「パパには何でも出来てて欲しいんだよ」

そんな事を言った息子。
パパは息子とスマホでよく同じゲームをする。
先に息子が始めてても、その後パパが
あっという間に追い越してキャラを
強くしてたり、先にステージを進めてたり。
パパに抜かされて悔しいとはならないのかと
聞いた所、全く悔しくないそうだ。
何なら自分より勝ってて欲しいらしい。

「むかーし、太鼓の達人switchでパパが
　初めてやったの。その時さパパさ
　初めてだから仕方ないんだけど、
　クソがつくほど下手でさ。大きい手で
　小さい画面で一生懸命やってるんだけど
　クソ下手なの。それ見てたら俺、
　胸がギューってなって見てるの
　辛くなったもん」
と笑いながら話してくれた初耳エピソード。

「パパにはいつも強くて
　何でも出来るから
　ずっとパパにはそんな風に
　いて欲しいんだよね」

あらあら。それはそれは。
パパは大変ですな‥。

男の子と言うのはある時期に来ると
父親を超えたいと思うらしい。
それがつまり自立への道なのだという。

日頃、ちっちゃな事で張り合ってる息子。
勝てもしない腕相撲を誘ったり
あとどれくらいで身長は越せると
背伸びしてフラついたり、
ゲームでパパよりレアキャラ出た！と
騒いでいたり。
そう。どーでも良い事で張り合ってる息子。

でもいざ考えると、
超えるぞ！超えたいぞ！
でも超えたくないぞ！
超えさせないでくれよ！

こんな感じなんだろか‥。

父親の苦労はなかなか重たいなと感じた。
不老不死の薬でも持ってない限り
日々、己は老いとの戦い。
それなのに、横にいる我が子に期待の眼差しと
期待の圧をかけられたらそれは若いうちは
良いがそろそろキツくなる年齢。

いつも強いパパ
何でも知ってるパパ
何でも作ってくれるパパ
何でもゲーム出来るパパ
何でも前向きなパパ

実際は。

最近は足がつるパパ。
あれ、ほらあれ。言葉出て来ないパパ
鶏がらスープの元入れ過ぎのパパ
夜な夜なゲームを頑張って進めるパパ
テレビ見て現実逃避してるパパ

息子の前でスーパーマンの様なパパも
本当は人知れずひっそり努力をして
そして時々、きっと厳しい外の世界で
傷つけられ心が折れてる時もある。

でもきっと父親としてはいつまでも
我が子の前では何でもこなせる
スーパーマンの様なパパでいたいのでしょう。
それが父親としてのプライドなのだ。

でもいつか息子が大きくなったら言いたい。
パパはスーパーマンなんかじゃないし
本当にただの人間で普通のパパだ。
体は老化してるし、記憶力も低下してる
社会の自分への評価で心が削られ、
本当は何もしたくない日もたくさんあった。

それなのにいつも頑張ってるね。

それってスーパーマンより凄いじゃないの。

#今こんな気分

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