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閉じこもりの日々に別れが来るまで

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【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来る、そして再会の物語

【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来る、そして再会の物語

〈あらすじ〉
1999年12月末。自分の部屋から忽然と姿を消した当時高校2年生の青野優(あおの すぐる)は研究者の父が開発した時間基盤を使い、未来へとタイムスリップした。偉大な研究者であった父だったが研究所の爆発事故に巻き込まれ、2年前に他界。父が残した時間基盤で見える未来は7回までとなっており、時間基盤は2000年4月に記録が途絶えていた。

それから23年後の2023年。青野の担任であった私と

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【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #4

【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #4

2000年4月某日

海の音が聞こえる。

「先生、今までありがとうございました」

「僕は先生と色んな話が出来て良かったです。これが最後の言葉になると思います。僕は空白の3ヵ月間を過ごしました。先生は言ってくれましたね。『青野は、落ちこぼれなんかじゃない』って。あの言葉、忘れません」

「母さん、僕を育ててくれてありがとう。弟の悟へ、今まで兄さんらしいことは出来なかったけど、10年間を一緒に過ご

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【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #3

【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #3

「どうして?」

私は少し間を置いてから、彼に尋ねていた。

「無駄じゃないですか、どれだけ立派になったって。人間はいつか死ぬ。父さんは事故死なんかじゃない。殺されたんだ」

「殺された?」

「正確には研究だけさせられていた。研究の成果は全部、組織の人間に奪われて爆発事故に巻き込まれた」

「なんで、それが分かったの?」

「父さんの携帯を見たから。これ以上は何も言えない。もう帰ってよ」

そう

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【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #2

【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #2

1999年4月某日

「先生、今日はお越し頂き、ありがとうございます。さあ、中に入ってください」

初めて家庭訪問に伺ったのは、夕日が落ちる頃だった。

「遅くなりまして、申し訳ありません。優さんはいらっしゃいますか?」

彼の名前は、青野 優と言った。

「ええ、息子は居るのですが、トイレとお風呂以外はずっと部屋の中に籠りっきりで」

「そうですか。御飯は食べられていますか?」

「はい、御飯は

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【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #1

【長編小説】 閉じこもりの日々に別れが来るまで #1

エピローグ

これから書く物語は私が彼に最初に出会った24年前の話である。

私はこの物語を書かずに胸の内に留めておくつもりであった。

しかし、当時17歳だった彼は予言をしていた。

「先生は、2023年に小説を書くよ」

これは私にとっての宿命であり、まだ、この物語の始まりに過ぎなかったのだ。

第1章 彼について

1999年12月末、彼は自分の部屋から忽然と姿を消した。

当時は世紀末で街

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