🙄

 当時(2019年)実際に駅係員にヒアリングをしてみました。

『理由は何なんですか?』 ---

 

 

 貴方の想像力では、何か導き出せますでしょうか?

※以下でお示しするのは、パッと見では「時期的なもの」ですが、その点は関係なく…

 

 

◆◈◆◈◆◈◆◈◆◈◆

 

 その答えは・・・『G20なんです』。

--- 2019年6月末に大阪市で開催されたことは、地元民にとって記憶に残っているところ。道路や施設など、大規模な規制や制限がありました。対象として”いかにも”という感じの国際空港。旅客利用者✈は金属探知機等による多重な被検者となりました。

 そんな話を知っているせいで、「あぁなるほど。検査ゲートを通るための動線が確保され誘導されたのだな。そのためのエスカレーター設定変更か」と合点しそうになります。

 しかしながら実際は、ゲートが施されたのはあくまで改札を出た後の(ターミナルへと続くブリッジの)所でした。
 なので、

『G20だから』は本件の〔理由〕であるとは言えない

わけです☝

 

 確かに時期的にも一致していますし、G20開催を意識した変更であることには相違ありません。ただそれは

〔きっかけ〕に過ぎないのであって、
〔理由〕の説明にはなっていません。

 

 「考える」習慣が無いと、このような変更施策の話を耳にした際にも違和感なく通過してしまう。そんな軽薄さに気付かされる一例であるように感じました💡

 

◆◈◆◈◆◈◆◈◆◈◆

 

 より適確な〔理由〕的な話及び前提説明の補足ですが、階下のプラットホームは、当該終着駅/折り返し運行するので、2筋あるうちのどちらが〔到着用〕と固定運用されているのではなく、便によってそれぞれ入線してきます。特急か急行かで区別されているわけでもありません🙅

 「降車直後の大量の客が一時的にホーム上に滞留する(=エスカレーターの乗り口に行列ができる)」という点は皆さんも想像に容易いでしょう。

 

 詳しく訊(聴)いてみたところ👨‍✈️

どちらか一方の線に電車が到着したしばらく後に、他方の線から出発する電車がある、というタイミング構成の時には特に、上記の「一時的大混雑」状態によって生じる悪い影響が顕著である
それはこの写真の左側の線に到着で右側から発車、というケースの方が、全体として多い


 以上から、人の流れの交錯による支障を極力抑えるためには、『ホームから排出する上りエスカレーターは向かって左寄りの方が望まれる』との根拠に基づいて切り替えたようです。
 これだと、前述した『〔向こう側は右側通行〕のまま』の点も辻褄が合います。

関空駅エスカレーター

関空駅エスカレーター3


 『〔理由〕を取り違えてはならない』という主題の本稿ではありますが、結局のことろ、【主流】を分析してデザイン思考した取り組み例である、ということでしょうか。効果測定はできませんが('◇')ゞ

 

 

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