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ママンの味、土地の料理

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映画、ポトフ。道具が触れ合う音、素材の香り、湯気を感じながらずっと観ていたい。

映画、ポトフ。道具が触れ合う音、素材の香り、湯気を感じながらずっと観ていたい。

映画「ポトフ」を観た。いきなり巨大な銅鍋を使っていくつもの料理を淡々と作る中年の女性が出てくる。なにやらブルジョワの匂いがするキッチン。と思っていたら田舎の小さなシャトーの台所。時は19世紀末。19世紀といえば、鉄道が発達したのが半ば。ブルジョワ家庭には、レシピ本やグルメ情報などがすでに伝えられていたのだろうか。シャトーの持ち主でグルメなドダンと地元の名士たちとの会話では、アントナン・カレームの生

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クリスマスがクリスマスになった理由

クリスマスがクリスマスになった理由

フランスのクリスマスは、どんなに遠くに住んでいても日本のお正月のように、みんなが集まる日。ブルゴーニュの友人の家のクリスマスに招待されたことがありますが、すごかったです~。20人くらい集まったかな。たくさん、そして延々と食べます~。こっちは、フランス語もしゃべらなきゃならないし、食べなきゃってんで疲れました~(笑)。

メインは、七面鳥の栗詰め。フランス語で七面鳥をダンドと言い、Dindeと書くん

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いにしえの料理に新たな息吹きを吹き込む

いにしえの料理に新たな息吹きを吹き込む

シャウエッセンとは、ハプスブルク家などが権力を示すため砂糖菓子などで食卓を飾った食べるショーの意味。何故これがソーセージの名前〜?

今週末9/10,11,12のフランス地方菓子料理教室はこのソーセージをつかって、サヴォアの郷土料理を再現。

実は、えー、もうこんなお料理作っている人いないんじゃないですか?って現地に住む友達言われ、新刊本のあの赤い本に一度載せたがやめた一品。じゃがいもとプルーン、

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煮込んでもへこたれない厚さがポイント!

煮込んでもへこたれない厚さがポイント!

ブッフ・ブルギニョンて、そう呼ばれるとブッフでしか成り立たない料理だけど、ポークもあっていいのでは?ということで今回は、豚肉を柔らかく煮てみました。これがまた美味しい。このような伝統的な肉の煮込みを作る場合、香味野菜と呼ばれる野菜と一緒に肉を煮て、最後はそれらの野菜は漉して捨てられる運命に。でも、今の世の中変化している今、そういう食品の無駄を見直すべき。ということで、
食品ロスをなくす!それらの野

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ワインの国だからのマスタード!今回は2種類使います。

ワインの国だからのマスタード!今回は2種類使います。

フランス人の家庭におけるマスタードって、日本の醤油です。とにかく万能!肉焼いただけにつける、ドレッシングに入れる、ソースに加える・・。マスタードと言えばディジョンのMaille社のものが有名ですが、ペストが流行したときは薬としても重宝したとか。3/20,21のフランス惣菜クラスのメインは、鶏肉のマスタード風味です。鶏肉を卵とマスタードを漬けておきます。マスタードはカラシと同じアブラナ科の植物の種子

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キッシュは生地が命!

キッシュは生地が命!

クックパッド、プロのレシピに掲載している私のレシピ集の中で、一番見てくださる方が多いのがこのホウレンソウとサーモンのキッシュだそうで、ちょっと意外でした。久しぶりに作ってみました。作るとき一番大切にしているのは生地です。薄目だけどしっかり。サブレのようなサクッは目指しておらず、美味しいけどちゃんとアパレイユを支えてくれる。だから強力粉もちょっと入れます。吸湿力があるから。

キッシュも美味しいのに

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何かと食べたくなる卵料理。今回は、シャンパーニュ地方の伝統。

何かと食べたくなる卵料理。今回は、シャンパーニュ地方の伝統。

何かと頻繁に登場する卵料理。じゃがいも、卵、チーズはそれだけで100品くらいの本ができるくらいだ。今週末のお惣菜クラスではシャンパーニュ地方の伝統マスタードの卵料理も作ります。マスタードつくる時って酸っぱいvergeと呼ばれる白ワインの原酒みたいなものに漬けるんです。だから、基本ワインの産地はマスタードができます。 

