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SFは未来の鏡: 小説「三体」

中国語版だけでシリーズ累計2100万部突破、オバマ元大統領もザッカーバーグも愛読し、SF小説賞として最高峰のヒューゴー賞を英語圏以外で初受賞したこの作品。

これだけで読みたくなる人、いるでしょう?分かります。かくいう私もその一人でございます。

その待望の「三体」の邦訳版が、7月に出版されました。

まずは一言いいですか。

この人、まぢ天才 (雑にもほどがある感想)。

中国発のSF?どないなものよ、とか思っちゃダメダメ。どっかーーんと度肝抜かれるから!この半端ない想像力と発想力と筆致の滑らかさ。一体どこからインスピレーションを受けてるんだろう。絶対アナザーワールドと交信してるに違いない。

ざっくりとあらすじ。

文化大革命で殺されたある物理学者の描写で幕を開け、現代に話しは進みます。まず、この文化大革命のガチンコ描写が、時代を感じさせる。今だから書けたのではなかろうか。

現代パートでは、「物理学は存在しない」という謎の遺言を残し、有名な理論物理学者が自殺する。他にも著名な物理学者が世界中で次々と自殺を図る。VRゲーム「三体」にどうやら謎解明のヒントがあるらしい。

そこから、ゲーム内の三体世界と、現実世界の間の行き来が始まります。お互いに絡み合いながら、最終解にたどり着くのですが、その答えがもう... 虫けらサイズのわたしの脳では、予想も付かない展開でした!(読んだ人向けw)

ゲーム内の三体世界では、穏やかな「恒期」と厳しい「乱期」の予測をする為、秦の始皇帝やフォン・ノイマンなど、歴史上の有名人物が、教科書には描かれない嫌な側面をこれでもか!と暴露しながら登場します。

また、過酷な環境を生き延びる為に、身体の水分を自在に抜いて干ししいたけ人間と化する異星人が出てきたりと、キャラクターの豊かさも魅力的。

現実世界でも、中国人のナノマテリアル研究や、口の悪い大史刑事(大好き❤)など、個性豊かな人々がてんこもり。

キーとなる物理の法則についても、タイトルにもなっている古典力学の三体問題を始め、量子力学や天文物理学等、きちんとした科学知識に基づいて描かれている為、説得力が半端ない。

しかも最後に全ての伏線を回収してどーーんって終わるんだよ、どーーーんって!!!(なんだよ、どーーーんって)

人類って救いようがあるのかな、なんて大きな疑問を投げかけてもいる本シリーズですが、2巻目の邦訳は来年出版だそうでございます。いやもういやもう、邦訳はよ!です。そうでないと、周りの友人らと感想を言いながらわやくちゃできないではないですか。早川書房さま、どうぞよろしくお願いいたします。

ところでこの作品の英訳者、ケン・リュウさん。ご自身も数々の受賞歴のある作家さんなのですが、この方の他の作品もオススメです。例えば、こちら。

SFは少し先の未来を全て投影している。そう思える一冊です。

ちなみに「三体」の作者に会いたい!という妄想を大炸裂させた過去note がこちら。後半からです。

ほれ、妄想するのは自由ですから(^^;

こんな天才的な作家さんが、昼間はエンジニアとして勤務している兼業作家であるという驚愕の事実をお伝えして、今宵は〆と致します。

あーー、ネタバレ全開で語りたいよー!

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