見出し画像

松本の喫茶店「かめのや」が面白い。

ここのところ新規スタートした仕事の絡みで中々忙しく、平日はへばり気味で、休日もお手軽な受動的な気分転換に頼りがち。

楽しみの一つの民話関係のお話は、踏み込み始めると面白い一方で纏めはじめるとまた気になる事が出てきて調べだすと、まとまらなくなる、の繰り返し(きっと何かが間違ってる)で消耗しがち。
好きなんだけど、割と余力がある時でないと中々取りかかれない。
ほぼ自分が納得すれば良いだけの自己満足なまとめなので、気が向いたらまた書き進めようと思う。

さて、そんな言い訳はともかく現在、日常のささやかな楽しみの一つは主に日曜早朝のポタリングとその後の「珈琲茶房かめのや」でのひと時である。

松本市街地探検のエリアを少しばかり広げるのが目的だったが、あてもなく小径車でぷらっとするだけでも気分的にも気持ちが良い。

特に今時期、夏場の、特に明け方から7時くらいまでの松本の涼しさははっきり言って至高である。

ところで昨年の10月までの二年ほどの単身赴任から現在までの間、松本の市街地も随分変化があった。
例えばカタクラモール跡地に出来たイオンモールの出店や、今年4月に出来た信毎メディアガーデンなどは大きな出来事の一つだが、個人店、特にカフェや喫茶店の新規店が目立って多くあったように感じる。
(一方で例えばカレーのデリーやたくま、など、老舗の閉店も目立ったが。)

「珈琲茶房かめのや」さんもそんな喫茶、カフェ出店ラッシュ(と自分が思い込んでるだけかもしれないが)の中で2016年に出来たお店。

市内の、特に早朝営業している喫茶店を重点的に巡っていた中で一番自分にシックリきているのが「かめのや」さんである。

ここからは、自分が感じた「かめのや」さんの魅力を勝手に書き連ねていく。


【雰囲気満点の老舗の昭和純喫茶】

新規出店という話をしたばかりだが、60年続いたと言われる松本は上土にある「翁堂茶房」を半ば受け継ぐ格好で営業されている。
内装なども翁堂茶房から引き継ぎ、いわゆる「純喫茶」と言われるような外からは中の様子がわからない古き良き昭和の喫茶店の雰囲気がしっかり残っている。

外から様子が伺えないという点は特に初入店の際は良し悪しあるだろうが、自分の場合は逆にこの「入ってみなければ分からない」という軽い冒険感、入ってみたら自分好みの純喫茶、そして知らなければ恐らく誰もが驚くだろう店内の噴水。
この辺にまず惹かれてしまったのであった。

入店するまで想像だにしていなかった店内の噴水。


【気さくな店長さん。珈琲への拘りはホンモノ】

自分は当初、日曜朝のポタリングついでに珈琲一杯で肩肘張らずに一服出来るようなお店があればいいなぁと、「一休みできる場」としてシックリくるお店を探していた。
そういう意味で前述の「純喫茶」な店構えはドンピシャであった。
珈琲が美味いかどうかはどちらかというと二の次であったが、「かめのや」さんはそれでは終わらなかった。
珈琲が美味い…というか、珈琲の味わい方を教えてくれたのだった。

常時10種類程度のストレートコーヒーがラインナップされている。個人的なお気に入りはタンザニア タリメ ゴールド マイン。

初入店のその日は早朝というより、9時過ぎくらいに伺ったと記憶している。
お客は自分一人。
店長さんと話を始めたとっかかりの記憶は曖昧だが、ストレートコーヒーのメニューを眺めながら、おススメの珈琲を何気なく伺ったのがきっかけで店長さんと話始めたように思う。
その後、お客が僕一人ということも多分にあったとは思うが、珈琲の事、お店の事などざっくばらんに聴かせてくれた。

例えば焙煎。
「かめのや」さんは自家焙煎。
特注で作ったという真鍮製の焙煎機で焙煎している話など「焙煎」という切り口だけでも話が尽きない。

そして、頼んだ珈琲の飲み終わりに、

「一杯僕の奢りで別の珈琲試してみてください」
と、この一言が殺し文句。

そして、お言葉に甘えて頂いたその一杯が、明らかに先の珈琲とはまるで風味が違う。

これまで珈琲は無難で口当たりの良いブレンドコーヒーで満足していた自分にはちょっとした驚きと発見だった。
例えば、先にも少し話題にした「自家焙煎」という謳い文句は喫茶店ではよく見かけるが、何をアピールしているのか実のところサッパリだった。
しかし、豆選びと焙煎度合、挽き方、淹れ方で珈琲の味わいは物凄く変わる、
その事をその場で耳と舌でしっかり味わい体験させてくれた事で理論はともかく感覚的には大いに理解させられた。

