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古本と懐かしい場所、止まった時間。


こんばんは。


今日は昨日とうってかわって、寒い寒い一日でした。

午前中に家を出て、帰る頃にはもう真っ暗。
サッカーの試合。子どもたちごめんよ、応援というより、もはや寒さに耐える苦行のような時間…。

全身ガチガチ、家に帰ってすぐお風呂に入る。
頭だけ出して、あとはすっぽりお湯に沈める。
解凍、という言葉がぴったり。

今日は本を持つこともできず。



でも、昨日まで読んでいた小説の世界が、気付けば頭の中に広がっている。

現実から逃げようとしているのか…
自分の居場所に戻ろうとしているのか…



昨日、本を開きながら、気持ちは20年前、大学時代の忘れていたような日々をふらふらと彷徨っていました。



今年、私にしては、本をたくさん買いました。

ざっと数えてみると、50冊あまり。
それでも、買うのは手元に置きたいと思うものだけ。
これでも厳選した数で(と思いたい。)、ただ読みたい、は図書館で借りるものがほとんどです。

その50冊のうち、35冊くらいは古本で、新品にこだわりはないので、残りは古本で見つからなかったものか、どうしても欲しかった新刊か、Kindle。


古本はネットで買うので、実際に届いてみないと実物はわかりません。
が、品質や対応その他、私に関してはバリューブックスさんに全幅の信頼と好意を寄せているので、問題なし。


私の楽しみのひとつは、その届くまでわからない、本との巡り合わせです。

古本、といっても、レアなものでも古書でもない。
ごくごくふつうの文庫本、だいたい一冊100円。


何がって、こういうこと…。

村上春樹さんの短編集の中で、私がおそらくいちばん好きな『カンガルー日和』。
この文庫本も、数年前古本で買ったのですが、手にしてびっくり。

なんと初版本。

昭和61年10月15日の第一刷が、私の手元にやってきた。
定価340円。(安い…)
消費税もなかったころ。
これを読んでくださるどのくらいの方が、消費税を気にせず、買い物した記憶があるでしょうか。笑

そんなことを見つけて、ひとり興奮する私。


他には、はさまっているしおり。
出版社のものがほとんどですが、買った書店のものと思われる店名の入ったものを見つけると、その土地に思いを馳せて、なんだかうれしくなる。

買った方の私物と思われる、紙切れがはさまっていることもある。
きれいな淡いピンクの紙だったり、Tシャツ注文書(の裏紙らしいもの)だったり…。


今読んでいる『冷静と情熱のあいだ』の2冊も然り。

「Rosso」は比較的新しい重版のもの。
でも、「Blu」は、これまた初版本。
平成13年発行。

そして、しおり代わりに、映画の特別優待割引券がはさまっていました。

2001年11月10日
全国東宝系ロードショー


これを見て、するすると当時のこの物語を巡る記憶が、呼び起こされる。


そういえば、大学生になっていちばん初めに友達になった子に、江國香織さんをすすめられて読むようになったこと。

彼女は、この小説に強い影響を受けて、必ずフィレンツェに行く、と言っていたこと。
(実際に、彼女も影響された私も行った。)

そのフィレンツェのドゥオモにのぼって見た景色。

そして映画が公開されるとき、別れた彼氏に見に行かないか、と誘われたこと。
この物語の内容を知って言ってるのか?信じられない、と断ったこと。笑


それもこれも、古本の中に閉じ込められた、2001年で止まったままの時を感じたから。
かもしれない。


古本のひそかな楽しみ。
またまた、読書のよろこび。

共感してくださる方、求む。




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