写真は、粒使用と滑らかなマスタード使用。当日はここにエストラゴンなどのハーブも

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美味しさは、時間が作る。

美味しさは、時間が作る。

2021年1/6発売dancyu、 ポトフのページの取材と対談に行ってまいりました。

ポトフを作ってくれたのは、神楽坂のフレンチレストラン、ルグドゥナムのポコシェフ。

お肉は牛肉のミスジ、バラ、ほほ、骨髄、肩肉、牛尾など5種類以上も使って。入れる肉は高級肉ではないが、時間をかけて作った分だけ美味しくなります。豚肉や鶏肉で作るポトフももちろん!フランス人にとってはおふくろの味。

(骨髄は、中の

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オムレツも立派なディナー。フランス人の普段の食卓。

オムレツも立派なディナー。フランス人の普段の食卓。

普段のフランス人の食事は質素です。ディナーに来ない?と誘われて行ったら、メインはオムレツでした。彼らは、朝食に卵料理食べたりしないから、夜食べてもオッケー?プティデジュネは、多くがバゲットとバターとジャムとカフェだけ。

でもベランダの香草をはさみでジョキジョキ切ってさらっと散らされるとなんだかすごく贅沢に思える。前菜は、トマトの輪切りがずらりとお皿に並んでいるだけ。どんな家庭でも前菜、メイン、デ

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フランス料理、従来の贅沢な作り方を見直す時期が来た!

フランス料理、従来の贅沢な作り方を見直す時期が来た!

本の撮影で、ブッフ•ブルギニョン久しぶりに作りました。フランス料理では肉と一緒に煮る野菜は香味野菜ということで、あくまでも脇役。煮た後は味が抜けてしまうし、色も悪くなるしで、漉して捨ててしまうというのがフランス料理っぽいと思っていましたけれど、食品ロスを最小限に考えるようになった今の時代、このような昔のつくり方は再考すべきだと思います。なので、今回は炒めた玉ねぎはそのまま残し、人参は途中から入れて

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リエットの前身、リヨンの作り方。

リエットの前身、リヨンの作り方。

フランスはトゥーレーヌ地方のリヨンを作りました。リヨンてこの料理の名前です。Rillonsと書きます。リエットはここから由来。

豚バラ肉を白ワインで煮ます。すると最後は脂しか残らないから、それで揚げるように火を通す。現地では、ラードの塊をボンボン入れて溶かしてそれで煮ますが、わたしは豚自らの脂で。これが旨い!ワインのおつまみにピッタリです!これをバラバラになるまで煮込めばリエットになります。その

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今に蘇る中世のパイ!

今に蘇る中世のパイ!

コロナが終息したら絶対行ってみたい場所。それはパリ近郊のサン・ドゥニ聖堂であります。ここは歴代の王の墓が墓碑彫刻とともに安置されています。その様子はさぞ壮観でしょうね。またゴシック聖堂の中では、ステンドグラスが一番美しいとか。ここは、パリの初代司教の聖ドニが、モンマルトルの丘で首を落とされ殉教したその首を持って、北東へ歩き、果てた場所です。パリのノートルダム大聖堂のファサードの左側入口に、自分の首

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サヴォワのワイン、まとめ

サヴォワのワイン、まとめ

アルプス山脈の斜面、レマン湖の南の標高200~400mで生産されるワインは、繊細な白ワインが多い。夏と秋は天気に恵まれるが、冬は厳しい寒さのため、ぶどうはその寒さに耐える品種から成る。土壌は、石灰岩と泥灰土そして氷河が運んできた沖積土が混ざる。

主なAOCワイン
1、 クレピーCrepy:シャスラというぶどう品種から作られる辛口ワインを生産
2、 ヴァン・ド・サヴォワVin de Savoie:

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税金をごまかして作られたチーズとは⁈

税金をごまかして作られたチーズとは⁈

昔は、税金の金額の目安は色々なもので決めれていたんですね。京都だったら玄関の大きさとか聞いたことがあります。だから間口は狭く、奥が細なが~くなったとか。フランスだと、窓の大きさとかよく聞きますが、フランスのアルプス地方、サヴォワ地では、なんと搾乳の量で決めていたとか。

ルブロッションというフランスのアラプス地方、サヴォワのチーズがありますよね。あれは、ルブロッシェールreblocher=もう一度

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