単に「自分好みの場」としてのかめのやでも充分であったが、一杯の珈琲にも広く深い世界があるという事を知り、メニューにあるもの無いもの、あらゆる産地のストレート珈琲を味合う楽しさを毎度教わりつつ、更に「かめのや」さんにズブズブとハマっていくのであった。

2018年3月撮影。店内センターは書籍やフリーペーパーなどが並ぶスペースになっていたが、今はまた違った趣きに変わっている。
(現在の様子)


【昭和な純喫茶+若く気さくな店長=おおらかな場】

通い始めて数ヶ月ではあるが、単に「純喫茶なお店」の枠に囚われず、色々なイベントが行われている。
例えばここ最近では「フルーツサワー」と銘打って、二週に一回週末金土の夜にお酒メインのイベントがあったりする。(普段からビールなどお酒の提供もされている)
このイベント、「かめのや」さんは場所の提供で、主催は別の方。
主催の方にザックリ伺った話を要約すると、たまたま京都で見かけた「フルーツサワー」を松本でやってみたら面白いのでは?との企画を受け入れたのが、「かめのや」さん。
お店の雰囲気とマッチしたフルーツサワー企画では、一見純喫茶とは縁遠そうな若い女性客が多く来店しているのは狙い通りなのだとか。

見た目も楽しいフルーツサワー。
松本でスイカと言えば波田のスイカのスイカサワー。「フルーツサワー」

またその一方で、近所の年配の方々の憩いの場にもなっているそうだ。
今のご時世、中々大っぴらに言うものでもないかもしれないが全席喫煙可。
松本の喫茶店もつい先日まで喫煙可だった老舗喫茶店も禁煙化に踏み切るなど、今の風潮に歩調を合わせている。
一方で喫煙者が気兼ねする事なく吸える場所は相当限られて来ている。
珈琲と煙草で一服しながら気楽に歓談するというコミュニケーションを取ってきた方々は行き場を失い、翁堂時代から馴染みのある「かめのや」に集まって昔話に花を咲かせる、なんて風景が毎週繰り広げられているそうだ。若く気さくな店長さんが、そんな年配の方々の武勇伝をしなやかに受け流しているだろう光景が目に浮かぶ。
そんな象徴的なシーンは「かめのや」さんのインスタグラムでも伺い知ることができる。

https://www.instagram.com/p/BjTen8zHzkc/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=mqvi8jztejyl

喫茶店らしくコーヒー通向けの小規模企画も。

このご時世にある意味逆行するスタンスを崩さないスタイルを一面に持つ「かめのや」さんには、各分野(強いてザックリ一括りにするならば文化系)の良い意味でクセの強い客層に支持されているようにも感じる。
翁堂茶房の時代には「どくとるマンボウ」事、北杜夫氏が旧制松本高校の学生時代に通っていたとも聞く。根底にある翁堂茶房の文化は今も緩やかに継承しているように思えてくる。

まぁ、そんな僕の当てにもならない考察などはともかく、基本的には老若男女が気兼ねなくくつろげる懐の深い場として、市内でも案外貴重な喫茶店なのでは?と感じるのだ。

【「かめのや」の魅力は語り尽くせない】

純喫茶の雰囲気、気さくな店長、本格自家焙煎珈琲と自身が感じた魅力を中心に書いてみたが、「かめのや」さんの魅力は他にもまだまだある。
例えば翁堂とは現在も縁もゆかりもあり、例えば中信地区での取り扱いは恐らく翁堂だけの、なんとも昭和感溢れるケーキ「たぬケーキ」がメニューにあったり、松本で牛乳パンといえば小松パンってくらい老舗有名店の食パンを使ったメニューも豊富。
こういった松本の庶民に親しみを感じさせるフードメニューのラインナップは「かめのや」さんならではだと思う。

たぬケーキ。松本界隈では翁堂のケーキとしての認知度が高い。こちらは大人のたぬケーキ。

かめのやの焼印が漏れなくついてくるホットサンドのメニューも豊富。結局はハムマヨとかそういうのが一番うまい、って事を思い出させてくれる。


「最後に」

ダラダラ書いてみたが、実のところ自分が感じる最大の魅力は店長さんの根っ子にある
「面白けりゃいいじゃん」というシンプルな心意気。
「かめのや」さんの魅力は全てこの心意気に集約されてる。

珈琲茶房かめのや
〒390-0874
長野県松本市大手4丁目-7-22
0263-31-6597
https://goo.gl/maps/ozyDZcg5P492

#松本市 #信州 #喫茶店 #純喫茶 #珈琲 #昭和 #フルーツサワー #焙煎 #老舗 #かめのや

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?