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「稲葉怜」展 レポ

繊維画アーティストであり、アートプロジェクト「砂漠の水」の代表でもある稲葉怜さんの展示会へ行ってきました!

シリル・コンゴ展で共通の知人を介して知り合い、スクランブルスクエアの3人展で初めて作品を観て、今回は自分にとって2回目となる怜さんの展示会。
青山ギャラリーコンセプト21にて12/26まで開催中です。

着物の糸を貼り付ける「繊維画」で日本唯一のアーティストである彼女。その作品は圧巻!


濃淡から太細まで、緻密に表現されている糸の線。
その繊維は綺麗にカットされているというより、千切られていると言った方が近いだろうか。
千切れた繊維の穂先、極細の筆の穂先より更に細い、0.1ミリの先端にまで動きを感じるその様は、まるで糸が意志を持って踊っているかのよう。

そして糸は絵の具のように融合することがない。
一色一色が独立していることで、いくつもの色合いが重なっているとしても、それぞれを消されることが無いからひとつひとつの色を感じ取ることができる。
「混ざり合っている」のに、その混ざり合いの様が、隅々まで明確なのだ。

私は繊維画を観ながら思い出していた。
かつて、スーラの点描画が印象派の限界を打ち破ったこと。
「色と色が混ざり合う」ことなく、その上で何色もの色を重ね合わせて表現する手法は、当時の美術界において新たな歴史を作るほどとなった。
それほど、新しい表現方法というものはその世界の常識を覆すイノベーションとなり得る。
怜さんのアートは、革新的な存在である。

そして観ている者を全く飽きさせない…
というより、目が追いつかない。
とてつもなく繊細なのに、その細部が明確に視界に飛び込んでくるのだから。
観れば観るほど、新たな発見があり、その度に作品への印象も変わる。

「筆の代わりに糸でトライしてみた」のが、繊維画ではない。
「糸でないと出来ない表現」があるのだ!
と今回私は確信を得ることができました。


また、繊維画の他にも油絵やアクリル、版画やアクセサリーまで。
バラエティーに富んだ作品を存分に味わうことができました。

中でも私が気になった、黒い額装に収められた花の静止画。
タイトルの「優しい時間」は、東日本大震災後に開催した展示会のメインテーマだったそう。
まずファーストインプレッションで楽しんで(この時点だと、私はその絵の持つメッセージ性や背景の想像はつかない)、そしてタイトルを聞いて新たな印象を感じて、更にその絵が制作された背景のストーリーを聞くことで、また新たな印象を受ける。
1度の絵で3度美味しい鑑賞方法…!
作者から直接タイトルの理由や制作の背景を聞けるなんて、あまりにも贅沢な楽しみ方だと思いませんか?
絵でも映像でも文章でも、「作品」を楽しむ時に、その作者から直接お話しを聞けるという行為ほどのアミューズメントは無い…と私は思っています。


2022年はたくさんのアートに触れることができました。
そんな今年の最後を締め括るのが、稲葉怜さんの作品で良かった!

レセプションパーティーにも少しだけ参加させていただき、素敵な繋がりもありました。
アートを通じた出会いが、また新しい世界を見せてくれる。
来年もたくさんの新しい世界と出会えますように。

写真はインスタにもたくさん載せています。


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https://g-concept21.com

http://www.rei-inaba.com/index.html

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