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夜を乗り越える(著者:又吉直樹)

ジャンル:読書
満 足 度:★★★★☆


〇印象にのこったこと

【本を読む面白さ】

・自身の中にある「どうしようもない悩み」や、「やり場のない葛藤」に対して、過去の誰かが同じようにぶつかっていて、本で答えが見つかったり、見つからなくてもそれらの思いがどのように変化するかを体験したりすることが出来る

・本を読んでいて面白いのは「共感すること」、「新しい感覚の発見」の半分ずつ

・複雑なことを簡単にして理解するよりも、複雑なまま理解出来た方が面白い

・どうせ読むなら楽しんで読んだ方がよく、誰よりも本を面白く読みたい

・純文学は無理に分かりにくい表現や省略をしているのではなく、その表現でないと駄目だからそうしている。どうしてそのような表現にしたのかも考えるとワクワクする。

・役に立たないけど面白い本は面白いという点ですでに役に立っている

・小説は一度読んだものであっても、読む時々で違う味がする

・一人の作者を追って、作品やスタイルの変容を楽しむのも面白い

 

【本に救われる】

・死にたくなるほど苦しい夜は次に楽しいことがあるまでのフリ

・十年くらい人生棒にふったら、「人生十年棒に振った」という武器になる

・書くことを一旦やめて街を散歩すると、「長い車酔いから覚めたような爽快感」や「体を覆ている膜が剝がれるような感覚」があり、その瞬間に創作意欲が一気に湧く

・ハッピーな言葉よりも悩んで悩んで文句を言う人の言葉の方が響く

・近代文学は賢い人のためにあるのではなく、一見縁の無さそうな人(芸人やバンドマンになろうとしている人など)とむしろ相性がいい

・前向きな思考の本に書いてある安易な答えに飛びついても誰も責任をとってくれず、答えをみつけようと必死に迷い、葛藤する小説の主人公を辿る方が響く

・小説の一部の言葉だけ抜き出しても素晴らしさは分からない。全体を読んで物語を感じるからこそ、その一行がささる。

〇感想

・著者が、読書が本当に好きなことがよく伝わった

・近代文学などはなかなか手が出しにくい面があるが、文豪や作品に対する著者の思いが経験を通して語られており、興味が沸いた

・自分はお笑いが好きということもあり、芸人である著者が見出す、小説とお笑いの関係性や共通点は非常に面白い

・読んでみたい本がいくつか見つかった

・著者のYouTubeも併せてみることでさらに楽しめる


【今後読んでみたい本】

・『人間失格』太宰治(再読)

・『カキフライが無いなら来なかった』せきしろ・又吉直樹

・『まさかジープで来るとは』せきしろ・又吉直樹

・『東京百景』又吉直樹

・『告白』町田康

・『何もかも憂鬱な夜に』中村文則

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